表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/130

第五十一話 疑問



情報撹乱(シャッフル)】の特性を聞いた時、暗殺に最も適したスキルだと思った。


 標的の自分への認識を『初めて会う人間』から『数年来の友人』と認識させれば、物理的にも心理的にも標的まで一気に近づける。周囲の認識も変えれば、人の多い街中で堂々と暗殺し、誰にも気づかれる事なく悠々とその場を去る事が出来るだろう。


 もし、【情報撹乱(シャッフル)】がなかったとしても、さっきまでの戦い方やナイフの腕前を見れば、あの暗殺者が相当な手練れである事は疑いようのない事実だ。


 …だから、分からない。


 何故、この暗殺者は…



「は、はは、はははははははははははは!」


 暗殺者は大きく飛び跳ね、斜めに傾けた体を回転させながら右手に持ったナイフをその回転力に任せたまま、大きく振るう。


「っ!」


 両腕の鎧で右腕に持ったナイフを受け流したものの、暗殺者は回転を止めず、左手に『持ち替えていた』ナイフでさらに追撃を繰り出した。


「!?」


 思わぬ事態に一瞬思考が止まり、受け流しのタイミングが少し遅れた。

かろうじて二撃目も受けながしたものの衝撃が体に響き、動きが乱れる。


「は、はは、ははははは!」


 回転を止めずに、三撃目を繰り出すため再度右手にナイフを『持ち替えた』暗殺者は、


「は、はははははははは!」


 攻撃を受け流そうと集中していた俺をあざ笑うかのように、持っていたナイフを手首だけを使い、至近距離で俺に投げつけた。


「!」


 ナイフをはじいた瞬間、暗殺者の左手がまた俺の傷口へ伸びかけていたのが見えた。

 体を捻り、血まみれの左手を躱すと、


「はははは!」


 暗殺者の渾身の頭突きが俺の脳天に直撃した。



「がっ!」


 身体強化した体でも、まともに立っていられない程の揺れが俺を襲う。

 何とか立った状態を維持するが、


「はははははははは!」


 今度は正面からナイフを振り回し、暗殺者が迫っていた。


「この…!」


 振り回されるナイフの軌道は無茶苦茶で、次にどこへ攻撃が来るのか予想も出来ない。

 今はかろうじて防御出来ているが、視界の揺れが続く中ではいつまで防げるかも分からない。


「ははははははははははははははははははは!」



 笑い続けながらも攻撃を続ける暗殺者にさっきとは違う疑問が浮かぶ。



 …こいつは誰だ?


 自らに【情報撹乱(シャッフル)】をかけて、俺を倒す為に必要なモノ以外全てを捨て去ったと思っていた。

 実際に俺は追い込まれている。


 しかし、いくらなんでも戦い方が変わりすぎている。


 余分な感情や感覚を捨て去り、元々の洗練されていた戦い方が、自分の状態を無視した効率的なモノになるのなら分かる。



 だが、俺が今戦っている暗殺者は、洗練とも効率的ともほど遠い、荒々しい戦い方をしている。



 常識に縛られない戦い方と言えば聞こえはいいだろうが…



「はははははははははは!」


 一つの疑問が新たな疑問を生む。


 何故、笑い続ける?


 何故、さっきと違いナイフを一本しか使わない?


 何故、戦い方はこんなにもさっきとかけ離れている?


 何故、回復魔法が使えるなら自爆ありきの攻撃を最初からしなかった?


 何故…



 …何故、ルナを暗殺するのにここまで回りくどい方法を選んだ?



 


 【情報撹乱(シャッフル)】を使えば、すぐに終わったはずだ。


 俺が暗殺の脅威と判断したのなら、排除するよりもルナの行方を俺達が分からなくなった時点で暗殺すればよかったのではないか?




 これではまるで…



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