表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月が綺麗なお話  作者: マナティ
5/23

少女 青菜

「おーい!迷ったの?大丈夫?」

あまりに緊張感のない声で野村が話しかけている。

僕は迷ったが、茂みに隠れることにした。


女の子はびっくりしたようで、

「…?!…。」

何か言っているようだが、声が小さくて聞き取りづらい。


代わりに女の子が連れていた動物が

「シャー!!!!!」

と鳴いた。


鳴き声からすると猫か蛇なのかと思うが、見た目は犬のようだ。

何かわからない。


「おお…さっ散歩?」

少しビビったようで野村はさっきよりは小さな声でなおも続ける。


女の子は小さくうなずいた。


「…あー、びっくりさせてごめんね!俺たち満月を見に来たさわやかな少年で、僕は野村でこいつが…あれ?」


ビビったことが恥ずかしかったのか、急に声のトーンを上げて話し出した野村は、ようやく僕がいないことに気づいたようだ。


野村がここからどう切り抜けるのか見学したかったが、少し悪いと思ったので仕方なく僕は茂みから出た。


「おお!そこにいたか!あいつが佐々木っていうの。…で、貴方は?」


茂みから出てきた僕に目を丸くした女の子だったが、

「…青菜です。」

と答えてくれた。


「おおー!青菜ちゃん!僕達は運命の出会い…」

やばい、野村が暴走している。


焦った僕は、

「ねぇ、どうしてこんな夜に散歩してるの?伝統知ってるよね?」と聞いた。


特に気になっていたわけでもないが、野村の愛の暴走?を止めるために適当に質問しただけだ。


しかし青菜という少女は、グッと険しい表情になった。睨まれているようだ。


「あなたたちこそどうして?満月の夜は出歩いてはいけない約束でしょう?」


約束?伝統じゃないのか?


というか伝統を知ってるということは、やはりこの子は村の子なのか?

だが、見たことないのはなぜか。


青菜の答えで一気に疑問が増えて行く。


「佐々木ぃ、そんなのいいじゃん。」

険悪な雰囲気をぶち壊す、のんびりとした野村の声が響いた。


青菜も毒気が抜かれたように野村を見る。


「満月が綺麗だから、みんな見たくて今日会えたんだよ。な?青菜ちゃんもそうでしょ?それをお前、伝統だがなんだかって。ロマンがない!ロマンが!」


そう言って青菜にウインクするのを忘れない。


青菜はあっけにとられたように、野村を見つめる。


「とにかく雲が晴れるまで、お話ししよう!仲良くなろう!あ、俺お菓子持ってきたから、あっちで座って食べようよ。」


そう言って、お菓子を見せる。

すると「キャンキャン!」

彼女の連れた動物が走って追いかける。


「あ!ちょっと!」

と言いながら、青菜は引きずられるようについていった。


僕はまた置いていかれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