脚本2/4
●中央指令所
デスジラスが撃破され黒煙の上がる様子が、モニターされている。
人々の間に、どよめきが起こる。
官僚B「・・・・すごい」
官僚C「これがレドラの力か・・・・!」
隊「・・・・・・・・」
突然、メインモニターにノイズが入る。
『ザザザッ』という音。
隊長「どうした!何が起こってる!?」
伊野「ジャミングですっ!通信回線に侵入者・・・・・あのUFOからです!」
ノイズが途切れ、急に画面が『ブツッ』と切れる。
その後すぐに、Dr.ジェームズの顔が大写しになってモニターに現れる。
指令室内の全員、『!?』となる。
ジェームズ『・・・・・ごきげんよう。愚かで哀れな島国の民たちよ。私の名前はジェームズ・・・・”Dr.ジェームズ”だ。』
立ち尽くした人々の中から「誰だコイツは!?」という声がする。
ジェ『私は今、この場で、貴様らに対し宣戦布告する。貴様らの戦いは見物させてもらったが・・・・このUFOに傷ひとつつけられず、デスジラスにすら敵わぬとは・・・・・なんとも無力なものよ。』
●東京
東京中のテレビにジェームズの顔が映り、町中に声が響いている。
ジェ『貴様らの最後の希望は・・・・・レドラだ。だが、もうまもなくその希望も潰える。日本人共よ、最期の時へ向けた秒読みは、もう始まっているのだ。残念ながら・・・・―貴様らにとってはありがたいかもしれないが―・・・・このUFOに搭載された兵器は、膨大なエネルギーが必要でな。先日のようなことは、中々出来ないのだよ。・・・・もっとも私個人としては、貴様らにアッサリと死なれるようでは困るのだがね。』
●司令室
ジェ『フフフ・・・・・さあ、日本人共よ。この私に見せてくれ。その無様な姿を!醜くもだえ苦しむ様を!この私の心を満たしてくれ・・・・・貴様らの死を持ってして!フハハハハハハハハハハハ!!』
呆然と突っ立っている司令室の面々。
最初と同じように『ブツッ』と音がして、画面が途切れる。
●目黒区の住宅街
レドラ、散らばったデスジラスの残骸を踏みつけながら歩いて出てくる。
燃え盛る炎の中から飛び立つレドラ。
東京上空を羽ばたきながら、UFO目掛け飛んでいく。
●東京タワー残骸上空
UFOも動き出す。
●司令室
我に返った伊野、自身の扱うモニターを見て言う。
伊「げ、現地より報告。レドラの飛翔を確認、北東へ向けて飛行中・・・・」
リ「・・・・UFOに向かってるんだ!」
伊「UFOも移動を再開。西南西に向けて・・・・・これは!」
隊「・・・・・どうしたんだ?」
伊「このままですと、UFOは3分後に、この本部ビル上空に到達します!!」
官C「ここまで攻撃を食らったらひとたまりも無いぞ・・・・!」
隊長「・・・・総員退避!!」
隊員1「総員退避ー!」
全員が慌しく動き始める。
館内放送「総員退避せよ。繰り返す、総員退避せよ」
ビル内から人が大勢逃げ出してくる。
●本部ビル・正面入口
大慌てで避難する人の群れ。
水岡、突然停止する。
隊長「どうしたんです!?」
水岡「忘れモンです!」
隊「危険ですよ、早く退避しないと!」
水「大切なものなんです!」
そう言いつつ、水岡は建物内に駆け戻っていく。
●司令室
水岡、駆け込んできて自身の荷物を見つけ、ホッとする。
水「良かった・・・・」
水岡、慌てて荷物を引っつかみ、部屋から出ようとする。
水「早く避難しないと・・・・」
その時突然、司令室の中央に光が現れ、その中からジェームズが出てくる。
水「!!」
ジェ「・・・・ずいぶん慌てて避難したようだな。臆病な連中よのぉ・・・・・」
