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悪魔

  恭也がゴーアたちと戦った三日後、恭也はその日も国境へと向けて歩いていた。

 食料は数キロ間隔で街なり村なりがあるので問題無く、映像を記録する手段も連絡手段も無いこの世界ではアズーバさえ離れれば気楽なものだった。


 ゴーアたちから奪ったバズーカ(おそらくこの世界での名称は違うのだろうが)が移動の邪魔という点を除けば特に問題無く恭也は国境へと向かっていた。

 無理矢理異世界に送られ、最初は怒りを覚えていた恭也だったが、初めての奴隷を連れての脱走がうまくいったことで満足感を覚えつつあった。


 恭也は高校卒業後は警察官になり、一人でも多くの人を助けられればと考えていた。

 しかし恭也が警察官になっていたとしてもできることはたかが知れていただろう。

 そう考えると今回のできごとも悪いことばかりではなかった。


 もちろん親や友人に会えないことは寂しかったが、あの青年の発言を信じるならみんなは傷つくこともなくやっているはずだ。

 奴隷を解放しつつ元の世界に帰る方法を探るという考えを捨てたわけではなかったが、それでも元いた世界に帰ることの優先順位は恭也の中でかなり下がっていた。


 そんな状況で次の奴隷たちとの逃避行をどうするかと考えながら歩いていると、恭也は遠くの空に見慣れないものを見かけた。

 何かの生物の様で、恭也は最初鳥の群れかと思った。

 しかしうっすらと見えるその姿はどうやら人型のようだった。


 恭也をこの世界に送り込んだ青年が言っていた悪魔というやつだろうか。

 現地の人間でも対処できていると青年は言っていたため、助けに行く必要は無いかもしれない。

 しかし今後のために一度この目で悪魔を見てみたいと考えた恭也は、急いで悪魔らしき存在がいる場所へと向かった。


 恭也が現場に駆け付けると、そこでは悪魔の群れとどう見てもその辺りの一般人が戦っていた。

 悪魔と戦っている人々の中には剣や槍を使っている者もいるが少数で、残りは農具やただの棒を振り回して戦っていた。


 衛兵たちと悪魔の群れの集団戦を想像していたため、恭也は一瞬あっけにとられてしまった。

 全員が魔法を使えることもあり、人間側は悪魔の群れ相手に互角以上に戦っていたが数が違い過ぎた。

 戦っている人間の数は二十人にも満たない数で、悪魔たちはその倍の数はいた。


 悪魔の身長は全員が一メートル足らずだったが飛行しており、短剣の様に伸びた爪を使い人々に襲い掛かっていた。

 とりあえず助けようと恭也は決め、人間と悪魔の戦いに横から割り込んだ。

 首輪の転移・発動を繰り返して悪魔を次々と倒しながら、恭也は戦っている人々に近づき話しかけた。


「ここは僕に任せて下がって下さい!」

「あ、あなたは一体?」

「通りすがりの異世界人です!話は後で!とりあえず下がって下さい!」


 突然横から現れて異世界人を名乗った恭也に人々の表情が変わったが、今はそれを気にしている場合ではなかった。

 悪魔との戦いで大なり小なり負傷していた人々は恭也の指示に従いすぐにその場を離れ始めた。


 その後も恭也は悪魔たちの首に次々に首輪を転移させていった。

 刻まれた魔法が弱いため何とか恭也が転移できるこの首輪は、今では恭也の主力武器となっていた。

