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歯車の反撃  作者: クローン6号
第一章
10/32

1-10 魔族の支配

こうして四つの人の器は、四つの災厄へと変わり果てた。

かつて神託によって選ばれし勇者の仲間たちは、今や人類に仇なす魔王の代行者。


魔族の嘶きが夜空を裂き、

その声は“始まりの鐘”のように世界へ鳴り響いた。


四魔将、誕生。

勇者が不在の今では魔王にとって人類は単なる駒。生かすか殺すかは管理の問題でしかない。


こうして、人類の未来の一端が決定された。

殲滅ではなく管理。魔族による恐怖と懐柔の支配の始まりだ。


人の時代は、静かに終わりを告げた。

抵抗は空しく、人類は屈した。王はそのまま象徴として残され、統治機構は局所的に温存された。

四魔将は命じられた通り殲滅を行わず、人の統治に都合のよい体制を保存した。恐怖はあれど、完全な暴力支配ではない。


民衆にとっては、真の支配者が変わっただけ。生活は大きくは変わらず、むしろ搾取が緩んだ地域もあり、歓迎すらあった。

しかしそれは表面の安定であり、深く根付いた屈服の始まりに過ぎない。ぬるま湯の中で、抵抗の火は徐々に弱まっていき神への信仰も揺らいでいく。


俺は遠くからその様を見下ろす。憤怒も同情も、既に枯れていた。

世界は動いた。歯車は回り続ける。だが、その一つを外した者がいる。

それが何を意味するのか、まだ誰も知らない――いや、知っている者が一人いるだけだ。

第一章 完

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