部屋を見回し、一人で呟くジェームズ。
ふと、水岡に気づく。
ジェ「なんと・・・・貴様らは全員逃げたものと思っていたが?」
水「アンタはさっきの・・・・!」
ジェ「驚いたかね?クックック・・・・・」
水「アンタは一体誰なんだ!」
ジェ「ついさっき名乗ったハズだ、我が名はDr.ジェームズ。デスジラスやバグラを創り出したのはこの私だよ。唐突過ぎて、すぐには信じられんだろうがな。」
水「アンタがあの怪獣たちを作ったっていうのか・・・・?何でそんな事を!?」
ジェ「全ては・・・・復讐のため。」
水「復讐・・・・・。」
ジェ「日本人よ、貴様はどう思う?醜き人種を滅ぼす・・・素晴らしいとは思わんかね?」
水「・・・・・アンタのせいで、どれだけ罪の無い人間が死んだと思ってるんだ!?」
ジェ「罪が無いだと?ハッ、笑わせる。貴様ら日本人がどういう連中かは、よく知っている。平然と他者を差別し、侮蔑し、社会的弱者をいたぶることで喜びを感じる、最低の人種だとな」
水「そんな偏見で・・・・・」
ジェ「ん?偏見を持っているのは貴様らの方ではないのか、日本人?日本にはいくつの差別がある?外国人差別にアイヌ民族差別、部落差別・・・・・まだあるだろう。」
水「・・・・・・」
ジェ「貴様らの差別の理由はいつも馬鹿げている・・・・。たとえどれだけの法律ができようと、考え方の根本は変えない。自分たちと少しでも違う者は、迫害しても構わないと思っているのが日本人だ・・・・・。挙句、何も分かっていないガキ共はそれを当然だと思い込み、罪悪感も感じず差別やいじめを行う。歳相応に達した者までが、それを見て止めようともしない。・・・・・貴様らは、いつになったら気が付くのだ?・・・・迫害される者の苦しみを!!」
水岡、押し黙ったまま。
ジェ「・・・・・・貴様らは一度でも考えたことがあるか?本当の意味で人間と呼べるものは、一体何なのかを。文明を扱うのであれば人間か?言語を扱うことが出来ればそれだけで人間なのか?いや、違う・・・・・・そんなものはヒトではあるが、人間ではない。ヒトという名の生物の、下等な次元にとどまった単なるケダモノだ!・・・・・ケダモノが作り上げた国に一体何の価値がある!?」
水「アンタ・・・・・、一体何があった?どうしてそんなに日本人を憎んでるんだ!?」
ジェ「・・・・・・・貴様らの子孫に苦しめられた。ただ、それだけのことだ。」
水「・・・・子孫?」
ジェ「貴様らの醜い姿は、あと数百年経ってもなんら変わっていないということだ!」
水「アンタ、まさか・・・・・」
ジェ「・・・・・まあいい。私がここに来たのは、貴様らの哀れな最期がどのようなものか見物するためだ。身の上話をするためではない。・・・・・偽善者ぶった同情などまっぴらだ!」
水「アンタに何があったのかは俺は分からない。・・・・俺には想像もつかない苦しみを味わったのかもしれない。・・・・けど、よく考えろ!今アンタがやってることは・・・・・・・!」
ジェ「黙れ、畜生にも劣る人間まがいが!理性もやさしさも、人間らしい心は何一つ持たぬくせに偉そうなことを。貴様らなど・・・・・・人間ではないわ!!」
隊長が慌てて司令室に飛び込んでくる。
隊「水岡さん!早く避難を・・・・」
部屋の真ん中に立っているジェームズを見て、隊長の顔が凍りつく。
隊「お前は・・・・・・・・!!」
身動きの取れない二名を見ながら、博士は高笑いとともに光に呑み込まれ消える。
立ち往生している水岡と隊長。
●指令ビル外
UFOがゆっくりと動き出し、次第にビルから離れていく。
