籠の鳥
ワタシを飼っている、美しい人。
夜毎にその頬を濡らし、恋人の名を呼ぶ。
あぁ、どうか泣かないで。
自由に飛べる翼は無いけど、
ワタシが歌っていてあげるから。
寂しくなったなら、恋の歌を。
嬉しい事があったなら、歓びの歌を。
悲しい事があったなら、哀れみの歌を。
辛く苦しい夜には、子守歌を。
この身が滅ぶ、その日まで。
美しい人が望むのならば。
ワタシは歌い続ける。
この咽が嗄れてしまっても。
美しい人、アナタの傍で。
ねぇ、だからお願い。
最後まで、
籠の蓋は、開けないでおいて。