捕獲
「…俺たち大人は今までミアキスを恐れてきた。今日までな。だが、ラッキーだったよ。まだ子どものミアキスで、しかも生け捕りだ。」
松岡は興奮しているのか、早口でまくしたてている。
「生きたミアキスが捕まえられたなんて…!あ、そうだ!シソーラス人にまだ後何体いるのか直接聞いてもいいな…!」
「せ、先生たちは…何が…目的なんですか?」
僕はかすれた声を出した。
「…ミアキスの生態解明と世に知らしめる事だ。なんたって地球上では、ミアキスはもう絶滅したと見ているからな。こいつを発表すれば、世の中は大変な事態になるだろう。まさに生きた化石だよ。この村の伝統が!秘密が!こんな形で報われるとはな!ハハッ!」
僕はとても混乱していた。
松岡が何を言ってるのかわからなかった。
突然知らなかった村の歴史とか、ミアキスの生態とか、意味不明だ。
ただ、ココアと青菜が危険だということは全身で感じていた。
僕は青菜たちの方を見た。
青菜は何か叫んでいるが全く聞いてもらえず、羽交い締めにされ、どこかに連れていかれている。
ココアに至っては、重そうな鉄のカゴに無理やり頭から押し込められている。
必死で対抗しているが、何人もの大人たちには、かなわないようだ。
「クククッ。大発見だぞ、佐々木。あ、世間にもまだ発表してないから、今日のことはお母さんには内緒にしておけよ。今から外出したこと一緒に謝りに行ってやるからな。」
僕は青菜達の方を向いたまま、松岡にひきづられるように家へと連れていかれた。