隊員達「?」
分隊長「・・・・・攻撃するつもりではなかったのか」
●UFO内
博士、無言でボタンを押す。
ビルの近くに向けて一発だけ光線が発射され、大爆発が起こる。
隊員達「ぎゃああっ」
吹っ飛ぶ隊員達。
●ビル内
爆発の衝撃で、強烈な震動がくる。
水岡&隊長「ぐおっ!」
●UFO内
ジェ「フハ、フハハハハッ」
UFOは、ビルから遠く離れて静止する。
ジェ「・・・・・ではでは。そろそろ日本に滅びてもらうとしよう」
モニターの前のシャッターが開いていき、整備ドッグのような場所が現れる。
そこに、どす黒く変色したレドラが繋がれている。
ジェ「最初に見つけたときは、驚いたぞ・・・・・」
●整備ドッグ内
体色が、どす黒い赤に変わったレドラの頭部。
その目に生気は宿っていない。
ほんのわずかに、唸り声を上げている。
●UFO内
ジェ「蓄積された感情は具現化し龍を模った。これぞ正に、レドラとは表裏一体を成す存在よ・・・・!」
ジェームズ、UFOに向かってくるレドラの映像をモニターで見ながら笑っている。
ジェ「日本人共・・・・貴様らはこれまで、ヒトの人間たる部分によって守護されていた。それがレドラだ。未来への僅かな希望は意思を持ち、健気にも貴様らを守ろうとしていた。だが・・・・・・結局貴様らはこの100年間に、もう一種のレドラを生み出した。それがコイツだ・・・・。貴様らが気づかず、抑えようともしなかった、ケダモノたる部分に意思が宿ったのだよ。クククク・・・・・皮肉なものよ。自分達で育てた怪物が! 今! 貴様ら自身を滅ぼすのだ!」
ジェームズが片手をゆっくりと挙げる。
ジェ「ケダモノより生まれし存在よ・・・・・・我が力と交わりて紅き龍となり、己が故郷に混沌と破滅をもたらしたまえ・・・・・!目覚めよ、デスレドラ!!」
博士がボタンを押す。
●整備ドッグ内
ドッグ内に閃光が満ち、画面中が真っ白になる。
光の中で、レドラの全身各部がサイボーグ化していく。
そして、光が収まった後には・・・・・デスレドラがいる。
●UFO内
ジェ「最強の怪獣。死の紅き龍よ・・・・・!」
モニターには”音声認識システム”の文字が明滅。
別のモニターには、若狭湾沿岸の日本地図が表示されている。
ジェ「若狭湾へ向かえ、デスレドラよ。沿岸にある原子力発電所をすべて破壊し、日本全土を放射能で、死の土地と化す。歴史を破壊し・・・・・・もはや時空の呪縛から解き放たれし我が存在を・・・・・新たなる未来へと導くがよい!」
『行けぇ、デスレドラ!!』
●UFOの下部 瓦礫の山
激しい閃光。
突如、UFO下部にデスレドラが現れる。
●指令ビル外
仲間を救出している隊員たちは、デスレドラの出現に驚く。
隊員4「なんだあの怪獣は!」
水岡と隊長が、ビルの中から走り出てくる。
隊長「!」
水「紅い・・・・・ドラゴン」
そのとき遠くからレドラの咆哮。
水岡たちの遠望に、レドラが現れる。
レドラは瓦礫の中に着地し、デスレドラを見据える。
デスレドラが唸る。
彼方の瓦礫の中に、離れて対峙する二体が見える。
●UFO内
ジェ「来たな、レドラめ。・・・・・デスレドラよ、手始めにレドラを葬り去り、奴らに見せ付けてやれ。自分たちの未来を・・・・・人間がケダモノに敗北するその瞬間を!存分に暴れろ、デスレドラ!」
●瓦礫の山
デスレドラが咆哮をあげる。
●指令室内
隊員1「負傷者の手当ては、なんとか行えています」
隊長「人手が足りなくて大変だろうが、頑張ってくれ」
隊1「ハッ」
隊員は走り去る。
隊長「・・・・・24式を出動させる」
