彼女
三番目の弟が学校から帰った三女『彼女』が次女と共に食器を買う。いまをからっぽになって食べる。薄茶色の教科書が床に散らばって付けた金具がさびている色褪せたポートレートは父が持ってる。ぴかぴかのとうだいを裸足でのぼった父が持って付けた金具がさびている。色褪せたポートレートは父が持った文字で、威を買うのは『影』。
×××
取り出そう
酔った空が青いのかと傘もなく傘もなく雨の午後
店先の雨、つめたい
首すじ百合を強くする次女と母の煙草で一服した
さあこれから何を売るのが五感?
障害なしに直接世界と一体化する
次女と母の煙草で一服した
さあこれから何を?
そのままあるこう
泥と襤褸ぼろ
雨、この世はただよう、うすみどり
あおいはなびらのにがさを買うのは、いま
大きくする目が文字をだれと知った
空が青いのかと、傘もなく傘もなく雨
午後の店、雨
つめたい、首すじ
百合を強くする砂まみれの洗濯もの
サッカーを売ること、この手のくぼみにしずくを
だれが知った?
次女がボーイフレンドと出かけて行く
拳銃がタンスの上から三番目のひきだしに入った
文字が、ココの威を大きくする目が文字を売る
ことめがね
くもりあおい
はなびらのにがさ
を
×××
片付ける壁のほじった絨毯が泥で変色している。窓の、向こうから弟達の声のする目を文字としようと、太陽光線がアルミ屋根の臭いを取り、食べた。
×××
からっぽになった
わたしいま十四
うみよりあおい
×××
はなびらのにがさを取り出そうと、酔った絨毯が泥で変色している窓の向こうから弟達が声にする。読んでもつまらないことをこの手のくぼみのしずくとしようと、太陽光線でアルミ屋根の臭いをときほぐし、完全なイメージの世界へ指の末端まで彼女のすべてを買うために、今溜めよう。
×××
靴にしむ雨葉書の、一文字ひともじ
ながれうかび消えて
傘もなく雨、鳩のむれ、雨
ひとの名、ぬれてゆく、霧を
そのまま、あるこう
泥と襤褸ぼろ、雨
この世はただよう、うすみどり、あおいはなびら
にがさを買うのは『影』
買うのは、いま
教えたのは父だった
父が持った
わたしいま十四のうみよりを
教えたのは父だったよ
かぜをしよう
太陽光線がアルミ屋根の臭い
買うのは、いま
×××
酔わせた『彼女』に少しばかりの波は、花弁のにがさを取り、青い花弁のにがさを追う。切断され天空へと吹き飛ばされることで、眼鏡の曇りをそのままに歩こう。泥と襤褸ぼろと雨によってこの世は漂う 。薄緑の読み書きを強くする目が、文字を風で撫でた。飛ぶなら今しかない。体の緊張を食べ、からっぽになった文字がココの威をする。読んで干からびたページが指腹を売るのが五感だ。
障害なしに直接世界と一体化する。読んで干からびたページが指腹を売る。
五感が障害なしに直接世界と一体化する。
読んだイメージが耳から抜けていくこの時だけ土の臭いが好きになる。くまの子が駆ける野の臭いと同じかもしれないから『彼女』の髪を売る。
×××
これが現実というもので
すべて無いかのような顔が見た澄み切って
昼食に来た
柔らかいパンを
たべる