脚本1/4
・プロローグ
●研究室らしき部屋
たくさんの機械類が立ち並んでいる薄暗い部屋。
コンピューターの画面にズーム。
突然、コンピューターが起動し、画面がつく。
レドラの映像が流れている。
空を飛ぶレドラ。人間を守るレドラ。バグラにトドメを刺すレドラ・・・・・・
突然リモコンの音がして、画面が静止する。
ジェームズの声「クックック・・・・・レドラめ、なかなかやりおるわ」
白衣を着たジェームズが、画面の前で笑っている。
ジェ「だが・・・・・もう終わりだ。私には奥の手がある・・・・!」
●巨大な整備ドッグ内
どす黒い赤色に変わったレドラの頭部が、画面手前に。
(微妙にピントをぼやかす)
ジェームズの声「待っておれ、日本人共・・・・・・滅びの時をな!!」
●研究室らしき部屋
ジェームズが高笑いしながらその場を去っていく。
床を歩く音がコツコツと響いて、消える。
機械音が暗い室内に木霊する。
●時空の狭間
爆音をたてながら、UFOが過去に向かってタイムワープしていく。
◇フェード
●2025年 東京●(フォントはHGS明朝E)
旧・東京タワーを中心とした東京の街の全景。
●防衛省
省内の長い廊下。
廊下を歩いていく隊長と、後に続く水岡。
ある一室に入っていく。
”怪獣対策委員会”
●会議室内
審議長「・・・・・我が国は今、大変な危機に直面しています」
長方形のテーブルを囲んで座る水岡、隊長、官僚4人、審議長。
各人の目の前には、それぞれ小型のパソコンが開かれている。
審「今からちょうど5年前、宮城県仙台市近郊の町に怪獣”デスジラス”が出現し、同時に現れた怪獣”レドラ”と交戦。出現箇所と周辺地域に、多大な被害をもたらしました。その後、前述の”レドラ”および自衛隊の攻撃によってデスジラスは撃破されましたが、その2年後、島根県松江市内に二体目の怪獣である”バグラ”および、先の戦闘から行方をくらましていた”レドラ”が出現。松江市全域が巻き込まれ、再び甚大な被害が発生しました。これで、概要の説明を終えます。」
官僚C「・・・・・松江市での被害は、相当なものだったようですね。」
官僚Cが口を挟み、パソコンを覗き込む。
官C「資料によると、バグラによって破壊されたビルがおよそ70軒。家屋の倒壊により住居を失ったのは568世帯、死傷者は全部で2000人以上。しかも・・・・このバグラが操ったとかいう、ロボットの被害を含めずにか。」
審「ええ。しかも怪獣は、いつ何処に出現するのか予測がつかない。」
審議長が再び話し始める。
審「デスジラスもバグラも報告では、陸地の上に突然出現したと聞いています。海などから来るならともかく、何の前兆も確認できなければ、事前に発見することは困難を極めます。・・・・その上デスジラスのときは、一度日本の領海から逃がしたデスジラスが、ハワイ沖に出現する事態も発生しました。怪獣対策は、決して日本だけの問題とは言えません。」
官僚A「あの時は、アメリカ政府も自衛隊の作戦に賛同してくれたが、それはアメリカにも被害が及ぶ可能性があったからだ。もし今現在で、在日の米軍基地でも破壊されれば、我々を差し置いてアメリカが介入したがるのは目に見えている」
官僚B、続ける。
官僚B「今、このような話をしていますが、そもそも、怪獣は再び現れるのでしょうか?水岡さん、最初にデスジラスと遭遇した、あなたの立場から意見をお聞かせください。」
水岡「現れると思います。」
水岡、即座に答える。
水「サイボーグ怪獣に、ロボット怪獣・・・・・。デスジラスもバグラも、誰かが作らなければ存在し得ない怪獣です。その”誰か”を見つけ出さない限り、永久に怪獣は現れると思います。」
一同沈黙する。
官僚D「ふむ・・・・・じゃあ、デスジラスやバグラはいいとして、レドラの方はどうするんだね?」
隊長「・・・・・と、言いますと?」
官D「レドラは敵なのか、味方なのか、ということだ。」
隊「レドラは味方です」
隊長は即座に言う。官僚Dは遮って、
官D「そんなことは分かっている。だが、現時点では結果論に過ぎないんだよ。そもそも松江市での被害は、レドラが市街地戦を行った結果でもあるんだぞ。怪獣を倒す目的だったとは言え、あの被害は無視できん。奴を味方とみなして援護するのか、敵とみなして攻撃対象にするのか、そこの方針を統一しておかなければ、万が一のときの責任の所在が不明瞭になるんだ。」
隊「・・・・・仰るとおりです。」
