第1話
初めまして、作者です。
今回初めての投稿になりますので、至らぬ点が多々有るかと思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
いつもの帰り道僕は、薄暗い夜道を歩いて帰宅した。
いつの頃からだろうか、1人になるとよく考える事がある。
正直僕は自分の人生が好きでは無い。
僕は物心ついた頃から父親の虐待をうけて育ち、家に帰りたくないがために小学生の頃から自転車で1人深夜の公園に行っていた。
あの頃は、周りが幸せそうで何故自分だけ……とよく思っていたのを覚えてる。
思えばあの頃からずっと、何故自分はこの世に産まれたのかを考えていたのかもしれない。
生きた証を遺したい。
不意に今までの人生を振り返って思ったことは、これだ。しかしどうすればいいのかがわからない。
産まれた意味なんて無いのではないか? 生きた証とは何を?
ここからいつも僕の思考がループする。
人によって生きた証は違うのはわかる。家族だったり物だったり、しかし僕には物を作ったりする才能は無いし僕と一緒に人生を歩んでくれる物好きな人はいないと理解している。などとそんな考えをしなが歩いていると、急に後ろからキャァァと若い女性の声がした。
僕はその声につられて走り出した。
角を曲がると、目の前にはナイフを持った血塗れの男が血走った眼でこちらを睨んでいた。
ヤバい、僕は瞬時にそう判断しそこから逃げ出そうとしたが、視界の端に蹲る女性を見た瞬間、気持ちとは逆に目の前の男に体あたりをしていた。
「逃げて!! 」
僕は蹲っている女性に強い口調で言った。
するとその声にビクッと反応した女性は四つん這いになりながら俺の後ろに消えて行った。
ああ、なにやってんだろ…
そう思いながら女性を追い掛けようとするナイフを持った男と無我夢中で取っ組み合いをしていると、不意に胸の辺りに暖かい感触があった。
ああやっぱりか……なんとなく嫌な予感はしてたんだよな
そう思いながら胸の辺りを見て見ると案の定男のナイフが僕の胸に突き刺さっていた。
僕は視線を胸から男の方に向けると男は能面みたいな顔で僕を見ていた。
そして力が全身から抜けて行くのを実感し膝から崩れ落ちていった。
だんだんと暗くなってく視界の中で僕は
生きた証を遺したかったな。
と思い苦笑ながらそのまま意識を手離した。
ああ……僕は死んでしまったのかな?
「まだ死んではない。だがこのままであれば、あと数分で死ぬだろう。神座護お前は第2の人生を歩みたくないか? 」
何処から声がする。
「生きた証を遺したくないか? 」
遺したい……でも僕には力も知識も……才能も無い。
「力も知識も才能も私が与えよう。お前はただ遺したいのか遺したくないのかだけ答えればいい」
遺したい、遺せるのならば遺したい!!
僕は絞り出すようにその声に答えた。
「ならば力も知識も才能も与えよう。ただ忘れるな、お前という存在が生きたという証を遺せるか遺せないかはお前自身に掛かっている」
その瞬間、目の前に光の塊が出現し僕の体の中にその光の塊が入ってくる感覚があった。
その瞬間に僕の体から、痛くはないがバキバキ音がし音がなりやむと体の中から、力が知識が才能が溢れてくるのがわかった。
そのまま光に包まれ、次の瞬間僕の前には緑豊かな草原があった。
「ここが、アストラルか」
僕はそう呟きながら、先ほどあった現象を思い起こした。
受け継いだ知識によると僕が立っているこの世界はアストラルと言う世界らしく先ほどの声の正体は、元神様らしい。
受け継いだ、と言うのも神様というのは何億年かごとに1度、自分の魂と適合する者を探し出しその者に力と知識と才能を渡して世代交代をするらしい。
「さて、どうするか」
僕はこれからの事を考え始めた。
受け継いだ知識によるとアストラルは、いろいろな世界が混じり合ってできている世界で多種多様な動植物や知的生物が住んでいる世界とのことだ。
そしてアストラルにはあらゆる神が住んでおり、全ての神に当てはまる事だが、いくら神と言っても何でも思い通りにする事は禁じられている。
例えば悪戯に死者を蘇りさせたり、生者を殺したりする事などである、もし万が一禁じられている事を破ってしまうと存在そのものが消えてしまうらしい。
まぁ僕には命を弄ぶつもりなんて無いし禁じられたことを、わざわざするつもりも無いから関係無い、ただ生きた証を遺したいだけなのだから。
「生きた証の前に、まずは目の前の生活だな。風呂が入れる家と美味しいご飯が食べたい」
僕の体は力と知識と才能を受け継いだことで人の体ではなく特別な体に生まれ変わっている。
そのために、寝たりご飯を食べなくても問題無いが、元日本人としては美味しいご飯と温かいお風呂そしてふわふわの寝床が欲しい。