脚本4/4
●代々木体育館
住民1「早く避難させろー!」
住民3「子供がいるのよ、お願い!!」
住民4「自衛隊は何をやってんだー!」
隊員、拡声器を手にする。
隊員1「皆さん!救援部隊の到着には、まだしばらくかかります!それまでの間、ここの地下室に避難をお願いします!繰り返します!救援部隊到着までの間、地下室に避難をお願いします!」
●体育館 地下室入り口前
住民たちは列を作って、ブツブツ言いながら地下室に入っていく。
隊5「子供やお年寄り、女性の方を優先させてください!」
住民4「ちっ・・・・」
住民4、しばらく前にいた外国人Aの青年を突き飛ばす。
住4「邪魔だ、外国人!日本人が優先だバカヤロー!」
外A「ス、スミマセン・・・・」
住4「ケッ・・・・」
それを見た住民5が腹を立てる。
住5「おいアンタ、そういう言い草は無いだろ!こんな時に日本人もクソもあんのかよ。」
住4「るっせーなこの野郎、ぶっ殺すぞ!!」
住5「やめろこの・・・・・」
住民4と5がつかみ合いの喧嘩になる。
自衛隊員が慌てて駆けつける。
隊5「ちょっと落ち着いて!落ち着いてください!」
●体育館 ガラス張りの窓際
住民の一人がふと、外を見やる。
住7「・・・・・ゲッ!!」
住民7、大慌てで窓際から逃げ出す。
住7「にっ、逃げろぉぉぉぉっ!」
周囲の人々は訝しげに、走り去る住民7を見る。
●デスレドラ主観カット
体育館の窓に画面が急接近していく。
●体育館 ガラス張りの窓際
次の瞬間、外壁と窓ガラスをぶち破って、デスレドラが突っ込んでくる。
住民大勢「ぎゃあああああ!」
かなりの人数が瓦礫に巻き込まれる。
デスレドラ、しばらく滑走して、建物の中央辺りで停止。
住民たち、大パニックになって逃げ惑う。
隊員4「こちら代々木体育館!怪獣が・・・・っ、怪獣が・・・・っ!」
人々が逃げ出したところに出て行って、機関銃を撃ちまくる自衛隊員。
デスレドラはしばらくの間、周囲を見回している。
デスレドラの顔面や体に、カンカンと音を立て、機関銃の弾が当たる。
突然機関銃の弾を四方八方から浴びせられ、怒り狂うデスレドラ。
狭い施設の中で暴れまくり、隊員たちを吹っ飛ばしていく。
隊6「うわーっ!!」
隊1「退避だっ!全員退避だっ!!」
隊員たちが逃げていくのを追って、デスレドラが突進してくる。
体育館の内部がメチャクチャに崩れていく。
●体育館横の原っぱ
施設の壁を突き破って出てくるデスレドラ。
人々が、原っぱを全速力で逃げていく。
人々「きゃあーっ!」
「いやーっ!!」
「助けてーっ!」
破壊光線を放とうとしたデスレドラの横腹に、レドラが飛び込んできて体当たりする。
デスレドラがよろける。
が、すぐさま尾の一撃を食らい、レドラが吹っ飛ばされる。
人々「!!」
立ち上がろうとするが再び一撃を受け、倒れるレドラ。
デスレドラの目が発光し始める。
人々「あ、あぁぁ・・・・」
恐怖におののく人々に向けて、デスレドラが破壊光線を放つ。
しかし、レドラが立ちふさがって盾になる。
衝撃でレドラがよろける。
再び、破壊光線。
よろけるレドラの背中に命中する。
生々しい音とともに、レドラの翼が千切れ飛ぶ。
痛々しげな咆哮が響く。
人々「あぁっ!」
レドラは倒れそうになるが、必死に踏ん張る。
振り返ると、デスレドラに向かって突っ込んでいく。
住8「(レドラを見ながら)アイツ、何やってんだ!?」
突然デスレドラの尾が振り下ろされる。
住8,9「うわぁっ!」
レドラが飛び出してきて尾を受け止め、押し返す。
住9「俺たちを・・・・護ってるのか!?」
住8「嘘だろ・・・・!」
人々を襲おうとするデスレドラを、力ずくで押しとどめようとする。
デスレドラの爪が、容赦なくレドラの体に突き立てられる。
●体育館 デスレドラの開けた大穴
崩れた体育館の中から、外国人Aの青年が、頭から血を流した住民4を支えて這い出てくる。
住6が連れの女に声をかける。