官D「いずれにせよ、国民を納得させられる理由が必要になる。だが、どっちの判断を下したところで、我々は非難されるだろう。・・・・・・君たち現場の人間には分からんだろうがね。政治家にとってはむしろ、敵だとハッキリしているレドラ以外の怪獣の方が、対処が楽でいいんだよ。」
隊「・・・・・・」
●何処かの団地
暗い部屋で高校生が1人、ニヤニヤ笑いながらパソコンのキーボードを叩いている。
パソコンの光ばかりがチカチカと目立っている。
高校生「ヘッヘッヘ・・・・・・・」
パソコンの画面は、どこかの動画サイト。
『レゴラ』なるレゴ製怪獣動画が開かれている。
(映像は”レドラ2”そのまんま。”監督・がくがく”となっている。)
高「ハッ」
嘲りの笑みを浮かべ、高校生は高速でキーボードを叩き始める。
高「何が”レゴラ”だよバカじゃねーのふざけんなきもちわりー動画撮ってんじゃねーよカス野郎レゴの株が下がんだよとっとと消えろ死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!」
高校生、言葉通りにコメントを打ち込んでいる。
超高速のコメントで、動画の画面が埋まっていく。
高「この糞厨房!!キチガイ!殺すぞ!殺すぞ!殺すぞ!ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ・・・・・・」
高校生、自己満足に浸っている。
そのとき突然、大きな震動。
高「!!」
埃がパラパラと落ちてくる。
高「え・・・・・何?」
高校生がパソコンから目を離すと、再び震動する。
何度も震動が繰り返され、巨大な足音だとわかる。
高「・・・・・へ?・・・・・え?」
次の震動で部屋全体が揺れ、パソコンが床に落ちてバチバチ鳴る。
高「何なんだよ一体・・・・・」
高校生はベランダに出る。
信じられないものが見え、パニックになる。
高「ヒ・・・ヒィ・・・・・・!ひゃああぁぁぁぁ!!」
●会議室
水岡たちのいる会議室に突然、秘書らしき人物が飛び込んでくる。
ひどく慌てており、全員が注目する。
官僚B「どうした・・・・・何かあったのか?」
秘書、パニックを抑えつつも、
秘書「・・・・デ、デスジラスが・・・・・・旧・東京タワー前にっ!!」
一同、凍りつく。
●旧・東京タワー前
ビルが爆発して粉々になる。
デスジラスが煙の中から現れる。
デスジラス、咆哮。
人々が悲鳴を上げながら逃げていく。
デスジラスが重量感たっぷりに進撃(下からナメるローアングル)。
追い詰められた人々、パニックに陥る。
デスジラスは車を踏み潰して更に近づいてくる。
人々の中に、先程の高校生もいる。
高「ひぃ・・・・ひぃぃ~!」
デスジラス、歩みを止めると人々に襲い掛かる。
人々「ぎゃあーっ!!」
悲鳴虚しく、人々は喰われる。
人間の噛み砕かれるイヤな音。
高「あ・・・・ぁあっ!」
腰を抜かしている高校生。
●路上
戦車部隊が到着する。
デスジラス、血まみれの顔を上げ、唸る。
戦車の砲撃が始まる。
レーザーが乱射され、デスジラスの体に当たってスパークする。
デスジラスはゆっくりと戦車に向かっていく。
戦車、砲撃しながら後退。
デスジラス、ビルの壁を突き崩し更に進む。
戦車部隊は停車し、デスジラスに砲撃を当て続ける。が、効果は無い。
デスジラスが大きく息を吸い込むと、頭部の孔から爆炎が噴出し、大量の火球になって発射される。
火球はしばらく滞空した後、戦車に命中して車体を粉砕する。
デスジラスは進撃を続ける。
そこへ、ビルの陰から巨大な戦車が現れる。
”24式特別戦闘用車両”
24式のパラボラ砲がデスジラスに向かって動いていく。
パラボラ先端の空間が次第に歪み、青いレーザーが照射される。
レーザーをまともに受けたデスジラスの体から、火花が散る。
デスジラス、慌てて後退する。
24式の攻撃は続く。
デスジラスが相当に後退したところで一旦レーザー照射が止まるが、しばらくして再発射される。
デスジラス、怒りの咆哮。
●戦車内
操縦手(野崎)と砲手(大澤)が1人ずつ乗っている。
大澤、野崎の方を向いて、
大澤「もっと前に進めてくれ。奴を追い詰めるんだ!」
野崎「わかった!」
無線連絡が入る。
隊長の声。
隊長の声「よし、次でトドメだ。最大のを食らわしてやれ!」
2人「了解!」
●路上
パラボラ先端の空間が、今までよりずっと長く激しく歪み始める。
デスジラス、24式を睨みつける。
その時突然、激しい閃光がほとばしる。
