表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
証言者Cは裏切る~悪役令嬢のファンなので断罪シーンで裏切ってみた~  作者: 星雷はやと@書籍化作業中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/10

第八話 終わり


「ジョン!! 今直ぐに逃げるぞ!!」


 パーティー会場の扉が激しい音と共に、開いた。俺の仲間たちにしては乱暴である。それ以外であると考えると考えられるのは一人だろう。扉の方を見れば、ジョンの父親であるベンガー伯爵が肥えた体を揺らしながら近寄ってくる。

 彼の狙いがセリーヌではないことは予想しているが念の為、彼女を見えないように立ち位置を変えた。


「な……父上!? 何を……」

「何をへたり込んでいる! 逃げるのだ!!」


 ベンガー伯爵は床に座り込んでいるジョンの腕を掴む。そして逃げると口にした。


「に、逃げる!?」


 ジョンは父親の発言に顔を青ざめた。


「そうだ!! カミュエル公爵の犬共が屋敷に乗り込んできたぞ!! 我々はここで終わる訳にはいかないのだ!! 逃げるぞ!」

「しかし……父上……」


 視線をイグニ向けると静かに頷く。如何やら、合図を待っていた騎士団たちが突入したようだ。


「全く、何処から嗅ぎつけてきたのか!! あの堅物宰相め! 本当にカミュエル公爵家は忌々しいことこの上ない!! あいつらさえ居なければ、もっと俺たちの商売が上手くいくのに!!」

「父上……それ以上は……」


 ベンガー伯爵は俺の父である、カミュエル公爵を堅物宰相だと思っているようだ。俺としては硬派であるが、国民を思い政策を執り行っていると思う。他の貴族や高官たちからも慕われている。現にこのベンガー伯爵家に乗り込んで来ている騎士団は、カミュエル公爵家の騎士団ではない。王都において正式な捜査である為、王国騎士団である。俺が今回のセリーヌが断罪される件と、ベンガー伯爵の異様な資産について父親に相談した。

するとイグニを護衛として付けることが条件で、学院の潜入とパーティーの参加が許可されたのだ。その会話を父の幼馴染みである騎士団長が聞いていた為、王国騎士団の出動はスムーズであった。そして何故か騎士団長までもが、ベンガー伯爵一派を捕らえる為に此処に突入している。遠くから聞こえる破壊音は、騎士団長のものだろう。


「ジョンは何も心配するな! 国外逃亡をして2・3年して帰ってくれば良い。爵位だって買えばいいのだ! 国外に逃げれば、あの堅物宰相も追ってはこない筈だ! 何も心配することはない! さあ! 行くぞ!!」

「だ……駄目です……逃げきれません……」


 身を隠すなら国外逃亡を謀るのが最適だろう。しかしそれは、追手を逃げ切ることができたらの話である。国外逃亡を口にするベンガー伯爵だが、息子のジョンは震えながらその計画を否定した。


「何を言っている!! 俺の計画ならば大丈夫だ! 早くしないとカミュエル公爵の犬共が来てしまう! 急げ!!」

「だから……もう、駄目なのですよ……父上……」


 強引にジョンを立たせようと、ベンガー伯爵が引っ張るがジョンは立ち上がらない。その代わりに、絶望した表情で父親に告げる。俺としてはこの親子に逃げてもらっても構わない。優秀な騎士団に強烈な攻撃を受け捕まり、余罪が一つ増えるだけである。


「ジョン? 何を言って……」

「……い、いらっしゃる……のです……」


 流石に息子の様子がおかしいことに気が付いたベンガー伯爵が、首を傾げた。


「? 誰が居ると?」

「……っ……」


 ベンガー伯爵の質問に、ジョンは俯き口を閉ざす。


「初めまして、ベンガー伯爵。私、カミュエル公爵家嫡男。ルージオ・カミュエルと申します」

「……っは、は?……」


 俺はベンガー伯爵の背後から声を掛ける。すると、ベンガー伯爵は緩慢な動きで振り返った。そして俺の姿を目にすると、目を見開いた。


「嗚呼、こう言った方が分かり易いですか? 『あの堅物宰相』の息子です」


 変装を解いているが、ベンガー伯爵の反応が薄い。そこで俺は分かり易く名乗る。


 「ひっ! なっ……何故……この様な所に!?」


 ベンガー伯爵は後退しようとして転ぶ。そして床に倒れながら疑問を口にした。


「『何故』? 勿論、貴方方全員を捕えに来たのですよ」


 これで終わりだ。俺が告げると、騎士団が突入してきた。


「セリーヌ嬢。こちらに」

「……っ! はい……」


 パーティー会場が混乱に満ちる前に、俺はセリーヌを外へと連れ出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