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歯車の反撃  作者: クローン6号
第一章
8/32

1-8 魔将の誕生3

グロ表現があります。苦手な人は読み飛ばして下さい。

森の風が泣いた。

エルフの姫が天に祈りを捧げたその瞬間、祈りは呻きに変わる。

艷やかな金の髪は黒く染まり、剛毛が全身を覆い尽くす。

柔らかな耳は尖り、額が裂けて角がせり出す。


「森が……呼んでる……違う、これは……」


涎を垂らしながらつぶやくその声は低く、獣の咆哮へと変わっていく。

しなやかな肢体は膨張し、爪が地を裂き、牙が月を噛む。

その瞳は闇を見透すようにエメラルドの輝きを放つ。

森の守護者として生きた魂は、自然の復讐者――“原始の災厄”へと堕ちた。


その名は獣姫。

優しき調和の象徴は、血と怒りに支配された黒き野獣となった。



「お前達には新たな四魔将となって人類を蹂躙してもらう」


魔王は冷たく言い放つ。凱旋を夢見ていた者たちに、それは死より残酷な宣告だった。


「人類の始末はお前達に任せよう、私には他になすべきことがある」

「但し、殲滅する必要は無い。どうせ奴らはすぐに増えるから、適当に間引いておけ」


魔王は言い捨てると城の上を見上げ、勇者との密約を思い出す。

既に歯車は狂い始めていた。

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