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行動

 大きな扉が閉まると、スマホの明かりだけが頼りになり、建物内が暗くなる。太陽の光は差し込んでくるものの、窓からだけとなり、床を所々照らしているだけだった。踊り場に居た六名は、大きな扉に急いで駆け寄った。


「おい……開かないぜ? さっきは簡単に開いたよな?」

「あ、あぁ。僕が開けたんだ。軽く引っ張っただけで開いたよ」

「気味が悪いですわ。早く、出ましょう?」

「よ、よし。壊してもいいから、全員でぶち破るぞ!」

  

 簡単に開いた大きな扉は、頑なに閉ざされていて殴り、蹴って、体当たりしても開くことはなかった。スマホのライトで床を照らして、何か武器になるものが落ちていないかを付近を全員で探し始めるが、それらしいものを見付けることは出来なかった。


「みなさん、あまり動かないほうがいいかと思います。本当に不気味です」

「ねぇ、ちょっとスマホ見て! 電話しようと思ったんだけど電波がないの! 圏外になってる!」

「それだけではありませんわ。時間も変ですわよ」

「おいおい、まじかよ……俺のも狂ってるぜ。それに、ネットにもつながらねぇ」

「ねぇねぇ、どうしたの?」

「どうしたのって? お前何言って……んだ?」


 大きな扉の前で、スマホを見ながら話し合いをしている。辺りを照らしているのは、スマホのライトと窓から差し込む、微かな太陽の光だけ。電話は繋がらず、インターネットにアクセスするこも出来ない。スマホの時計は狂い出し、身に着けている時計もまた同じで、現在の正確な時間が分からないでいる。


「なぁ、みんな。さっき変な声、聞こえなかったか? どうしたの?ってさ」

「変な声? 僕には聞こえなかったよ?」

「私も…」

「い、いや、俺もだ。へ、変なこと言うじゃねぇぞ」

「同感です。今この状況で、そんなこと言う人はここにはいませんよ?」

「全くですわ。今は、早くここから出ることだけを考えますわよ」

「そ、そうだよな……すまねぇ、みんな。変なこと聞いちまったぜ」


 みんなで、どうやってここから出るか、再び話し合いを始める。電波は届かないし、時間も分からない上に、大きな扉は開かない。少しでも明るくしようと全員で、スマホのライトを床や壁を照らしている。床は足跡がはっきりと残るほど砂と埃だらけで、壁には肖像画が飾られているが、植物の蔓や埃まみれになっていて光を当てても分からないほどだった。光が差し込む窓は、その更に上にしかなく、ほぼ天井に近かった。

 砂が混じって埃だらけの床に座り込む、健一と太一、洋介。綾と桜、鈴音はその場に立ったまま会話を続けている。


「なぁ、どうするよ? このまま、ここに居ても外には出られないぜ?」

「僕もそう思う。他に出口がないか、探してみないか? それに、僕たちは霊の写真を撮りに来たんだよ?」

「最初の目的はそうでしたが、ここの洋館本当に不気味です。ここで大人しくしていたほうがよいのでは?」

「さ、桜さんの言うとおりですわ」

「桜ちゃん、鈴音ちゃん、大丈夫だって! 俺がついてるじゃんか!」

「わ、私もそう……思うなぁなんて。面白半分で来ちゃったけど、ちょっとヤバイかも」

「ねぇねぇ、どうしたの?」

「どうしたのって……誰なの!」


綾は、咄嗟に振り向き、スマホのライトを当てた。他の五人は、綾の行動を見ると、同じ方向にスマホのライトを当てる。その光の先には、一枚の肖像画を照らしていた。

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