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歯車の反撃  作者: クローン6号
第五章
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5-1 神の干渉

第五章スタート

何やら、最近――胸の奥がざわつく。

皮膚の裏を小虫が這うような、妙に落ち着かない感覚だ。


腕輪の精霊たちも、同じように警戒している。

水の精霊は波紋のように揺らぎ、火の精霊は小さく火花を散らす。

彼らは今や“大精霊”と呼んでも差し支えないほどの存在。


何百年という時をかけ、俺の魔力を吸収し続け、もはや独立した神格にすら近い。


本来なら――彼らに“敵”など、存在しないはずだった。


だが、どうにも気配がある。

見えない“視線”。

感じるのは“観察”ではなく“監視”。

まるで、誰かが俺という存在そのものを覗き込んでいるような。


「……感じるか?」


俺が問うと、精霊たちはそれぞれの姿で小さく頷いた。

光も音もない沈黙の森の中、ただ“視られている”という圧だけが、空気を震わせる。


「やっぱりな……王城の一件、か。」


あの時、俺はほんの一瞬、制御を失った。

腕輪から溢れた光――あれは俺の魔力ではなく、精霊たちの魔力だった。


だが今となっては、彼らは俺の分身。

“俺の魔力”と“彼らの魔力”の境界は、とうに曖昧になっている。


そう、彼らは俺の魔力で成長した。

言い換えれば――俺の魔力そのものが、別の形で意思を持って動いているようなものだ。



その存在が、完全に隠せるはずもない。

王城での衝突は、あまりに大きな波紋を残した。

誰かが、その“痕跡”を辿ってきたのだろう。


「魔力を遮断してるのに……視られてるってことは、“杭”が打たれたか。」


吐き捨てるように呟く。

神が世界に打ち込んだ“観測杭”――

あれは祈りを通した回路であり、勇者因子を捕捉するためのもの。


どうやらその杭が、再び動き始めたらしい。

神がこの世界にではなく、“俺”に干渉している。

杭を通じ、俺の精神座標を直接引きずり出そうとしているのだ。


「……別の森に移るか?」

風の精霊が問いかける。


「いや、もう遅い。」

俺は首を振った。


“目”はすでにこちらを掴んでいる。

どこへ逃げようと、奴の監視は魂の内側まで入り込む。

歯車の枠の外だろうが、精神の底だろうが――奴は届く。


「なら、もう決めるしかないか。」


長い隠遁生活も、ここで終わりかもしれない。

どうせ、この平穏も仮初めのもの。


奴と決着をつける時が来た――

そう思った瞬間、視界がぐにゃりと歪んだ。


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