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月が綺麗なお話  作者: マナティ
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真白湖にて

「おい!待ってってば!」

息が上がる。思ったより野村は走るのが早い。やっとのことで追いついた。


ハァハァ言う僕をよそに、野村は、

「俺が先についた!俺の勝ち!」

とニコニコしている。


僕は少しムッとして

「あっそう。ていうか、今日曇りだから月見えないんじゃないか。残念だったな。」

わざと意地悪な言い方をしてやった。


野村は何でもないという風に

「そうだね。じゃ、あの辺で待とうか。」

と座れそうな石の方を指差す。


「いやいや、晴れるかどうかもわかんないのに、ずっと待ってられないよ。」

と僕は鼻で笑った。


すると不思議そうに野村は

「え?なんで?満月見なきゃ帰れないじゃん?」


いやどんな決まりだよ。


呆れた僕は

「あのさぁ、親とかにバレたらどうするわけ?長い時間いないんだからさ。」


野村はさらに不思議そうな顔をして

「え?親に言ってないの?俺ちゃんと言ってきたぜ。帰れないかもって。」

「は?いや言っちゃダメだろ。決まり破ってんだから。」

「何にも言われなかったよ。いってらっしゃいって。」

キョトンとする野村。

僕は少し焦ったが、野村の両親が村の決まりを知らない様子を聞いて安心した。


「とにかく、満月が出るまでずっとなんて待ってられない。」

「うーん、そうだなぁ…あれ?」


野村は湖の方を向いて、なにかを見つけたらしい。

「なんだよ?」

僕も同じ方向を向いたが暗いし、目が悪いのでなにも見えない。

「湖のところ、誰かいるよ。」

ちょっとゾワっとした。

僕には見えない分、急に怖くなってきた。

「…え?だれだよ…。」

思わず声が小さくなる。


「ちょっと見てくる。」

そう言って野村は早足で歩き出した。

一人にされる方が怖い。

「ちょ!待ってってば。」


僕はあまり前を見ないようにして、野村に慌ててついていった。


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