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第9話 寝不足

1000PV!たくさんの人に見て頂けてうれしいです!

のんびり更新ですが頑張ります。

「ユウ大丈夫?疲れてるように見えるけど?」


 連日の寝不足で、優輔はアスールに別の心配をかけてしまった。


「うん。大丈夫・・・ふあぁぁぁ」

「すごい欠伸~!」


 大丈夫と言った瞬間に特大の欠伸が出てしまう優輔。アスールは心配を続けてくれる。


「夜寝れないの?傷痛む?」

「いや、それは大丈夫。寝れないのは別の原因」

「治療神官呼ぶ?」

「うーん。神官さん呼んでも解決しない・・・かな」

「じゃあ、勇者様?」

「勇者・・・ってルイさん?」

「そうそう」


 優輔が入院して10日。寝台から起き上がっても問題ない位に回復しており、そろそろ退院しても良いはずなのだが、実は退院の許可が下りない。

 毎日様子を見に来る神官に「何故?」と聞いても「退院はさせられない」の一点張りで理由は教えてもらえなかった。


 更に、今まで1度もルイは見舞いに来てくれていない。優輔は色々聞きたいことがあったのだが、ルイに会えないことも寝不足の一要因であった。


「勇者・・・かぁ」


(ゲームの話だよなぁ。勇者なんて・・・。まさか会えるなんてね・・・って、そういえば)


「ねぇアスール。勇者って何をする人?」

「勇者はねぇ・・・何だろうね?」

「え?魔王とか倒すんじゃないの?」

「マオウ?なにそれ?えっとねぇ。この前は洗濯物手伝ってた。破いてたけど」

「え」

「その前は家の修理を手伝って余計壊してた」

「う、うん」

「あとはねぇ。迷子を助けてたよ?泣かしてたけど」

「・・・うん。もういいや」

「そぉ?まだあるよ?勇者様の失敗談」

「うん。大丈夫・・・って、やっぱり失敗談だったの?今の!?」

「すごーく強いんだけど、街中だと残念なんだって、かーさん言ってたよ?」

「へ、へぇ。ところで、何でアスールはそんなにルイさんのこと知ってるの?」

「だって、うちの近所に住んでるよ?」

「そうなんだ・・・」


 意外と庶民的な勇者なんだな、と優輔は思った。やっていることは失敗ばかりのようだが。初めて出会った時の身のこなしは達人のそれであったが、イメージが少し崩れてしまった。


「怪我や病気じゃないなら何で眠そうなの?」

「ここを出たら、どんや仕事をしようか?と考えていたら寝不足になっちゃっただけだよ」

「そうなんだ~!ユウは何か得意なことあるの?それとも、属性が分かればできることもわかるかな?」

「そうかも!視てもらうことって可能かな?」

「それなら僕、聞いてくるね~」


 アスールはそう言うと軽快に部屋を飛び出していった。


(属性とスキルかぁ。便利なのだといいんだけどなぁ。って、そもそもあるのか?俺)

 

 さほど時間を置かずにアスールが戻ってくる。


「ユウ・・・」

「おかえり。アスール・・・どうしたの?」


 優輔はアスールがあまり元気がないことに気付いた。

 

「なんか、儀式神官忙しいんだって。退院する時に視るって言われた」

「そっか。うんわかった。ありがとうね。アスール」


(残念だけどしょうがないか。でも仕事がないと住むところがなぁ)


「ねぇ?ユウ。かーさんに頼んでみようか?」

「ん?何を?」

「泊まるところないんでしょ?うちに泊めてもいいか聞いてみるよ?」

「いいの!?」

「もちろん!ユウは命の恩人だし!」

「ありがとう!どうしようもならない時はお願い」

「わかった~!いつでも言ってね」


 優輔が入院してからというもの、この世界に知り合いがルイとアスールしかいない身としては、看病と言う名の世間話をしにきてくれるアスールの優しさに感謝しきりであった。


 更に、アスールの母親も、息子の命を助けた優輔が入院していることを聞きつけ、差し入れを持って訪ねて来てくれた。

 『クリーフ』と呼ばれるそれは、見た目はクッキーに近い。ケーキとパンの間の様な食べ物で、薄く固い。それに蜂蜜を付けて食べるのが、この世界のおやつのようだった。また、朝食や夕食にも出される主食。実は治療食としても度々出されていたが、味も余りしないそれを優輔は苦手に思っていた。

 アスールの母親から差し出れでもらったクリーフは、特別美味しいわけではなかったが、優しい味がした。優輔は自分の母親を思い出してしまった。


(母さん元気かな。夕飯失敗してなきゃいいけど)


 心配が内容がややズレているのは、最早デフォルトである。


 この日も結局退院の許可は出ず、夜の帳が落ちた。いつも通りアスールが帰っていくのを見送り、夕食を食べ終え、寝る準備をしていた。


 その時、何やら廊下が騒がしくなり、数人の人の声が聞こえた。どうやら優輔の部屋に向かってきているようであった。優輔が顔を上げると同時に扉が開かれ、会いたいと思っていた人物が、息を切らして飛び込んできた。


「ユウ!退院だ!」

「えっ・・と。ルイさんお久しぶり・・・です」


 全く噛み合わない会話であったが、優輔の意思と関係なく退院が決まった。

やっとタイトルに近づけそう(笑)


お読み頂きありがとうございました。

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