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中学戦記  作者: SAY
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〜第一章〜小田原中学校

 第一章  〜小田原中学校〜


武田が学校前まで行くと、校門が白やピンクの紙で作られた造花をあしらって待ち構えていた。

今日は入学式。別に武田を待っていたわけではないのだが・・・。

正面玄関に入ると20代半ば頃の女性がソワソワしながら廊下を行ったり来たりしていた。

「・・・何してんだアンタ、こんなところで。」

武田は落ち着かない様子の女性に話しかけた。

女性はピタリと動きを止めて振り返るや否や、

「武田くん!なにしてんだじゃないでしょ!もう!」

女性は心配そうな顔をしながら武田に近づいて来て言った。

「今日は入学式だからあれだけ遅刻しないように言ったじゃない。お家に電話しても誰も出られないし、先生てっきり何か事故に巻き込まれたんじゃないかと思って心配したんだから。」

彼女は武田が1年の時、クラスの担任を受け持った毛利という女教師だ。

「アンタには関係ねぇだろ。」

今朝の事もあってか武田は悪態をつく。

毛利は軽く聞き流して、

「早く式場に行くわよ。」

そう言って駆け足で武田を式場である体育館まで連れていった。

武田も渋々ながら付いていった。

武田はこの毛利という先生が嫌いではなかった。どこか抜けていて他の生徒や教師からイジられるようなキャラクターだったが、武田に対して遠慮や気遣いをせずに接してくる数少ない人間だったからだ。

「目立たないように静かに入っていくのよ。」

毛利が小声で武田に指示した。

体育館では誰かお偉いさんの挨拶が終わったらしく拍手の音が響いていた。

武田は言われたとおり静かに自分の席まで歩いて行って綺麗に並べられているパイプ椅子に座った。

「・・・えぇ、それでは生徒会長の真田君から新入生への皆さんに挨拶があります。」

そう司会役の教師が言うと、3年生の座る席から体躯の良い男が堂々とした態度でステージに上がり、マイクの前に立った。

「皆さんご入学おめでとうございます。

生徒会長をさせてもらっている3年生の真田です。

ついこの間までランドセルを背負っていた皆さんですが、中学校に上がって心境の変化はもう出てきましたか?

まだ出てない人もこれから始まる新しい生活環境で自然と、責任感や自主性、協調性などを持ってだんだんと成長していく事と思います。

ここは、ただ部活動や勉強をする所ではありません。

いろんな事に驚いたり、笑ったり、怒ったり、時には泣いたりもするでしょう。

ここで過ごす3年間のうちに様々な出来事が起こると思います。

その一つ一つを胸に焼き付けていってください。

えぇ・・・あまり話が長くなるのもなんなので、少し早いですがこの辺で僕の挨拶は終わらせてもらいます。

最後に、皆さん・・・小田原中学校へようこそ!」

ぱちぱちぱちぱち・・・短い挨拶を終えた真田に拍手が送られ、彼は一礼してステージを降りた。

この後の入学式は相変わらずつまらなく長い話が続き、武田はこんな事なら遅刻ついでにサボってしまえばよかったと後悔した。

数時間後、ようやく最後の校長の挨拶が終わって、新入生、2年生、3年生それぞれが新しい教室に向かう時がやってきた。

武田も他の生徒に付いて教室まで移動した。

新しい教室、2年2組での武田の席は窓際で、一番後ろの席だった。

周りを見ても武田が友達と呼べる人間は1人もいなかった。

アノ出来事があってから武田は人と上手く付き合うことが出来なくなった。

また人に裏切られる事が怖くて、裏切られるくらいなら独りのほうが気楽でいいと考えるようになったからだ。

そういう武田をおもしろく思わない人間が武田を刺激し、手の早い武田はしょっちゅう喧嘩して、何度か停学処分を受けていた。

そんな事もあって、周りの人間も武田を怖がり、距離を置くようになっていた。

武田は席に着くなり、

(これから1年間、またどうでもいい毎日が繰り返されるのか。)

そう思い、机に伏せて寝る体勢になった。

数分後チャイムが鳴り、教室に教師が入って来て、それまで生徒の話し声で騒々しかった教室もやっと静かになった。

「これから1年間、皆さんのクラスを受け持つ事になりました毛利です。私の事を知ってる人も、知らない人も、これからの1年間一緒に、楽しく明るいクラスを作っていきましょう!」

毛利の声を聞いて武田は顔を上げて驚いた。

これで2年連続同じ担任だが、他の嫌味ったらしい教師が担任になるよりは嬉しい、と正直に武田は思った。

そんな武田を見て、毛利は優しく微笑み掛けた。

武田は急に恥ずかしくなり、また机に伏せて寝たフリをして、まだ自分にもこんな感情が残っていた事に驚いた。

第一章が終わり、話が全然進んでない事にビックリです。

これからの展開を考えると年内に書ききれるかどうか・・・

不安でいっぱいです。

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