転生したらすべて終わってました。
なつやすみももう終わりですね。私には関係ないですけど…
ぶつ切りな短編…
私は転生したようなんですよ。
断言できないのは事故にあって死んだなぁと思っていたら、次に目を覚ます別の誰かになっていたからなんです。
それも私が生きていた時に巷では有名だった乙女ゲームの中の住人に!
なんと今までの平凡な私ではなく美人な上にお金もち!
これはウハウハ生活の始まりじゃないかと喜んだのもつかの間、第二の人生がスタートした私はトイレ掃除のバイト中です。
私の名前は竜宮なのかというのですが、ゲームの中ではまぁ…主人公たちの恋の邪魔をする悪役お嬢様だったわけですよ。
そこを分かっているのならよく物語にあるような回避しちゃおうと思うじゃないですか!
ところがどっこい私が転生したのは何もかもが終わった世界だったのです。
つまり邪魔をしまくった高慢なお嬢様は返り討ちにあい家からは絶縁状、何とか学園に入られるのだけど周囲からはきつい目で見られているわけで…
主人公たちの幸せをしり目にどん底ライフがスタートしたのです。
もちろん悪役お嬢様ってイライラするし、一矢報いた時の爽快感っていいものだよ。
だけどさその後の人生考えたことあるかな?
この子の身体に転生して記憶をさかのぼってみたけど、周囲の取り巻きたちと主人公に対して嫌味言ったり、ちょっと水をかけてごめんあそばせレベルだよ!
それだけでもう人生お先真っ暗そりゃひどくない
家族から絶縁されて学園内でバイトって今までの私を見ていた他生徒からは蔑みではなく憐憫の目で見られている。
そうだよね、ここまでされるレベルじゃないよね。
なんだか主人公たちは私の存在なんか忘れて恋愛ゲーム続行中ってふざけんな!
「大丈夫か?」
泣くのをこらえて恨みを込めて便器を洗っている私の背後から声をかけられた。
声だけで分かる幼馴染にして主人公ハーレムの一人、北条信だ。
これを見てどう思いますか?みじめですとも
「大丈夫に見える?」
「……」
北条は私が貶められたときはサッカー部の遠征で不在だったのだ。
幼馴染としての情があるのかこうして時々見に来る。
そして今、なぜこうなったのか…
今北条に荒れてしまった手にハンドクリームを塗られている。
それも丁寧に…
「馬鹿なことは考えるなよ」
現実逃避して悪だくみを考えていると、何もかも見通すかのようなその目が私に突き刺さっている。
ビビりながらもフンと顔をそむけてやった。
すると少し笑いながら、頭をなでられた…なんで?
のちにわかることだが、ちょっとおいたが過ぎた私に対する矯正を兼ねた罰だったそうだ。
そんなことを知るはずもない私は今日も便器をこすりながら、奴らに一矢報いてやろうと計画だけは練っている。
この後いくとこないなら俺んちに来いよとホイホイついて行ったら、まぁいろいろあって今は幸せかもしれませんね…本当に?
「馬鹿な子ほどかわいいもんだよ」
そう言って主人公たちと笑っている北条を見てなぜか私は怖くなった。