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第九話 復讐の騎士(前編)

「うああああああああああああああ!」



 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!

 

 全てが憎い。

 押え付けられていた物が外れたかのように、堰き止められていた憎しみが溢れ出す。


 自分の中から全く違う力を感じる。


 力がみなぎる…!


「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 獣のように吠えると、体を拘束していた魔法陣が全て弾け飛んだ。

 放出した魔力に耐えきれず、自分を封じ込めていた結界にもひび割れが起きている。

 円形の結界は触れた者の気を失わせる程の衝撃を与え、内側からの攻撃を反射させるものだ。ひび割れが起きたとは言え、衝撃と反射は結界が完全に無くなるまで消えない。


「…なめんじゃねえ!」


 そんな衝撃すら俺には通用しない。

 結界に手の平を押し当てると衝撃が襲いかかってきた。


 その衝撃に何も感じる事が出来ない。


 今の自分には痛みもなければ、苦しみもない。


 あるのは増大する憎しみだけ。

 もうこんな魔法では俺は止められない。


「…ぶち壊れろ!」


 触れた手に魔力を集め、衝撃を押し返すように流す。逆流させた衝撃と魔力は結界のひび割れをさらに大きくし、


 パリーンッ


 ガラスの割れるような音を出して、結界は消滅した。


 結界が破れ、視界には湖とそれを囲むような森が広がる。

 強欲の森の中心地だ。


「………」


 何かを思い出しそうになったが、すぐにどうでもよく思えた。

 こみあげる憎しみが心を焼き尽くす。

 この憎しみをぶつけるべき相手。

 思い浮かぶ顔はあの女…


「スピア・ローズウウウゥウウウゥ!」


 感じた事のない程の魔力が吹き出し、体を包み込んでいくのが分かる。


 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!


 包み込んできた魔力が体に馴染み、形を変えていく。


 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!




 あの目、あの顔、あの笑い、あの存在!





 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!



「ああああああああああああああああああああああああああああああ!」




 許さない。


 俺はスピア・ローズに復讐をする。



 湖に反射した自分の姿が目に入った。



 黒い鎧と禍々しい兜に覆われた復讐の騎士がそこにいた。




 そして、その騎士の前に立ちふさがるように誰かが立っていた。









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