伊「しかし・・・・・さっきの攻撃で、野崎は負傷しています。代わりに操縦できる人間は、今ここには・・・・・」
隊「大澤の方は無事なのか?」
伊「はい」
隊「そうか。砲手が無事なら、レーザー砲は使えるだろう。24式には私が乗る」
伊「隊長!?」
隊「私も、24式の操縦訓練は受けている」
官C「何も、一個小隊の隊長が行かなくても・・・・!」
隊「部下だけを、危険な目に遭わせられません。それに、私が前線にいれば、それだけ的確な指示が出せます」
伊「隊長、自分が行ってはダメでしょうか?」
隊「お前らは今まで通り、ここからサポートを頼む。お前らがいてこそだ」
伊「・・・・・・隊長、必ず帰ってきてください」
隊「約束する」
●指令所廊下
隊長が司令室から出てくる。
隊「終わりました」
水「どうするんです?」
隊「私が、24式で出撃します」
水「・・・・・そうですか」
隊「ところでさっき、部屋にあの・・・・ジェームズとかいう男がいましたが・・・・・。一体、何があったんです?」
水「俺が部屋を出ようとしたら突然現れて・・・・・あの男は、心の底から日本人を憎んでいるようでした。なんていうか・・・・・一言一言に、侮蔑が込められているというか・・・・・」
隊「例えば?」
水「日本人は下等なケダモノだとか、偏見にまみれて差別ばかりしているとか・・・・。”復讐のため”とも言っていました。」
隊「・・・・なるほど。もしかしたらあの男は、何か地獄を見たのかも知れませんね」
水「えぇ?」
隊「いや、単なる憶測ですよ。ただ・・・・・私は何度か、実際に狂気を宿した目を見たことがあるんです。あの時モニターに映った奴の目は・・・・まさにソレだった。」
水「・・・・大河原さん。俺、どうしても気になることがあるんです。奴は、日本人全体を憎むようなことを言っていました。今日の昼間街に出たときも、それに何ヶ月か前にも、俺は、日本人が誰かを差別してる光景を見てるんです・・・・。奴の言ったことが真実なら、俺らは・・・・・」
隊「水岡さん、ひとつ良いことを教えておきます。」
水「?」
隊「私の知っている限り・・・・真に差別感情を抱いた人間というのは、我々の思っているより、よっぽど少ないものなんですよ。我々が目にする多くの光景は、自分の信念もない、周囲に同調するだけの人間が引き起こしているか、そうでなければ無責任さや無神経さに由来するものがほとんどだと、私はそう思っています。」
水「そういうもんですか・・・・・」
隊「一部のバカな人間の行動を、日本人全体に対する悪感情に発展させてしまうのは、大きな誤解だと言わざるを得ません。誰かを差別して喜ぶような低次元な連中より、まともな人間の方がよっぽどたくさんいるんですよ。だから、たとえあの男が我々を憎んでいようとも、私は迷いません。私が戦うのは、まともな大多数を守るためですから。・・・・・それでは。」
踵を返す隊長。
去り行く隊長に向かって、水岡は黙って会釈する。
●ビル傍の大駐車場
24式をはじめとし戦車が発進する。
隊長「行くぞ・・・・・状況開始!」
24式のハッチが閉まっていく。
●指令室内
伊「隊長たちを、全力でサポートするぞ!」
全員「おぉっ!」
●瓦礫の山
『ゴオォォォォ!!』
レドラとデスジラスが雄たけびを上げ、飛び上がる。
超高速で接近。
すれ違いざまに斬り合い、デスレドラはそのまま飛んでいく。
レドラは羽ばたいて方向転換すると、デスレドラの後を追う。
●東京タワーの残骸。
残骸の頂上辺りをデスレドラが二度ほど旋回する。
そこを離れた途端、レドラが襲い掛かる。