住6「お、おい。あれ!」
女「やだ・・・・まだあんなところに・・・・!」
レドラとデスレドラの側を、通り過ぎようとする外Aと住4。
外A「(進みながら)しっかり・・・・してください・・・・・」
住4「あんた・・・・」
デスレドラの頭が、すかさず二人の方を向く。
住6「やばい・・・・見つかったぞ!」
言いながら住6、二人に向かって駆け出している。
女「ちょ、弘樹!何する気!?」
二人の下に駆け寄った住6、一緒に住4を支えて進みだす。
住6「頑張れ・・・!」
住4「ぐ・・・・・」
デスレドラは三人に襲い掛かろうとする。
が、後ろから石をぶつけられる。
デスレドラ、「?」とその方向を向く。
男が一人、離れた場所に立っている。
男はデスレドラに投石を続ける。
男「こっちに来い、この・・・・・化け物!!」
頭にカン!と石が当たる。
デスレドラは言葉どおり、男の方に向かって突進しようとする。
ところが、レドラが尾を掴んで離さない。
デスレドラはレドラの腕を振りほどくと、尾をレドラの胴体に巻きつける。
レドラが締め上げられる。
レドラ、必死に抵抗。
●物陰
少し離れた場所に、住4が下ろされる。
住6「ここまで来りゃあ、大丈夫だろ」
外A「ど、どうも・・・・・」
住6「アンタは?怪我してないか?」
女「弘樹こそ大丈夫なの?いきなりやめてよ・・・・心臓止まるかと思った・・・・。」
住6「そう言うなって。」
住4「・・・・オイ、外国人。なんで・・・・俺を・・・・助けてくれたんだよ・・・・?」
外A「・・・・?」
住4「さっき、あんなこと言ったのに・・・・。仕返しに・・・・見捨てりゃ良かっただろが・・・・・。恩を売るような真似、すんな・・・・。」
外A「何故だか分からないけど・・・・・助けなきゃと思ったから。目の前で死に掛かってる人、見捨てられない・・・・。」
住4「・・・・ああ、そうかい。まったく・・・・テメエはとんだお人好しだよ。」
外A「さっきの言葉はきっと、本気じゃない・・・・・。あなたも必死だったハズだから・・・・・。」
住4「(そっぽを向いて)・・・・・・・・・・・勝手に言ってろバロー・・・・」
●瓦礫の散らばる原っぱ
レドラがデスレドラに踏みつけられている。
足で押さえつけられ、立ち上がれない状態。
デスレドラの足先から電撃が走り、レドラが更に吼える。
戦いを見守る人々が、悲鳴を上げる。
●原っぱに隣接した広場
人々から少し離れた広場に、19式戦車の連隊が到着する。
(CGでやって、4,5台並べてみたい)
小型車量も多数有。
自衛隊員が大勢走ってきて、一人一基ずつ小型ミサイル(MAT)を設置していく。
●中央指令所
伊野「敵からの反撃が予想されます!着弾確認後、すぐに退避してください!」
●広場
現場指揮官「聞こえたな!着弾確認後は即、退避だ!」
隊員たち『了解っ!!』
隊員たちはMATを設置し終わり、撤収する。
指「・・・・発射ぁ!!」
隊員たちが、次々とボタンを押す。
ミサイルが白煙を上げて飛び出していく。
19式の八連装ミサイルも、順次発射される。
(ミサイルは全部CG)
デスレドラに接近する実弾の雨。
デスレドラの脇腹に当たり、激しく爆発が連鎖していく。
これにはたまらず、デスレドラの悲鳴。
爆煙に包まれながら、デスレドラがレドラの上を離れ、そのまま倒れ伏す。
周囲の人々から、「おぉっ!!」という歓声が上がる。
●広場
指「退避ー!!」
隊員たちは全員、一目散に駆け出していく。
●原っぱ
デスレドラ、倒れて横になった状態から、破壊光線。
光線を食らった戦車や車輌が誘爆を繰り返し、粉々に吹っ飛んでいく。
その衝撃で、走っていた隊員たちを始め、周囲の人々が一斉に倒れる。
デスレドラの足から解放されたレドラが、よろよろと立ち上がる。
レドラ、激しく咆哮する。
●UFO内
ジェームズが、画面をにらんでいる。
ジェ「何故だ・・・・レドラよ、何故貴様は立ち上がる!?何故諦めぬ!?」
