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歯車の反撃  作者: クローン6号
第三章
21/31

3-4 殿下

森の出口に着くと、騎士団が集結していた。

鎧の列が光を反射し、冷たい鋼の壁のように道を塞いでいる。


「殿下! よくぞご無事で!」


少年――いや、殿下と呼ばれた彼を見て、兵たちは一斉に膝をついた。


(なるほど殿下と呼ばれるとなると王族か)


安堵と歓喜が混ざるその声の奥に、わずかな緊張が走る。

彼らの視線が次に向いたのは――俺だった。


鋭い金属音。

剣の柄に手がかかる。


殿下は慌てて叫んだ。

「違う! この者が私を助けてくれたのだ! 粗末に扱うでない!」


俺は肩を竦め、何も言わなかった。

怒気が薄れ、沈黙が降りる。


その中から、一層体格が良い一人の騎士が進み出た。

鎧の模様・装飾の簡素さ、しかし一目で分かる高貴な輝き――階級は高い。おそらく王直属の近衛。


「殿下を救ってくださり感謝いたします。

 ただ、恩人をそのまま帰すわけにはいきません。

 どうか王都までご同行を――」


要請の形をした命令。

拒めば、また剣が抜かれるだけだ。


「……わかった。」


俺は軽く頷き、そのまま馬車に乗せられた。


森の緑が遠ざかる。

あの静けさはもう届かない。

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