デスレドラは上昇してそれを避けると、画面手前に向かって飛んでくる。
レドラもそれを追い、画面手前をレドラとデスレドラが飛び去っていく。
デスレドラは少しだけ振り向くが、すぐに前方に視線を戻す。
そのままビル街の中に突入していく。
デスレドラはビルの間をうねりながらすり抜けていく。
時々、デスレドラ主観のカット。
街中の自衛隊員が報告している。
隊員4「怪獣はレドラを伴い、新宿方面に向かって飛行中!」
●新宿のビル街
空を飛ぶデスレドラの眼前に、巨大なビルが立ちはだかる。
デスレドラの顔アップ。
目がチカチカ発光し、黄色い破壊光線が発射される。
光線が直撃し、ビルは倒壊する。
黒煙の中を、デスレドラが突き抜けていく。
デスレドラの光線が乱射される。
新宿のビル街が吹き飛んでいく。
レドラも火球を放つ。
火球はデスレドラの背中に命中する。
デスレドラは叫ぶと、身体を反転させて道路に着地する。
しばらく後ろ向きに滑ってから、止まる。
レドラは羽ばたきを止め、路上に滑り降りる。
そのままの速度でデスレドラに向かって突っ込んでいく。
レドラの体当たりで、すさまじい衝撃が走る。
デスレドラが後ろ向きのまま、10mほど押されて止まる。
レドラは一旦デスレドラから離れると、その後再び掴みかかる。
だがデスレドラには、あまり効果が無い。
デスレドラは爪をレドラに突き立てる。
レドラは悲鳴を上げる。
デスレドラが頭部を使って、レドラを弾き飛ばす。
レドラはそのまま路上に倒れこんでしまう。
●代々木体育館
仮設避難所となっている体育館。
自衛隊員たちに誘導されている住民達。
住民「おい、何ぶつかってんだよ!」
住民2「なんだよ!!」
住「この野郎・・・・!」
隊員が慌てて止めに入る。
隊員5「ちょっと落ち着いてください・・・・!」
住民3「ね~え~?もっと遠くの場所に避難できないの~?」
住民4「もっと安全な場所はねえのかよ!」
住民多数「そうよ、ねぇ~?」
別の隊員が無線に報告。
隊員2「こちら、代々木体育館。住民から不満が出始めています」
●中央指令所
伊「そこから青梅街道を使って、中野方面に向かってください。近辺の中学校に、体育館の提供を要請しておきましたので、そちらへ・・・・・。今、地図のデータを送信します。こちらからも、避難用バスを数台送ります」
●代々木体育館
隊2「わかりました」
最初の隊員が、少し開けたところに出てきて大勢に向かって叫ぶ。
隊1「みなさん!」
住民たちがそちらを振り向く。
隊1「ここから少し離れたところに、もっと安全な場所があります!これからそちらに皆さんを誘導いたしますので、自衛隊員の指示に従ってください!」
住民の中から安堵の声が上がる。
だが、その中の1人が尋ね返す。
住2「そこまではどうやって行くんですか!?」
隊1「50人乗りの大型バスが一台、ここの裏手にあります!それに順番に乗っていただきます!」
住2「ちょっと待ってくれ!それじゃ、すぐに全員は避難できないじゃないか!」
隊1「本部からも数台、こちらにバスが向かっています!」
住3「こんな危ないところに、残ってたくないわよ・・・・!」
住「俺が先だ!」
住2「何言ってやがる!」
住民達、大混乱に陥る。
隊1「落ち着いてください!他の場所にも応援を頼みましたから、全員が確実に避難できるはずです!落ち着いてください!!」
混乱に乗じて、男が1人だけその場を離れる。
男「冗談じゃねえっつの・・・・・」
男、施設の裏手に出る。
男「・・・、バス・・・、仕方ねえよなあ?」