ジェームズは歯噛みしている。
ジェ「今貴様が守っている日本人共は・・・・人間ではない、ただのケダモノに過ぎんのだぞ・・・・!100年の後デスレドラを生み出すこの者共に・・・・ヒトの持つケダモノたる部分に支配されるこやつらに・・・・守る価値があるのか!?貴様が立ち上がり、傷ついてまで守るべきものなのか!?レドラよ!」
●広場
レドラとデスレドラが、戦闘を続けている。
周囲で見守る人々は、全く身動きが取れないでいる。
先程の住民8、9がいる。
住8「なんで・・・・・なんであの怪獣は、あんなに傷ついてんだよ!?」
住9「・・・・・!」
住8「なんで・・・・・なんで怪獣が・・・・・俺たちを護ってくれるんだよ!?」
住9「・・・・・・レドラ」
●中央指令所
レドラの戦いの様子を、ずっとモニターで見続けている水岡。
目は、画面の奥のレドラだけを見続けている。
水岡「・・・・・・・・・レドラ、お前は・・・・・・」
《デスレドラの尾に打ちのめされるレドラの映像》
水「お前は・・・・・人間だったのか!?人間だから・・・・そんなに人間を守ってたのか・・・・!?レドラ・・・・!」
●原っぱ
吹っ飛ばされるレドラ。
それでも立ち上がる。
『グオオォォッ!』
激しく唸り声を上げる。
レドラは、背後で見守る人々を護るかのように、立ちはだかる。
デスレドラが、近づいてくる。
そのときレドラが、デスレドラのエネルギータンクに気づく。
レドラを踏み潰そうと、粒子ジェットで空に舞い上がるデスレドラ。
ジェットを停止すると、上空から自由落下してくる。
一瞬の後、最後の力を振り絞ったレドラが、落下してきたデスレドラの腹に爪を突き立てる。
タンクごとえぐった腹のパーツが、大地に落ちて爆発する。
デスレドラ、大地に倒れ付し、そのまま動かなくなる。
目が何度かチカチカと発光した後、完全に停止する。
レドラ、咆哮。
人々の間から歓声が漏れる。
ゆっくりとレドラが上空を見上げて、驚いたようなそぶりを見せる。
UFOが音もなく近づいてきて、直下に光線を放つ。
光線に包まれるデスレドラ。
五秒ほど経つと、デスレドラの目が点滅し始め、完全に光が戻る。
すっくと立ち上がるデスレドラ。
腹のタンクも完全に再生されている。
人々から悲痛な声が上がる。
●中央指令所
リー「そんな・・・・・!」
伊野「不死身なのかアイツは!?」
水岡「・・・・・・・」
●瓦礫まみれの原っぱ
レドラ、かすかに唸る。
レドラの鼓動が聞こえてくる。
徐々に、鼓動は大きく、激しくなっていく。
レドラがわずかに震え始める。
見守っている人々の間から、少しずつ声が聞こえ始める。
「レドラ・・・・・」
「レドラ・・・・!」
「がんばれ!」
「あんな化け物に負けるな!」
「レドラ・・・・!!」
”声”が最高潮に達したとき、巨大になり続けた鼓動が突然聞こえなくなる。
完全な無音。
人々の間から光が発生し、レドラに集まっていく。
背中に光が収束していく。
一瞬の間。
次の瞬間、黄金の巨大な光の翼が、レドラの背中から出現する。
覚醒レドラの太く激しい咆哮。
●UFO内
ジェームズ「なっ・・・・なんだこれは!?」
●原っぱ
見守る人々から、感嘆の声。
●中央指令所
水岡「光の・・・・・翼・・・・!!」
●瓦礫まみれの原っぱ
瓦礫の山を挟んで、対峙するレドラとデスレドラ。
レドラだけが、黄金の光に包まれ輝いている。
威嚇の咆哮を続けるデスレドラ。
●UFO内
ジェ「怯むなデスレドラ!・・・・・・殺せ!!」
●瓦礫まみれの原っぱ
デスレドラの両眼が輝き始め、数秒のち、破壊光線が発射される。
瞬時に翼がレドラの全身を包み、ガード。
光に弾かれ、光線は届かない。
光線照射は続けられる。
瞬時に翼が広げられ、それに伴って光線も拡散され、消え去る。
デスレドラが怯む。
翼を広げたまま、レドラの角が輝き始める。
さらに重ねて、”光”がレドラの口に収束していく。
