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4-7 歯車の軋む音
だが、いつからか――歯車にガタが生じた。
選定の偶然性、勇者因子のばらつき、聖剣と保持者の同調。
そのどれもが、わずかにズレている。
プログラムには“慎重さ”という名の安全装置を埋め込んだはずだった。
だが、なぜだろう。
バグか、それとも――進化か。
神は冷ややかに首を傾げる。
「……そうだ、修正すればいいだけさ。」
杯を傾け、微炭酸の泡が唇をくすぐる。
考えるほどに快い。
平穏が続けば、祈りは薄れる。
教会という名の経済循環は回り続けるだろうが、それでは僕の存在が弱る。
震わせるべきは、民の心だ。
恐怖でも希望でもいい。
選ばれるのは“反応”――その量をいかに稼ぐかが、全てだ。
そのとき、神のセンサーが微かに振動した。
白い空間の端で、かすかな残響が囁く。
王城で交わされた言葉、宰相の策謀、そしてあのときの結界魔法の波動。
確かに、存在の痕跡が残っていた。
翻訳すれば――まだ“刺激源”がある。
元勇者が生きているという“ノイズ”が消えていない。