 時折撃ち漏らした悪魔が近づいてくるが、それらは硬質化した拳で殴り飛ばした。


 人間相手と違い手加減する必要が無いので、恭也は次々と悪魔たちを始末していった。

 そうして悪魔たちが残り数体となった時、恭也から少し離れたところで悲鳴があがり、その後恭也の近くに人が吹き飛んできた。


 恭也が驚いて人が飛んできた方向を見ると、そこには身長三メートルはある筋骨隆々の悪魔がいた。

 少し見ただけで体のどこにも首輪を転移させられそうな場所が無いことが分かり、恭也は苦戦が免れないことを悟った。

 実際恭也の登場で安心した様子を見せた人々も、この巨大な悪魔を見て絶望していた。


「ど、どうしてうちに中級悪魔が…」

「もうこの村はおしまいだ!みんな急いで逃げる準備を!」


 完全に逃げ腰になっている人々に、恭也はすぐに指示を出した。


「僕があいつを足止めするので、その間に逃げて下さい!でもできればあっちに火属性の魔導具があるので、それで援護してくれれば助かります!」


 恭也は魔導具を置いてきた場所を近くの人々に伝えると、急いで中級悪魔と呼ばれていた悪魔に戦いを挑んだ。

 実際に中級悪魔と対峙した恭也は、その巨大さに飲まれそうになった。


 しかしどうせ死なないのだからと考え、とりあえず硬質化した拳で悪魔の胴体に殴りかかる。

 身長百七十センチ後半の恭也が胴体を殴ろうとするだけで背伸びをしないといけない。

 絶望的な体格差だったが、それに絶望する暇もなく恭也は悪魔が大振りした右腕をまともに食らい、数メートル吹き飛ばされてしまった。


『硬質化』を発動していたにも関わらず体中に衝撃が走り、数秒視界が揺らぐ。しかしすぐに恭也は、悪魔に視線を向けた。

 そんな恭也目掛け、横向きの竜巻と今までこの世界の人間が作り出したものとは比べ物にならない程巨大な水の刃が飛んできた。


 回避は不可能なタイミングだったが、『魔法障壁』を張りなんとか防いだ。

 しかし障壁にひびが入り始め、恭也が慌てて横に跳んだ直後に障壁は割れてしまった。


「え、ちょっ…。あれが壊されるってまじ?」


 誰に言うでもなくつぶやく恭也に悪魔は次々と魔法を叩き込んできた。

 悪魔の使ってくる魔法は竜巻と巨大な水の刃の二通りしかないのだが、恭也の創る『魔法障壁』では二秒と防げない威力を持っていた。


 そのため恭也は、しばらくの間神経をすり減らすような回避を続けなければならなかった。

 そうして何度も恭也目掛けて魔法を放ち、ようやく中級悪魔は自分の魔法が恭也には決定打にならないと理解したのだろう。


 中級悪魔は魔法での攻撃を止め、今まで使用していなかった羽を広げた。

 このまま空に逃げられたら恭也では追う手段が無い。

 一瞬このまま逃げてくれるならそれでもいいかと考えた恭也だったが、再びこの場所が襲われることを考えるとできればここで決着をつけたい。


 さすがにここにずっといるわけにもいかないからだ。

 こうした恭也の願いが通じたわけではないだろうが、幸い中級悪魔は逃げたりはしなかった。

 悪魔は一度羽を動かすと、地面すれすれを高速で飛んで恭也に殴りかかってきた。


 慌てて横に跳んでよけようとした恭也だったが、恭也の進路をふさぐ形で中級悪魔が竜巻を放った。それにより恭也は動きを止めてしまい、直後に中級悪魔の拳が恭也の腹部にめり込んだ。