デスレドラは動かない。
光が最高潮に達した瞬間、レドラの口から特大の火球が放たれる。
火球の軌道に、光の粒が尾を引いていく。
一瞬の間。
デスレドラが爆炎に包まれ、粉々に砕け散る。
頭部や腕、装甲などの残骸が、バラバラと降ってくる。
レドラ、うなる。
●UFO内
ジェームズ「・・・・・・・馬鹿な。デスレドラがレドラに・・・・・負けただと・・・・!?」
ジェームズは、ただ呆然としている。
ジェ「馬鹿な・・・・・・馬鹿な、そんなハズは無い!この国で!この時代で!レドラが覚醒できるはずが無い!日本人共はケダモノだったハズではないのか!?デスレドラを生み出しつつあるあやつらに・・・・・・レドラの意志に呼応することなど不可能であったはず!」
ジェームズ、近くの機器を力任せに殴る。
●瓦礫まみれの原っぱ
レドラ、UFOを静かに翼で包み込み咆哮。
― 覚醒したレドラが、デスレドラを撃破したイメージ ―
●UFO内
ジェ「・・・・ハハハ、そうか。認めろというのだな?貴様がデスレドラに打ち勝った事実を・・・・。この事実が、奴らが人間たるゆえの証明だというのだな!?」
ジェームズ、謎の笑い声を上げる。
●瓦礫まみれの原っぱ
レドラが、静かに翼を広げる。
光の翼が巨大に広がっていき、ジェームズのUFOを包み込む。
翼が触れた部分から、光が舞い上がっていく。
●UFO内
ジェームズの周りに、光の粒が満ち溢れてくる。
UFOの内部が、柔らかな光で照らし出される。
ジェームズが、静かに笑い始める。
ジェ「こんな私に・・・・・安らぎを与えてくれるのか・・・・・・。」
ジェームズ、ゆっくりと、目を閉じる。
ジェ「・・・・おもしろい。それならば・・・・・・我が目に映った光景が、私の見出したものが間違っていたというのであれば・・・・・・貴様らはいずれ辿り着けるハズだ。私も、デスレドラも生まれ得ぬ未来へと。・・・・・・私は、貴様らに挑戦してやる。貴様らが勝つのか?はたまた私が勝つのか?その答えはいずれ分かる。・・・・・・・・・・しかし、できれば、私が見誤っていたことを望もう。奴らの勝敗が証明だというのならば、ソレに賭けてやろうではないか。二度と。再開の日が来ぬことを望もうではないか・・・・・・・。」
満ち溢れる光で、全てが真っ白くなっていく。
ジェ「・・・・・・・・・暖かい。」
●瓦礫まみれの原っぱ
レドラが、翼を開いていく。
ジェームズのUFOに、黄金の光が、炎が燃え広がるように広がっていく。
全体がその光に包まれたとき、UFOは、光の粒に変わって消えていく。
まるで、炎が燃え散るかのように。
天空に全ての光が消えたとき、辺りが静寂に包まれる。
天高く轟く、レドラの咆哮。
●原っぱ
全てに見とれていた人々。
戦いが終わったことにも、気づいていない。
●瓦礫まみれの原っぱ
レドラは、両腕を広げ、天を仰ぎ見る。
光の翼が消えていき、光の粒となって、渦を巻きながらレドラに再び集まってくる。
レドラの全身が光り輝き、粒となって消えていく。
ひとつに集まった光の粒が、レドラの形をかたどった後、光の龍となり、陽光の中に飛び去っていく。
一斉に、歓声が沸き起こる。
今までに無かったほどの、大きな歓声。
人々が抱き合い、うれしさに泣き、平和が訪れたことに喜んでいる。
全ての人の、レドラを見送る声。
●中央指令所
伊野「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
オペレーター「よっしゃぁ~っ!!」
オペレーター2「戦いが終わったんだー!」
オペレーター3「ばんざーい!!!」
リー「・・・・・終わったんだ」
●新宿の廃墟
瓦礫の山を歩く隊長と、大澤。
はるか向こうの空へ、光の龍が飛び去っていく様子を、眺めている。
隊長「レドラ・・・・・・」
●指令ビル屋上
水岡が、慌てて屋上に飛び出してくる。
手すりから身を乗り出し、陽光の中に飛んでいくレドラを見る。
