バグなだけでチートじゃないんだ! ~寝落ち寸前にキャラメイクしてたせいでバグに気づかず最強キャラができてしまい、何故かギャルとプレイすることになりました~ 短編導入版
昨日お出かけ中に降臨したネタを文字にしてみました!
「ねえ、ししょお、デイドラ2って楽しいね!」
「あ、うん」
「次のクエスト行こっ!」
「あ、ちょっと待て、俺はまだ行くとは言ってない」
俺の目の前にはギャルJKのプレイヤー。
俺は俺で目立つわけにはいかない理由がある。
「れっつご~!」
「あ、おい! 前、前!」
「へっ? きゃぁぁぁぁ! 落とし穴ぁぁぁぁぁ!」
言わんこっちゃない。
このギャルJK、ゲームがへたくそなのである。
このお話は、ボッチオタクである俺が何故かギャルJKと一緒にゲームをすることになったお話である。
◆◆◆
話は数日前に遡る。
「うおっ! 寝落ちしてた!」
国民的VRゲームである、テイルズ・オブ・クエストドラゴン。
その続編である、テイルズ・オブ・クエストドラゴン2が発売された昨日、俺は深夜までプレイキャラクターの作成をしていた。
STR型かVIT型か、騎士か僧侶か魔術師か。
決めきれずに、何度も何度もやり直して、その結果寝落ちしてしまったようだ。
「時間は有限だってのに! 土日だって無限じゃないんだぞ」
ヘルメット型のコンソールをかぶると、時間を取り戻すべくゲームにログインしなおす。
テイルズ・オブ・クエストドラゴン2、略してテイドラ2はフルダイブ型のオンラインVRゲームだ。自キャラとプレイヤーが一体となって、まさに異世界にいるように感じることができる。
寝落ちする前はどこまでプレイしていたのか覚えていない。
デジタル的な目の前が一瞬で森の中へと変わる。
「最初の森、か」
宙にそう文字が浮いている。
周囲に他のプレイヤーの姿は無い。おそらく個人用のチュートリアルクエストだろう。
さて、キャラクリの結果はどうなってるのやら。
「ステータスは……はぁっ!?」
自分のステータスをオープンにして見たのだが、目を疑った。
「な、なんだよこれ……。STR:8+99、VIT:5+99、INT:11+99……。他のステータスも+99されてる……」
明らかにおかしい。昨日のキャラクリ画面では初期値のたった10ポイントを割り振るだけだったはずなのに。
「もしかして、何度も何度もやり直したからなのか?」
尋常じゃない回数何度も何度もやり直した。普通のプレイではやらないくらいに。
もしかしてバグじゃないんだろうか。
「どうしよう……」
まず俺の頭によぎったのはチートを使うプレイヤー、チーター扱いされることだ。
ゲームの不具合を利用してゲームバランスを崩してプレイするチーターは毛嫌いされている。チーター認定されるとプレイどころではない。リアルでもハブられて村八分だ。
このままプレイしてこのステータスを知られるわけには行かない。
「かと言って、キャラを作り直すことも出来ないしな……」
テイドラ2は一度キャラを作ったら二度と作り直すことが出来ない。だからこそ俺は昨日悩みに悩みまくったわけなのだ。
「ばれないようにソロでこっそりとプレイするしかないか。運営にバグ報告しておけば修正してくれるだろう」
サービス開始日にダッシュで帰宅する程楽しみにしていたのだ。プレイしないという選択肢を選ぶことはできなかった俺。
チュートリアルを終えて、初期町から離れたプレイヤーのいなさそうな森の中へ入ったところだった。
「いやぁぁぁぁ! しんじゃうぅぅぅぅ!」
割と緊張感のない悲鳴が聞こえてきたのだ。
自分のステータスを人に知られるわけには行かないので、こっそりと木の影から様子を窺う。
そこには、ぷにぷにとした最弱モンスターであるスライムに成す術も無く体当たりされ続けている女の子プレイヤーがいたのだ。
(あの子、武器を持ってないぞ!? 素人か!)
テイドラ2では武器を装備していないと攻撃はできない。素手でも攻撃できるゲームとは違うのだ。
武器さえあればスライムなんか相手にもならない。
だけど、ただひたすら体当たりされるだけで、武器を装備する素振りもない。
初期武器はチュートリアルでもらえたはずだ。でも、宝箱を見落として進んでしまった可能性もある。
(助けるべきか……)
悩むところだ。俺は強すぎる。戦えばすぐにステータスがバレてしまい、チート扱いされるだろう。武器を渡す? 多分彼女は剣士。そして俺は魔術師。剣の持ち合わせなんか無い。
「ま、いっか。死んでも復活できるっしょ。次は負けないし?」
女の子は諦めてしまった。
(いや、それは駄目だ!)
テイドラ2は死亡時のデスペナルティが厳しい。
どんなに強くてもレベルは1に戻り、所持品もお金も0からの、初期状態以下の状態になる。
さらにひどいのは丸1日間のログイン制限だ。蘇生の困難さを演出するために、24時間ゲームがプレイできなくなる。
普通にプレイしていると死ぬことは少ない。
だからそうなることはほとんどないが、この内容は発売前からもひっきりなしでSNSにも書かれていたし、チュートリアルでも説明があったはずだ。
それを知らないのは自業自得?
(そうだけど、そうじゃない!)
俺は飛び出していた。
きっとあの女の子も発売日を楽しみにしていたはずだ。それが1日もプレイできなくなるなんて可哀そうだ!
「えっ?」
手に持った杖でスライムを一撃で葬る。その余波で土はえぐれて、奥の木は何本も切断されてしまったが、致し方ない。
「武器を装備しないと敵に攻撃できないから。あと、死んだら1日プレイできなくなるから。それじゃあ」
危機を脱して呆けた顔をしているだろう女の子に、背中を向けて必要事項だけを伝えて、さっさと去ろうとする俺。
「え、待って? なんで逃げようとするん?」
軽い返事が返ってきた。
「急いでるから。それじゃあ」
忠告もしたんだ。後は自己責任だ。俺は知らない。
「うける~。ねえ、お兄さん、良かったらゲームのこと教えてくんない?」
(はぁ!? 何を言い出すんだ?)
「あたしさ、ゲームするのって初めてなんだよね。友達がさぁ、もちろんリナも知ってるよね、って言うからさぁ、もちのロン、って言っちゃってさ、えへ。だけどなんか難しくってさ。お兄さん、すごく強そうだし。ね、ね、おねがぁい」
甘い声を出して一方的に要望を伝えてくるギャル。
身バレするわけには行かない俺はお断り一択なんだが……。
この人、心配すぎる。
おそらくリナっていうのが本名で、そいつをうっかり言ってしまうほどのリテラシーの低さ。身バレに直結する個人情報は守らないといけないのに、それすら知らない素人だ。
「少しだけだぞ! あと、自分の名前をゲーム内で出すな!」
「ありがと! あたしは山瀬里奈、リナって呼んでいいよ?」
「おぉぉぉぉい! 言った傍から!」
「だってぇ、自己紹介は必要でしょ。うけるw」
「うけるw じゃねえよ! 言う事が聞けないなら何も教えないからな」
「まあまあ、そんなカリカリしないでさ! よろしくね、お、に、い、さ、んw」
こうして俺は謎のギャル、リナとテイドラ2をプレイすることになったのだ。
お読みいただきありがとうございます!
勢いで最初の部分だけ書いてみました!
反応が良ければ長編化を見据えようと思います!
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