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2-1 世界の始まり
第二章スタート
世界が始まった時――
まだ空も海もなく、光も闇も区別されぬ“混沌”だけがあった。
その中心に、ひとつの“息吹”が生まれた。
それが最初の精霊であり、神よりも古き世界の意志であった。
永劫とも思われる時の果てで、
精霊は自身の力を制御しきれず、六つの権能へと分裂した。
土は大地を創り、
水は海を抱き、
火は温度を生み、
風は流れを与え、
光は世界を照らし、
闇は安らぎをもたらした。
こうして、形なき混沌は秩序を持ち、
山と谷が、潮と空が、昼と夜が分かたれた。
だが、この時、神はまだ存在していなかった。
世界はただ、精霊たちの息遣いと、自然の摂理だけで回っていたのだ。
人が現れ、祈ることを覚えたとき――
初めて「神」という名の観測者が生まれた。
それは、世界を造った者ではなく、
世界を支配しようとした者の誕生だった。