 とっさに『硬質化』を使った恭也だったが、薄い鉄板程度ならたやすく貫く中級悪魔の力の前では時間稼ぎにしかならなかった。


 拳による攻撃を十発以上叩き込まれた恭也は十秒もかからず死に、その後すぐに新しい能力『物理攻撃無効』を獲得して蘇った。

 自分の攻撃により死んだはずの人間が蘇り、さらに傷までが全て治っている。


 その後いくら殴ろうとも恭也が涼しい顔をしていることが中級悪魔を焦らせた。

 また『硬質化』発動時と違い、『物理攻撃無効』発動時は恭也の体の硬さ自体は普段と変わっていないことが悪魔の困惑を深めていた。


 しばらく中級悪魔の攻撃を大人しく受けていた恭也だったが、全く痛みを感じないことから新しい能力の内容自体はすぐに理解できた。

 しかし能力の内容とは別の問題があり、恭也はすぐには動けなかった。


 中級悪魔に殴られる度に、自分の中の魔力がみるみる減っていたのだ。

 助け出した人々から話を聞き、恭也は自分にも魔力があることは理解していたし、能力を使う度にそれが減っているのを実感していた。


 しかし今回の減り方は今までの比ではない。

 早めに勝負を決めないと魔力が切れ、蘇ることすらできなくなってしまうかもしれない。

 そう考えた恭也は、中級悪魔に攻撃を仕掛けた。


 大柄な相手に馬乗りになられているという圧倒的に不利な状態だったが、攻撃が全く効かないという有利がその差をわずかながら埋めた。

 その後数分程恭也と中級悪魔がお互いノーガードで殴り合った後、中級悪魔は手を恭也に直接つけた状態で魔法を発動すれば恭也にダメージを与えられることに気がついた。


 それにより中級悪魔は恭也を一度は殺すことに成功したのだが、それは恭也に『魔法攻撃無効』を与えただけだった。

 自分が撃ち出した竜巻により腹部が吹き飛んだはずの人間が次の瞬間には蘇り、なぜか魔法も通用しなくなっている。


 弱者への蹂躙が好きなだけの中級悪魔の心はここでようやく折れ、上空に逃げ出そうとした。

 そうはさせまいと中級悪魔に飛び掛かる恭也だったが、腕力では中級悪魔の方が圧倒的に上だ。

 恭也は全く相手にならず、中級悪魔は恭也にまとわりつかれたまま空に飛ぼうとした。


 しかしいざ飛ぼうと思ったら恭也が邪魔だったのだろう。

 中級悪魔は何とか恭也を叩き落とそうとした。

 しかし『物理攻撃無効』発動中の恭也は、叩き落とすのはもちろん押して動かすこともできないので、中級悪魔は自分にまとわりつく恭也を相手に苦戦していた。


 そんな中級悪魔の背中に魔導具により強化された火属性の魔法が炸裂した。

 全く警戒していなかったところに攻撃を受け、中級悪魔は動きを止める。

 恭也と中級悪魔が魔法の発射元を見ると、そこには恭也がサキナトのメンバーから奪った魔導具を手にして震えている男の姿があった。


「す、すみません。火の魔法が使える人間集めるのに時間がかかってしまって」


 恭也が男の後ろを見ると、他にも三人の男の姿があった。魔力の消費が激しい魔導具を連続して使うための人手をわざわざ探してくれたのだと理解した恭也はここが勝機だと悟った。


