第2話
僕は今、住む場所を探す為に、平原から見えた森林を歩いてる。
平原から森林に入って奥へ1時間ほど歩くと東京ドーム1個分くらいの広さがある開けた場所を発見した。
開けたところの端には、湧き水が岩の隙間から流れ出し泉となっており幻想的な光景が拡がっている。
「凄い……ここにしよう」
僕は顔に喜色を浮かべながら休む暇もなくこれから住む家を創り始めた。
創る際にはいろいろな条件があり例えば神の属性と特長だったりする。例えば炎の神で鍛冶の特長がある神であれば鍛冶場を簡単につくり、武器や防具などを素材から簡単に創り出したりもできる。
けれどもそういった場合、氷属性の神力を使えなかったり農作業が壊滅的に向いてなかったりする。
因みに僕は人属性で神域守護の特長がある。人属性は全属性の神力を使えるがある程度の力しか出せない、いわゆる突出したのがない器用貧乏な属性で特長はそのままの意味だ。
質素な平屋くらいであれば僕でも簡単につくれるが宮殿とか神殿とかになるとつくれないのだ。
必要なものはまず、数本の木の枝と木属性の神力この2つだけ、まず近くに落ちている木の枝を集めて家を建てたいところに置く木属性の神力を木の枝に馴染ませるように少しずつ流し込んでいき、この時にしっかりと形をイメージする。
初めての作業で力の加減が難しく2度失敗してしまい木の枝を集めなおしたのはご愛嬌だ。
まぁ受け継いだ才能のおかげか3度目で成功し、なんとかコツを掴めたのでもう同じような作業で失敗する事は無いだろう。
家は昔ながらの平屋をイメージし日向ぼっこをするために縁側もちゃんと完備された自信作である。
「あとは寝具かな」
そう言って僕は必要な素材を集めに森林に入っていく。
「たしかここの辺りに、惰眠羊がいたはずなんだけどなぁ~ 」
惰眠羊は1日のほとんどを寝て過ごしてる草食系の羊で基本的には群れで行動している大人しい動物だ、体はふわふわの毛で覆われていて毛玉のような体型をしている。
「凄い光景だな……」
苦笑しながら僕は呟いた。森林に入ってから30分くらいで惰眠羊を見つけたのだが、何百といる惰眠羊たちは皆木々の根本に丸まって微動だにしない。
「うーん、やっぱり寝てる。起こすのは悪いしこれだけいれば落ちている抜け毛だけで充分だな」
抜け毛を集めてると、小さく惰眠羊たちから(メルルルゥゥ)と気持ち良さそうな寝息が聞こえてくる。
起こさなくて良かった……
僕は、ほっこりとした気持ちになりつつ物音をたてないように1時間ほどかけて両手いっぱいに抜け毛を集めその場をあとにした。