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プロローグ第5/8話「屋敷からの極小脱出」

✅地下牢からの逃亡


夜桜は屋敷の廊下を進む。

七変化で使用人に擬態し、警備の目を欺く。


(俺はただの使用人……普通に歩いていれば問題ない……)


すれ違う警備兵がちらりと視線を向ける。

夜桜は心臓を跳ねさせながらも、平静を装った。


「おう、ご苦労さん」


「……っす」


なんとか誤魔化せた——と思ったその時だった。


「おい、お前——」


声がかかる。


(……っ!?)


夜桜が振り向くと、警備兵がじっとこちらを見つめていた。


——七変化の擬態が、ほんのわずかに揺らいでいたのだ。


(見られすぎると、輪郭が崩れてくるのか!?)


バレる前に——逃げるしかない!


夜桜は、柱の影に飛び込んだ。

瞬時に縮小能力を発動——。


「……ぐぅん……っ!」


視界が急激に沈む。

巨大な壁、天井、そして廊下の床が広がっていく。


「お、おお……!?」


気づけば、夜桜の体はわずか1cmのサイズになっていた。


(くそっ……! もう人間の世界じゃねぇ……!)


木目の隙間は深い谷間、落ちたホコリが砂丘のように積もる。

そして——


「……ん?」


視線の先、巨大な影が蠢いた。


——クモだった。


夜桜は凍りついた。


(いや、でかすぎるだろ!? アイツ、俺の10倍はあるぞ……!)


——絶体絶命の極小サバイバルが始まる。



✅屋敷の中での縮小実験


夜桜は牢を出たものの、まだ屋敷の中 だった。

廊下には見張りがいるし、今すぐ飛び出せば捕まるのは確実。


「ここで能力を試すしかねぇな……」


夜桜は慎重に 「縮小」 を試みた。

ぐぅん……視界がゆっくりと沈む。


「……お、おおお……?」


どんどん小さくなる自分の体。

壁が巨大になり、床のシミすら地形のように見えてくる。


しかし——


視界がブレる。

バランスが崩れる。

「うわっ!? なんかフワフワする……!」


—ドスンッ!


夜桜は、縮小後の身体感覚に慣れず、転んだ。


「くそ……思ったより操作が難しい……」


✅「小さい世界」の脅威


「……とりあえず、移動するか」


小さくなった夜桜は、廊下の壁沿いを移動。

だが、すぐに 「人間目線では気づかない脅威」 に直面する。


— ホコリが山のように積もっている。

— 廊下のわずかな隙間に強い風が吹き込んでいる。

— 小さな虫が異様にデカく見える。


「……うわ、これ普通の床が地獄じゃね?」


「っていうか、なんでこんなところに……アリ!? クモ!? え、でかくね!?」


特に 「タランチュラみたいな巨大なクモ」 が、すぐ近くの壁に張り付いていた。


「嘘だろ……!? 屋敷の中に、これってもしかしてペット?嘘だろ?こんなの飼ってんのかよ!?」


貴族の屋敷には 「変なペットらしき蜘蛛」 がいる。どうやら、逃げ出したらしい。


— だが、気づいた時には遅かった。


「……まさか、こっちに向かってる!?」


✅「小さい」だけでは無敵じゃない


夜桜は 全力で走る!

しかし 自分が小さすぎて、走る速度が遅い!


「クソッ……デカすぎる足場は走りにくい……!」


クモが追ってくる。

このサイズなら、夜桜のことを完全に「獲物」だと思っている!


「こんなところで食われるのは絶対にごめんだ……!」


選択肢は二つ。

1.縮小を解除し、一気に駆け抜ける

2.隙間に逃げ込み、クモの視界から消える


「……ダメだ、ここで大きくなったら目立つ……!」


夜桜は隙間へ滑り込んだ。


ギリギリでクモの攻撃を回避!


「はぁ……はぁ……、こんなところで死ぬかと思った……!」


✅「巨大な世界の罠」


クモから逃げた夜桜は、細い通路(家具の隙間)を進む。

そこには 「人間には気づかれない異常空間」 が広がっていた。

•落ちた硬貨やピンが転がる空間

•埃が積もりすぎて「丘」みたいになっている

•ネズミの足音が遠くから聞こえる


「……いやいや、これ異世界関係なくサバイバルじゃね?」


だが、ここを抜ければ 屋敷の外 に出られる。


夜桜は 慎重に移動する。


しかし、突然 「ガチャガチャッ!」 という音が響き扉が開いた!


「!?!?」


そこには 貴族の使用人 と思われる男。


「おかしいな……ここに何かいたような……」


気づかれたらヤバい。

だが、小さいままでは逃げ場がない!


「……しゃあねぇ、あれをやるか」


「捕縛」能力を発動!

相手の足を拘束し、一瞬の隙を作る!


「うおっ!? なんだこれ!?」


夜桜は 一気にダッシュ!


そして 屋敷の扉の隙間から、外へと飛び出した!


✅「変態小人脱走」


——屋敷の外、夜桜はようやく脱出を果たす。


「はぁ……はぁ……クソ……命懸けすぎるだろ、この脱出。」夜桜は、荒い息をつきながら森の中を駆けていた。


背後からは、異様な「カサカサ」という音が追いかけてくる。何かが追ってきている?



「あのでかいやつか?やべえな、逃げるしかねえ……!」


——クモだろうな、ロックオンされた感覚あるし。縮小状態のまま、巨大な屋敷を抜け、なんとか外に逃げ出したものの……。


(このままじゃ、どこにも隠れる場所がねぇ……!)


森の中、夜桜は必死に逃げながら周囲を見渡す。

——どこかに、安全な場所は……。


その時。


「……あれは?」


木々の根元、わずかな隙間が見えた。

——そこに、小さな洞窟のような空間が広がっている。


夜桜は迷わず、そこに飛び込んだ。


シュタッ!


狭い空間の奥へと転がり込み息を潜め、背後の気配を探る。


……しばらくすると、外の「カサカサ」という音が遠ざかっていった。


「……助かった……のか?」


安堵のため息をつこうとした、その時だった。


✅ 1cm視点での果実


森の奥へと逃げ込んだ夜桜。1cmのサイズになっているため、周囲の木々すら**「超巨大な塔」**に見えた。


「……デカすぎるって……」


何か異様なエネルギーを感じ、上を見上げると、はるか彼方に果実が実っているのが見えた。


「果実……っ!?調べてみるか、鑑定!」


【能力確認:『映像干渉』— 果実名称「動画中毒」】


これでどんなことができるのか、じっくり検証したいところ。


しかし、考える暇はなかった。


——外から、何かが這うような音が聞こえてくる。


「……くそっ、まだ追ってきてんのかよ!でかすぎて運べねぇし、後で取りに来るしかねぇな……!」


大きすぎる果実をその場に残し、再び逃亡を開始した——。


夜桜が逃げてる途中、掲示板に新しいスレッドが立つ。

•【速報】貴族屋敷から変態小人が脱走www

•【悲報】また変な奴が異世界に転移した模様

•【考察】こいつの能力、やばすぎじゃね?


「え……またスレ立ってるんだけど!?」


蕾が小さく笑う。


「夜桜。あなた、もうすでに有名人よ。」


夜桜の異世界サバイバル——!


次回、プロローグ第6/8話「動画中毒 〜螺旋の果実〜」


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