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歯車の反撃  作者: クローン6号
第一章
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1-4 魔王封印

「さあ、魔王よ。これで最後だ」


俺は静かに聖剣を構え、その心臓に突き立てた。

黒い衝撃波が吹き荒れ、刀身が闇に染まる。

魔王の輪郭が崩れ、霧のように消えていった。


静寂。

そして、仲間たちの嘲笑。


「やっと農民の下働きから解放される」

「この汚らしい旅も終わるのね」

「神託でなければ、こんな者について来なかった」

「これで森に帰れるのね」


誰も、俺を見ていなかった。

ただ“勇者”という歯車が役目を終えたことを、喜んでいるだけだった。


――この世界は、すでに壊れている。


俺は仲間のもとへ歩いた。

その顔ぶれは、どれも誇り高く、どこか冷たかった。


一人ずつ目を見て、問いを投げる。――お前は、本当に俺を勇者だと認めているのか、と。


「農民風情が思い上がるな」

「認めませんわ」

「例え神託であっても認めるものか」

「私は始めから認めていない」


魔王を無事に封印した今だからこそ本音を漏らす。

その言葉は、鋼より冷たく、刺すように俺の胸を貫いた。


最後の一人の口が、微かに歪む。俺は笑いを噛み殺して答えた。


「ああ俺も、自分が勇者だなんて認めない」


その瞬間、空気が弾けるように鋭い音を立てた。硝子が砕けるような音が。

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