●体育館裏手
自衛隊員が1人、バスの扉を開けている。
男、近くに置いてあったシャベルを手にとって、そっと隊員の後ろに近づく。
隊員は気付いていない。
男がシャベルを振り下ろし、隊員の後頭部を強打する。
隊2「がっ・・・・・」
隊員2は地面に倒れる。
男「え、へへへ・・・・悪いねぇ」
バスに乗り込んでエンジンをかける。
隊員2は、必死に身を起こす。
隊2「や、やめろ・・・・。君がそのバスを奪ったら、ここにいる人たちはどうなるんだ・・・!?」
男「はっ、知るかよ、そうだな・・・」
男は平然と言い放つ。
男「俺さえ助かりゃいいんだよ。そうだろ?あっはははははは」
男は笑ってバスを出す。
隊員2、ガクッと倒れる。
●新宿のビル街
デスレドラの拳が、レドラの頭部を強打する。
レドラ、倒れそうになるも、態勢を立て直して体当たりをかける。
デスレドラは少しだけ押し返されるが、再び拳を見舞う。
今度は、レドラは倒されてしまう。
徐々に、デスレドラが近づいていく。
突然背後からレーザーが発射され、デスレドラの背中に命中する。
火花が散ってデスレドラが叫ぶ。
24式が、砲塔をデスレドラに向けている。
デスレドラは一声吼えると、方向転換し、24式目掛けて突進してくる。
●戦車内
隊長「とにかく撃ちまくれ。奴を、こっちに引き付ける」
大澤「任せてください・・・・!」
●新宿のビル街
24式はレーザーを撃ちながら後退を続ける。
24式に引き付けられるデスレドラ。
背後からレドラが火球を放つ。
背中に火球がヒットし、再びデスレドラは吼える。
デスレドラが、またレドラの方を振り向く。
その隙に、レーザーが再度発射され、デスレドラ首の辺りを直撃する。
デスレドラが苦しげに吼える。
●戦車内
大「さあ・・・・こっちに来やがれ!」
●新宿のビル街
怒りに任せて、再び24式に向かってくるデスレドラ。
また、レドラの火球攻撃。
連続する攻撃に、デスレドラの怒りが頂点に達する。
デスレドラはビルよりも高く飛び上がると、ジェットを噴射し高速で回転し始める。
破壊光線が乱射される。
全方位への攻撃で、ビルというビルが爆発し、吹っ飛んでいく。
レドラは光線を食らって、悲鳴とともに倒れる。
24式も、光線の乱射で爆発に巻き込まれ、落下する瓦礫の直撃を受ける。
●戦車内
隊「ぐおぁっ!?」
●中央指令所
モニターに、黒煙を上げる瓦礫の山が映っている。
レドラがその中に埋まり、24式も前のめりになって、瓦礫に挟まれている。
伊野「二人とも大丈夫ですか!?」
しばらくして、無線から返事が返ってくる。
隊「あぁ、俺も大澤も、なんとか無事だ・・・・・。レドラはどうした!?」
伊「レドラは・・・・・動きません!」
隊「畜生・・・・・あのサイボーグ野郎が・・・・」
●瓦礫の山
デスレドラが、瓦礫の山の上に着地する。
勝ち誇った咆哮。
ゆっくりと、動けない24式に向かって歩んでくる。
●戦車内
隊「大澤、何かに掴まってろ」
大「はいっ」
24式のエンジンが全開になり、キャタピラが逆回転する。
瓦礫の中から、少しずつ抜け出してくる。
デスレドラの進行は止まらない。
隊「ミサイル発射!」
大「ミサイル・・・・・発射!」
大澤がスイッチを押すと同時に、24式の後部に設置された2発のミサイルが飛んでいく。
デスレドラが破壊光線を放つ。
ミサイルが一発、光線に当たって爆発する。
煙が広がるが、その後ろからもう一発のミサイルが飛んでくる。
不意をつくミサイルが、デスレドラの腹に当たって爆発する。
しかし、ほとんど効いていない。