デスジラスがその光に包まれ、ゆっくりと消滅する。
●戦車内
野崎&大澤「!!」
●中央指令所
モニターを見ていた隊長、驚愕。
隊「なんだこいつは・・・・・」
モニターの空中座標には、巨大な影が映っている。
●ビル街
画面全体が徐々に後退していく。
露わになるビル街の上空。
そこに、巨大なUFOが音も無く浮かんでいる。
◇BGMと共に文字が出現し、メインタイトル。
― レドラ3 THE REVIVING MIND ―
・オープニングクレジット
●製作総指揮
●製作代表
”怪獣再び出現す!!UFOとの関連は!?”
”宇宙人襲来か!!?”
(ネットニュース)
●脚本監修
自衛隊員たちが路上を駆け回っている。
無線で会話している隊員もいる。
●楽曲提供
自衛隊員に誘導されていく人々。
何人かはリヤカーを押している。
同時に、TVニュースの音声が聞こえる。
「これまでのようにレドラが出現するかどうかは・・・・・・」
「自衛隊の開発した、24式特戦車が怪獣を・・・・・・」
「国会で、UFOへの対応が審議されていますが依然として・・・・・・・」
(TVニュース)
●出演者
破壊された町の写真多数。
●
●特技監督
街の中を、一方向へ向けて走行していく戦車が数台。
24式が最後尾で通過していく。
●原作・脚本・監督
東京タワーを手前に置いたUFOの映像。
ビル街の上空に浮かんでいる。
◇白にフェード
・クレジット終わって・・・・・
●中央指令所
隊員が行き来している。
隊員1「途中経過を報告。青山中心部より半径1km圏内、避難完了!」
隊長「ご苦労。引き続き、避難誘導に当たってくれ」
隊1「了解」
隊長、コンピューター前にくる。
隊長「・・・・何か変化はあったか?」
伊野「いえ・・・・全く」
隊長「そうか。だが、気を緩めるなよ」
伊「了解」
隊長、司令室の外へ。
●別室
別室に入ると、水岡が椅子に座っている。
水岡「デスジラスは見つかりましたか」
隊長「いえ、どこにも・・・・・」
水「そうですか。・・・・・やっぱり、UFOの光線で?」
隊「跡形も無く消え去った・・・・・と考えるしかないですかね。これだけ探して見つからないと。」
水「怪獣を倒したのが自衛隊じゃないと、色々うるさいんじゃないですか?マスコミとか野党とか。」
隊「今のところは、UFOの方に関心が行ってますからね。自衛隊の不要論を持ち出したって、大して目立ちはしないですよ。ま、しばらくの間は大丈夫でしょう。」
水「それよりも今は・・・・・」
隊「ええ。あれが、果たして敵なのか味方なのか・・・・・。それがハッキリしないことには、行動が取れませんし。もし敵だった場合は、どうやって撃退するか・・・・・・」
水「・・・・・・」
●中央指令所
コンピューターの画面を見続けている伊野。
突然、画面に何かを発見する。
UFOのサーモグラフィー映像で、UFO内部がどんどん高温になっていく。
伊「これは・・・・・!」
●別室
2人の元に、伊野が飛び込んでくる。
伊「隊長!UFO内部に、強力な熱源を感知!UFOが動きます!!」
隊長は慌てて椅子から立ち上がる。
司令室に入ってきて、モニターに映るUFOを見やる。
●港区のビル街
ビルの上空に浮かんでいるUFO。
UFO下部の砲に光が集まっていく。
徐々に集まった光は収束し、一筋の光線が放たれる。
街の中を、白く細い光線が通り過ぎていく。
一瞬間をおいた後、光線の当たった部分が消滅し、大爆発する。
●中央指令所
司令室の中に強い閃光が入り込み、隊員たちが悲鳴を上げる。
隊長「な・・・・何だ今の攻撃は!?」
伊「UFOは移動を開始っ!東南東へ時速70kmのスピードで・・・・!」
●港区のビル街
UFOは移動しながら、全方位へ光線の発射を続ける。
街中に光線が降り注ぎ、そこら中で爆発が起こる。
町の一角に光線が当たり、自衛隊員が爆発に巻き込まれて吹っ飛ぶ。
隊員6「ウワアァァ・・・・・・!!」
東京タワーの上空で停止するUFO。(下からのローアングル)
全ての砲が稼動し、直下の東京タワーに向けられる。
遠望からの東京タワー。
UFOから放たれた一筋の光線が、直下のタワーを突き抜ける。
(「風の谷のナウシカ」の巨神兵ビームみたいなエフェクト)
しばらくの沈黙の後、タワーが真ん中辺りからグニャリと曲がり始め、次第に崩れ去っていく。
溶けたタワーがほとんど原形をとどめなくなった瞬間、大爆発が起こる。
◇白い画面へフェード
”旧・東京タワー、消滅!!”