「僕に魔法は効きません。僕ごとでいいので悪魔を魔法で攻撃して下さい!」


 それだけ言うと恭也は動きを止めていた中級悪魔にしがみついた。


「早く、急いで!こいつ逃がしても、僕明日以降あなたたち守るつもり無いですよ!」


 当の恭也に急かされ、ようやく男たちは恭也もろとも悪魔を焼き払い始めた。

 その後二人目の男の魔力が限界を迎えそうになった頃、悪魔は完全に焼き尽くされた。

 戦いが終わった瞬間、恭也は深く息を吐き脱力した。


「これが中級、…中級か…」


 中級悪魔を倒してしばらくの間、恭也は放心状態になっていた。

 今回戦った悪魔は村人による支援が無ければ倒しきることはできなかった。

 そんな悪魔が中級だと言うのだから、恭也の受けた衝撃は小さくなかった。

 しかしいつまでもこうしているわけにもいかない。

 悪魔についての詳しい情報が知りたかったこともあり、恭也は彼らから詳しく話を聞くことにした。


「さっきはありがとうございました。みなさんの魔法での援護が無かったらあの悪魔は取り逃がしていたと思います。本当に助かりました」

「いえ、こちらこそあなたが助けてくれなければ、村を捨てて全員で逃げ出すしかありませんでした。ありがとうございます」

「いえ、気にしないで下さい」


 いつまでも礼を言い合っていてもしかたないので、恭也は本題を切り出した。


「先程も言いましたけど、僕は異世界人です。だからこの世界のことについて疎いので、質問をしてもいいですか?」

「は、はい。私たちで答えられることでしたら。あ、とりあえず立ち話も何なので村までどうぞ」


 恭也を助けてくれた男の一人、キースにそう言われ、恭也は村まで案内された。

 村に行く途中、恭也の視界にはけがの治療を受けている者や治療を受けて村まで運ばれる者などがひっきりなしに入ってきた。


 それを見た恭也は、改めてこの世界に送られる前に青年が言っていた『悪魔はこの世界の住人でも対抗できている』という説明が信じられなくなっていた。

 すぐにでも説明を受けたい恭也だったが、さすがに悪魔による襲撃を受けた直後では迷惑だろう。

 そう思った恭也は一度用事をすませた後で出直すと言ったのだが、キースはその必要は無いと言ってきた。


「下級悪魔に襲われた場合はほとんどの場合が軽傷ですし、今回は村まで攻め込まれたわけじゃありません。村を救ってくれた方の相手をするぐらいの余裕はありますよ」


 このキースの発言の裏には、村を救ってくれたとはいえ異世界人を見張り無しで放置はできないという村人たちの思惑があった。

 恭也はそれに気づいていたわけではないが、あまりゆっくりもしていられないというのも事実だったので、キースの家へと向かった。

 キースの家に着いた恭也は早速気になっていた点を尋ねた。


「僕の聞いた話ではこの世界の人たちは悪魔たちに対抗できているってことだったんですけど、さっきの戦いは結構危なかったですよね?」


 恭也の質問を聞いてキースは否定も肯定もできないといった感じのあいまいな表情を浮かべた。


「その話を誰から聞いたのか知りませんけど、正確ではありませんね。確かに先程あなたも見たあの小さい悪魔、下級悪魔なら私たちでも倒せます。でもさっきのデカブツ、中級悪魔は街の衛兵たちがきちんと武装して戦って、ようやく勝てる強さです。それでも被害は出るでしょうが」

「なるほど。…ところでこの村には衛兵はいないんですか?」


 先程悪魔の群れと戦っていた人々は、そのほとんどがとても武器などと呼べないもので戦っていた。

 もしかしてと思い質問してみた恭也だったが、キースの回答は予想通りのものだった。


「衛兵がいるのはちゃんとした街だけで、こんな百人も住んでないような村にはそんなものいませんよ」

「悪魔が来ても助けてはくれないんですか?」

「どうですかね。頼めば助けてくれるかも知れませんけど、ここから一番近い街まで三日はかかりますからね。助けを呼んで戻ってきた頃には戦いが終わってますよ」

「他の国でも、いやこの国の他の村でも同じような感じなんですか?」

「他の国のことまでは分かりませんけど、うちの国では大きな街以外はどこもこんなものだと思いますよ。悪魔の群れを放っておくと危険なので、頼めば退治はしてくれるでしょうけど」


 キースが言うには悪魔の群れを放置すると、更なる悪魔が発生する原因となってしまうとのことだった。

 そのため中級悪魔がいる群れとなれば、国も正式に動いてくれるはずとのことだった。

 とは言ってもあくまで村の救援ではなく悪魔の討伐が目的となるため、村自体には国は何もしてくれないだろうとキースは淡々とした様子で言った。


「そもそもここに村があるってことすら知ってるか怪しいですしね」

「そんな適当なんですか…」


 戸籍や行政サービスが当たり前の世界から来た恭也には国が管理していない自治体があるという事実は衝撃的だったが、キースの様子からするにそれが当たり前なのだろう。

 これに関しては恭也はこれ以上何も言わず、次に気になっていることを尋ねた。


「この村って奴隷いないんですか?」


 もしいたら率先して戦わされていそうなものだが、戦闘中はもちろん村に来てからもそれらしき人物を恭也は見ていなかった。

 そしてキースの返事は先程同様恭也の予想通りのものだった。


「はい。うちの村じゃ銀貨なんて見たことない人間もいますからね。話に聞いたところだと奴隷って銀貨数枚だそうじゃないですか。いたら便利なんでしょうけどうちの村じゃとても買えませんよ」