水岡「・・・・・・・レドラ」
水岡は険しい表情のまま。
水「ジェームズ・・・・・・アンタの信じていたものは・・・・・変えてみせる」
陽光の中に消えていく、”光龍”レドラ。
・数日後
●指令ビル外 瓦礫の山
瓦礫の撤去が始まっている
水岡と隊長が、作業の傍で話している。
隊「監視カメラ?」
水「ええ。それに・・・・・東京中に流れたジェームズの宣戦布告。この2つは、大きな証拠になります。」
隊「司令室の監視映像は、少し難しいかも知れませんが・・・・・。とにかく、やってみます。」
水「お願いします。俺とジェームズの会話が映っていれば・・・・その映像は力を持ちます。」
隊「分かりました。水岡さんがそこまで言うなら、私も協力させてもらいます。ただし・・・・覚悟はあるんですね?」
水「はい」
隊「・・・・・・・・」
開けた雲の間から差し込む、幾筋もの陽光。
瓦礫の撤去、救出活動が続けられる東京都内。
雨上がりのような陽光が降り注ぐ中、水岡の独白が入る。
◆水岡の心の声◆
『・・・・この世の中にあるイジメも、差別も、迫害も、結局は幼稚でガキみたいな行為なんだ。たとえ、表向きはどんなに立派な理由があろうとも・・・・!そうしていつの間にか、自分の信念も持たない、流されるだけの連中が群がってくる。その無責任さは誤解を生み出し、そして憎しみへと成長していく。そんな負の連鎖の中に、ジェームズという男は生まれたのだろう。・・・・・誰かが理性を保てたなら、本当の意味で”人間”になれたのなら、もしかしたら、こんなことにはならなかったかも知れない。』
一呼吸置く。
『しかし俺は・・・・・これから、どうするべきなのだろう?一体、何をしていけば良いのだろう?この事実・・・・未来を知ったことで、俺に何か出来るのだろうか?・・・・どんな些細なことでもいい。俺に出来ることが、どんなものでもいいから存在してほしい。せめて、この未来を知ったことに、何か意味があってほしい。俺は・・・・・この未来を変えたい。』
再び、一呼吸。
『大勢の人たちに、このことを伝えれば良いのだろうか?証拠なら存在している。・・・・けれど、一体どうやって?・・・・・人に何かを教える立場にでもなればいいのか?本でも書けばいいのか?それとも、テレビにでも出て大勢に向けて話しかければよいのか?・・・・・すぐには分からない。いずれにしても、簡単な方法なんて存在しないだろう。何をやったって、上手くいかないかも知れない。たとえ上手くいったとしても、話を誇張して担ぎ上げられたり、酷けりゃ偽善者呼ばわりされるかもしれない。戦う覚悟が・・・・・・必要だ。・・・・・・・・・・・・・俺はやる。俺の知ったことを・・・・少なくとも今は俺しか知らない事実を、伝えていく。それが、今、俺に出来ることならば。俺は・・・・戦う!!』
・エンドクレジット
第一稿完成 2009.1.2.Fri
第二稿完成 2009.2.11.Wed
第三稿完成 2009.3.12.Thu
第四稿完成 2009.3.28.Sat
第五稿完成 2009.6.3.Wed
・エンドクレジット終わって・・・・・・
●バー《竜神》前
マスター「よっこいせ・・・・・。重いな~。」
マスターが店の裏手から、空の酒瓶を入れた箱を引っ張り出している。
道の真ん中を、箱を台車に乗せて運んでいく。
* * * *
箱をゴミ捨て場に置いて、その場を去ろうとするマスター。
青空に散らばる白い雲。
雲の合間を、光り輝く龍が通過していくのが見える。
マ「!?」
マスター、ハッとして空を見上げる
そこには、青い空が広がっているだけ。
マ「・・・・・・まさかな」
そう呟いた後、マスターは歩いてバーに戻っていく。
バーの戸を閉める音がした後、静けさが広がる。
●大空 雲の合間
澄み渡る青空に、僅かばかりの白い雲。
その雲の間を、光り輝く龍が静かに羽ばたいていく。
◇ゆっくりとフェード
終。