”自衛隊員や報道関係者ら犠牲に”
”臨時国会召集 UFOへの攻撃検討”
(新聞記事)
●港区の路上
路上を大勢の人が、荷物を押しながらノロノロと避難している。
避難誘導に当たる自衛隊員たち。
隊員が無線で本部に報告している。
隊員1「港区の住民避難、予定通り進行中。あと2時間ほどで、全住民の避難が完了する見込みです」
水岡が道の脇にいる。
黙って避難する人の群れを眺めている。
水岡「・・・・・」
避難者の中に、外国人らしい男性が1人混じっている。
他の人と同様に荷物を押しているが、誰かとぶつかった拍子に荷がバラバラと落ちる。
外国人A「あっ・・・・・」
落とした物を拾おうとするが、人がぶつかってくるので取れない。
反対側から歩いてきた、感じの悪い女に睨まれる。
女の避難者「ちょっと邪魔よ、どいて!」
外A「うぅ・・・・・」
見かねた水岡、その男の傍に行って荷物を拾ってやる。
水「大丈夫ですか?」
外A「あ、ありがとうございます・・・・・」
片言でお礼を言うと、静かに去っていく。
水岡、呆れるように
水「誰か助けてやれよ・・・・・・・」
そう言って水岡が路上を見ると、反対車線から戦車が進んでくる。
大型のミサイルを一基積載しており、水岡の前をゆっくり通り過ぎていく。
水「・・・・・・」
●中央指令所
隊長が無線で連絡をとりあっている。
無線「港区の全住民、避難完了!」
無線2「こちら第七ブロック、ミサイル設置完了」
無線3「こちら第三ブロック、同じく設置完了」
隊長「了解、別命あるまで待機せよ」
無線から離れた隊長、水岡に気付く。
隊「ああ、水岡さん。外の空気は吸えましたか」
水「・・・・・えぇ、まあ。攻撃するんですか?」
隊「そうなんです。ついさっき、UFOへの攻撃許可が下りましてね。あれだけの破壊力を見せ付けられて、政治家の皆さんも相当怯えてるらしい。またあれに攻撃されたら、この辺りで真っ先に被害を受けるのは、国会議事堂や外国大使館ですしね。」
水「なるほどな・・・・・・」
●中央指令所
無線「照準固定、発射準備完了」
隊長「・・・・発射!」
●街中
戦車に積載されたミサイルが、45度ぐらいに傾いた発射台から発射される。
ビル街の上空を、二基のミサイルが大きく弧を描きながら飛んでいく(フルCGで・・・・・)。
UFOに迫るミサイル。
●中央指令所
伊野の見ているモニターに、UFO周辺の磁場が映し出される。
どんどん巨大で強力になっていく。
伊「・・・・!UFO周辺に、強力な電磁場が発生!尚も増大中!」
司令室のモニターにノイズが入り始める。
●ビル街上空
UFOに接近するミサイル。
ところがUFOの手前で空間が歪み、ミサイルの進行方向は急に曲がる。
ミサイルはしばらく漂った挙句、近くのビルに激突して爆発する。
UFOは無傷のまま。
隊長「ミサイルが・・・・」
●街中
24式が街中を走行してくる。
停車するとパラボラをUFOに向け、レーザーを発射する。
レーザーはUFO直前まで到達するが、空間が歪んで弾かれる。
●中央指令所
伊野が詳細を報告している。
伊「UFO周囲に、強力な電磁場を感知しました。ミサイルは、内部誘導装置の誤作動。レーザーはおそらく、光子の軌道が曲げられたことによるエネルギーの分散。どちらも、あの電磁波の壁によって、引き起こされたものと推測されます・・・・・」
隊長「・・・・・どうしたものかな」
官A「陽電子砲に電磁バリアなんて、空想の産物だと思っていたんだが・・・・」
官B「何か、手は無いのか!?」