 笑ってそう言うキースを見て恭也は少なからずショックを受けていた。

 こうして話している限り、目の前の青年は善良そうだ。

 もちろん二十年も生きていない恭也が騙されている可能性もあるが、少なくとも恭也はキースと話していて嫌悪感を覚えることはなかった。


 そんなキースですら奴隷をいたら便利だと言う。

 ネース王国において奴隷が悪事でもなんでもなく、あって当然の制度だということを恭也は認識させられた。


「あの、どうかしましたか?」


 深く考えずに思い立った奴隷解放という行動指針の大変さにようやく気づき、考え込んでいた恭也にキースが緊張した様子で話しかけてきた。

 どうやら気づかないうちに恭也は黙り込んでいたようだった。恭也は空気を変えようと新たな質問をした。


「もう一つ気になったんですけど、下級や中級がいるってことは上級悪魔もいるってことですよね?」


 これは先程の戦いが終わってからずっと気になっていたことだった。

 中級ですらキースたちの手助けが無かったら倒せなかったのだ。

 もし上級悪魔などと戦う羽目になったら、恭也が殺されることはなくても周囲を守り切れないだろう。

 そう考えた恭也だったが、キースは苦笑いした。


「上級悪魔なんて心配する必要ありませんよ。うわさでは中級悪魔が大量の人間を殺してなるとか、強力な魔導具を取り込んでなるとか色々言ってますけど、ここ数百年は現れてませんからね」

「でも現れたことがあるんですよね?」


 前例があるなら油断は禁物だろう。

 そう考えた恭也だったが、対するキースは気楽な態度を崩さなかった。


「魔導具の技術も発達してなかった大昔の話ですよ?まあ、大きな国には昔現れた上級悪魔の力を封印した一点物の魔導具があるらしいんで実在はしたんでしょうけど、おとぎ話の存在ですよ」


 ネース王国の国民であるキースに、助け出した奴隷を連れて逃げている最中とは言えないので、初耳のふりをして恭也は質問を続けた。


「へぇ、そんな魔導具があるんですか。能力は分かりますか?」

「まさか、国の最高機密ですよ。王様とかしか知らないと思いますよ?」


 上級悪魔は確かに恐ろしいが、実際の脅威が少ないと聞いた恭也の興味は、上級悪魔からそれを封印した魔導具に移っていた。

 魔法ではなく悪魔を封印した魔導具なら魔法の属性を持っていない恭也でも使えるかも知れない。


 そうすればここ数日の間痛感している自身の攻撃力不足を解消できるかも知れないと考えたからだ。

 現在の恭也の攻撃手段は、『硬質化』を発動しての肉弾戦と首輪を転移して相手の首を斬るの二通りしかない。


 そのため先程のように体が大きく首輪が通用しない敵には手こずってしまう。

 助け出した人々から聞いた限りでは善政を行っているセザキア王国とクノン王国から強力な魔導具を奪うのは気が引けるが、国ぐるみで人さらいと奴隷売買を行っている国からなら奪うのはありなのではと恭也は考えていた。


 この考えについては割と真面目に検討し始めた恭也だったが、今は助け出した人々をそれぞれの母国に送り届けるのが先だ。

 そもそもおそらく目的の魔導具があるであろうネース王国の首都の場所さえ恭也は知らない。またそれとは別件でこの村の状況を知り、新たにやりたいことができた。

 とりあえず目先のことを一つずつ片づけていこうと考え、恭也は村を離れることにした。

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