プロローグ第6/8話「動画中毒 〜螺旋の果実〜」
逃亡開始、巨大蜘蛛の恐怖
「やばいやばいやばい!!!」
夜桜は縮小状態のまま、必死に森を駆け抜けていた。
背後から、巨大なタランチュラの足音が迫る。
カサ……カサ……カサ……!!!!
(……いや、速すぎだろ!? これ縮小してる意味あるのか!?)
喉が焼けつくように渇く。心臓が破裂しそうなほど鳴っている。足元の小石ですら壁のように感じる。逃げ場がない。追いつかれるのは時間の問題だった。
その時——
——空が揺れた。
——ドォォォン!!!!
天からの落下物
「……え?」
轟音と共に、巨大な果実が降ってきた。
しかも、それはタランチュラの真上に直撃——!!
ドシャアアアアア!!!
「ぎィイイイイ!!!?」
蜘蛛の甲殻が砕け、地面に大きなヒビが入る。
そして、夜桜の目の前には——
淡く光る、巨大な果実が転がっていた。さっきの果実?
その時、訳わからない状況の確認をするまもなく——
「夜桜、それ、今すぐ食べなさい!!!!」
「はああああああああっ!?」
果実を食べるかどうかの葛藤
「いやいやいやいや!!? 今の状況、見てた!?!?巨大クモが潰された直後に、果実かじれって!?!?!?」
「いいから!! それがどれだけ貴重なものか、あなた分かってないでしょ!!!」
「知るか!! つかデカすぎるんだよ!!!」
夜桜の体は縮小している。
目の前の果実は、まるで建物のように巨大 だった。
「どうやって食うんだよ!??」
「どうにかして!!!」
「適当すぎるだろ!??」
——しかし、蜘蛛がまだ生きていることに気づく。
カサ……カサ……!!!
(……クソッ!! 今考えてる余裕はねぇ!!)
夜桜は 果実の裂け目へダイブ し、果実の内部へ潜り込んだ。
果実を食べ、能力発動
果実の中は、不思議な光で満ちていた。
(……なんだよ、この感覚……)
果実の壁には、どこかで見たことのあるアイコンが浮かんでいる。
——しかし、蜘蛛が再び動き始める!!
(もう、やるしかねぇ!!)
「……ったく……」
ガリッ!!!
夜桜は果実をかじった——!!
能力発動! しかし…!?
食べた瞬間、全身に雷のような衝撃が走る!!
バチバチバチッ……!!!!
「なんだなんだ⁈力が駆け巡り、満ちみちてくる!!!?」
《新機能解放:樹介掲示板8chに動画投稿機能追加》
(え、待て待て!? なんで俺の体でシステム更新されてんの!?)
《新機能:仲間召喚》
「仲間召喚?……て、うわっ!? なんか出てきた!って、増えた!!!」
眩い光と共に、4つの影が現れる。
バチバチッ!!!
「——やっと呼んでくれたわね」
新たな仲間。
そこに立っていたのは、映像制作チーム(掲示板管理局バンガード隊所属)の4人。
監督・蕾「やったわ、撮影チーム呼べた!」
カメラ・杏「決定的瞬間を逃さないから!」
戦況分析・千景「夜桜、これからの戦闘では、私の指示を参考にしてね?」
実況・響「実況するぜ、するぜ!さあ! **“伝説の管理人”**が、今ここに覚醒するのか!?!?」
「何なんだよ一体。何が、どうなってんのか理解が追いつかねえ……」
「ヴァンガード隊のみんな、こ 来てくれたのね……夜桜、もう前に進むしか無いわよ?」
——夜桜の新たな戦いが、ここから始まる、のか?
次回、プロローグ第7/8話「夜桜、拡散される - 逃亡劇のカメラワーク」