官C「・・・・・焦っても結論は出ない。ひとまず、休憩にしましょう」
●指令所の廊下
水岡、公衆電話らしきもので話している。
水「・・・・ああ、こっちは心配ない。大丈夫だって、戦いには巻き込まれねえよ。そういうお前こそ気をつけろよな。いつも、マヌケなことばっかりやってんだから。・・・・分かった分かった。ああ、じゃあ頑張れよ」
水岡、電話を切る。
隊長が別室から出てくる。
水岡に気づいて、
隊「誰かと話してたんですか?」
水「いや・・・・大学時代の後輩でね、石山ってやつがいるんですけど。今でも時々、電話で話したりとかしてるんですがね。向こうも、島根県で警察官やってるんですよ」
隊「・・・・あれ。もしかしてその人って、松江警察署ってところで働いてますか?」
水岡、笑っている。
水「はい。バグラが倒された何日か後に、興奮して俺に電話かけてきましたよ。『レドラを目の前で見た』って・・・・・」
隊「そうですか・・・・」
隊長も笑う。
●指令所の屋上
双眼鏡でUFOを監視している自衛隊員たち。
UFOの下部が強く光り始めていることに気づく。
隊員3「!?」
UFOの直下に光線が発射される。
光が収まると、瓦礫の上にデスジラスが立っている。
デスジラス咆哮。
隊員3「!!」
●中央指令所
司令室内にいる水岡たちのところに、館内連絡が入る。
隊員の声「緊急連絡!UFO下部よりデスジラス出現!!」
隊長「なに!?」
水岡「なんだって・・・・・」
官僚A、どこか嬉しそうに
官A「死んでなかったのか・・・・!」
隊長「戦闘準備急げっ!!」
隊長が立ち上がって部屋から走り出る。
●瓦礫の山
デスジラス咆哮。
粒子ジェットを全開にすると、空中へ飛び立つ。
●中央指令所
伊「デスジラス飛翔!南西へ時速150km!!」
リー「このままだと、目黒区へ到達します!」
隊長、ハッとなる。
隊「・・・・ちょっと待て、目黒区への避難勧告は!?」
伊「勧告は行ってるはずですが、一体何人避難してるか・・・・」
隊「くっ・・・・!駒沢付近の駐屯地へ緊急連絡!20式戦車の出動要請!!」
伊「分かりました!!」
リ「間に合いません!目黒区に侵入します!!」
●目黒区 何処かの住宅街
少年が複数の不良に蹴飛ばされ、ゴミ置き場に激突。
少年「がっ・・・・」
少年、ゲホゲホと咳き込む。
不良A「おい川野・・・・・てめーが同和地区に住んでたってのは本当かぁ?」
少年は無言で不良Aを睨み付ける。
不A「おーおー、見ろよコイツの目つき。こりゃー本当みてーだな。」
不良B「言いふらしてやろーか?ネットで顔写真ばら撒いたっていいんだぜ?ん?」
不良C「ネットは怖いからねぇ~。住所なんかすぐにバレちまうぜぇ?」
不良C、ヒッヒッヒと笑う。
少「どうしろって言うんだ・・・・・」
不B「金だよ、金。俺ら一人につき3万円ずつだ」
不良D「まぁ、税金みてえなもんだよ。堂々と生活するには、納めるところに納めないとってこと」
少年「ふざけんな・・・・・!!」
不良D、少年を足蹴にする。
少「うぅっ・・・・」
不D「生意気な口聞いてんじゃねーぞ、同和地区が」
少年、怒りを露わにする。
少「この卑怯者・・・・・。誰かを差別してそんなに楽しいのか!?」
不A「うーわ、コイツなんかマジになっちゃってるわぁ」
不D「気持ち悪っ!」
不C「さーすが同和地区、気持ち悪っ!」
不D「気持ち悪りぃぃぃぃぃ!」
と、自分たちが気持ち悪い声で叫ぶ不良たち。
少「僕が・・・・一体何をしたって言うんだ!?」
不D「あぁん?」
不A「そもそもなぁ、てめーが同和地区に生まれたこと自体が犯罪なんだよ!」
