幕開け
side とある男子高校生
その日は、何でもないただの日常の一ページだった。
退屈な授業をテキトーに聞き流して、帰宅部という名の部員数一名の部活に全力に励んで、家で寝転がってテレビを観てた。
「うわ、明日雨かよー。めんどくさ」
今の時間は六時五十分ぐらい。
「にしても、このお天気キャスター可愛いな。」
そんなくだらない事を言いながら、この後に放送されるクイズ番組を待ってたときだった。
「ん?メールか?」
俺のスマートフォンから、初期設定のままの着信音が鳴り響いた。
「…………はあ?なにこれ」
知らないアドレスからだった。発信者は不明、タイトルもなし。本文はただ一言だけ。
「『気をつけろ』?何にだよ」
イタヅラの類だろうなあ、と思い、メールを削除。よし、これでクイズに集中できる。
ーーーその時、家の外には、人の影があったのだが、彼はクイズに夢中になっており、気付いていなかったーーー
side 熱血系ハチマキ少女
「99…………100ッ!」
よし、腕立て伏せ終わり!
部活動はもう随分前に終わってるけど、私は居残って筋トレをしていた。
家でやると、母さんは勉強やれとうるさいし、父さんはやたらと心配してくるし。
筋トレぐらい自由にさせてよー。
「まあいいか!よし、さっさと着替えて、母さん特製のハンバーグを食べに帰ろう!そして、勉強サボろう。」
私、脳を使うようなこと、ホントに嫌いなんだよね。
体を使う運動だったら、何時間でも継続してやれる自信があるけどねっ!
そんなことを一人で考えながら、学校の更衣室へ。やっぱり、更衣室には誰もいない。
「メーウーも部活入ればいいのにー。何が『勉強しないといけないから。いやほんと、マジでついていけなくなるから。』だよー。絶対遊んでるでしょ!」
周りに誰もいないから、なんとなく独り言を叫んでみた。
「独り言って叫ぶものだっけ?まあ、どうでもいっか!」
そんなことを言ってるうちに、帰る準備は既に整っていた。
「あ、もうこんな時間!急がないと、ご飯がなくなっちゃうよ~~!」
私は学校から家に向かってダッシュを始めた!
やっぱり、スピードに乗る感覚はやめられないね!
ーーーそれを見る影があったのには、彼女は気付いていなかった。ーーー
この日まで、『平穏』な世界に生きていた二人の少年少女は、『異常』な世界へと誘われる。
それは、本来生きていく上では、有り得ない転換。
なぜ、彼らは『異常』な世界へと連れられることになったのか。
それは『平穏』な世界の住人には誰にも分からなくて、気づけなくて、理解出来ないナニカ。
そのナニカを理解し、存在に気づき、どんなものなのかも分かる者たち。
彼らは、この『異常』な世界を、こう読むという。
”Cursed World”ーーー「呪われた世界」、とーーー
初投稿です!
不定期投稿ではありますが、よろしくお願いします!