不良たち、ヒャヒャヒャと不快な笑い声を上げる。
不良たちを睨んでいた少年、不良たちの背後に何かを気付く。
少「ハッ・・・・・!」
不C「あぁ?なんだ、ビビッタのかぁ?」
不良C、後ろを振り向き自分自身もハッとする。
不C「あっ・・・・・ヒ、ヒィ・・・・!!」
不A「なんだよお前まで・・・・・あぁっ!!」
デスジラスが、不良たちの背後に着陸する。
不良たち「ギャアアアァッ!!」
不良が全員、腰を抜かす。
必死でそこから逃げようとするが、なかなか動けないでいる。
近づいてくるデスジラス。
やっとのことで、一人を除いてはゴミ置き場の隅に逃げ込む。
逃げ遅れた不良Aが、デスジラスの足に踏み潰される。
不A「ヒギャアァァァァ!」
人間の骨が砕ける鈍い音がする。
不良B・C・D「うわあああああああああ」
不良三人、恐怖のあまり身動きが取れないでいる。
デスジラスがゆっくりと近づいてくる。
少「あ・・・・あ・・・・」
大口を開けて襲い掛かるデスジラス。
その時横から、紅い影が飛び出してデスジラスを吹っ飛ばす。
少「!!」
その影は・・・・・レドラ!
不良B・C・D「ヒ、ヒィ~ッ!!」
生き残った不良たちは、その場から泡を食って逃げていく。
少年だけが取り残される。
レドラ、一声吼えるとデスジラスへ向かっていく。
デスジラスも立ち上がってくる。
レドラの爪攻撃が、数度繰り出される。
後ずさったデスジラス、大口を開けてレドラに噛み付いてくる。
レドラ、噛み付かれた状態のままデスジラスに押される。
デスジラスの口から逃れたレドラ、突き上げるようにタックルする。
デスジラスが再びのけぞる。
身構えた後、デスジラスが大きく息を吸い込み、火球攻撃。
火球が四方八方からレドラに命中する。
煙に包まれたレドラ、ガクッと体勢が崩れる。
頭を上げたレドラの角が発光しはじめる。
口内にエネルギーが集まり、次の瞬間に燐火球が放たれる。
巨大な燐火球がデスジラスに直撃する。
炎に包まれて、デスジラスが背後のビルに叩きつけられる。
ビルの一部が崩れ落ちる。
自衛隊のトラックが到着し、少年は保護される。
自衛隊員の1人が、トラックの助手席から2体の戦いを見つめている。
隊員2「収容完了です!」
隊員3「・・・・・わかった。」
トラックは、その場を去っていく。
入れ替わりに戦車部隊が到着する
●中央指令所
伊「駒沢の駐屯地より、20式の連隊が現場に到着。また、住民1名を保護したとの報告です」
隊「よし、レドラが戦ってる間に、周辺住民を避難させろ」
伊「了解。・・・・こちら司令室。戦闘に巻き込まれないよう、周辺住民の避難に・・・・・」
●目黒区の住宅街
ビルから這い出したデスジラス、レドラに突進していく。
レドラと掴み合い、押したり引いたりする。
両者一歩も譲らない。
デスジラスがレドラの腕を払い、後退する。
その隙を見計らって戦車が砲撃を開始する。
レーザーを雨のように浴びたデスジラスが、悲鳴を上げる。
レーザーの当たったデスジラスや周辺のビルが火花を上げる。
怒り狂ったデスジラス、通常の倍近い量の火球を発射する。
火球が次々と炸裂し、戦車が炎上していく。
勝ち誇ったデスジラスが、レドラの方をゆっくりと振り向く。
その瞬間、青い火球が目の前に現れる。
避ける間もなく、火球はデスジラスの頭部を直撃する。
光と炎の大爆発。
デスジラスの上半身が、火炎と黒煙に包まれている。
ゆっ・・・・くりとデスジラスは前のめりに倒れていき、大地に倒れ付して大爆発を起こす。
レドラ、勝利の咆哮。