第13話 前編 龍崎凛火 成功者の虚無とLIM購入 、、、誰？
第13話 前編 龍崎凛火 成功者の虚無とLIM購入 、、、誰？
概要
・龍崎凛火、表向きは成功者。実際は何をやっても満たされない。
・社会的に成功しているが、圧倒的な虚無感。手に入らないものがない。
・そんな彼女が “LIM極上没入体験装置（Liquid Immersion Module)” に出会う。
・五感完全没入装置。この世に存在しない「本物の世界」を体験できる唯一の手段。
・権力者やトップ層がこぞって購入し、現実を捨て始めている噂。
・興味本位で購入。そして、樹介(異世界へ)――。
成功者の虚無とLIM購入
「すべてを手に入れたはずなのに、何もない――。こんなはずではなかった。」
高層ビルの最上階、夜景を見下ろすスイートルーム。 シャンパングラスに注がれた琥珀色の液体を揺らしながら、龍崎凛火は無感情にそれを見つめていた。
億単位の資産、世界中の名士が集まる会員制クラブ、芸術品のコレクション、 最先端の健康管理システム、最新型のAI秘書。 すべてが完璧に揃っている。
「……つまらない。」これが、成功者の末路なのか。
財を築くことに人生を賭けてきた。あらゆる情報を分析し、他者を出し抜き、 市場を動かし、最適解を導き出す。
気がつけば、彼女は成功者と呼ばれる立場になっていた。
だが、面白さを感じたのはいつまでだったのか。
成功を積み重ねたその先に、何が残るのか。
その答えを見つけられぬまま、時間だけが過ぎていく。
そんな時、目の前のモニターが点灯する。 専属AI秘書が、静かに新しい情報を告げた。
「LIM（Link-Identity-Matrix）、限定販売枠のご案内です。」
龍崎は軽く眉を上げた。
LIM極上没入体験装置（Liquid Immersion Module)
今、世界中の “本当の成功者” たちがこぞって手に入れたがっている、完全没入型装置。
完全五感制御。現実と区別できないレベルの “もう一つの世界” 。 そして、 “ただのゲームではない” 。
「世界のすべてを変える装置」それが “LIM” だった。
「私に、まだ “手に入れていないもの” があるとでも？」かすかに笑い、即決で購入を決める。
AI秘書がスムーズに手続きを進め、即座にLIMが龍崎のプライベートルームへと配送される手配がなされた。
そしてその数時間後、最新鋭のカプセル型LIMユニットが、静かに彼女の部屋に鎮座した。
手をかざすと、カプセルが静かに開き、内部のコントロールパネルが淡く発光する。
「さあ、どんな世界が待っている？」
龍崎はゆっくりと中へ入り、LIMが起動する――。
✅ LIM起動 → 初の異世界ログイン体験
✅ 「世界が違いすぎる」
✅予想を超えたリアルな異世界
✅何かを “感じる” 世界
✅夜桜の動画に出会う
異世界へ没入、夜桜の動画に出会う
概要
・LIM起動 → 「意識が異世界にダイブ」
・期待していたが、次元が違った。 「リアルを超えたリアル」
・異世界の空気、温度、匂い、重力。すべてが “現実” すぎる。
・「これはゲームじゃない」 → “本物の世界” に迷い込んだ錯覚
・初めてのログインで、偶然 「夜桜の動画」 に出会う。
・屋台戦争・食材バトル・貴族との抗争 → 「これだ！」と確信
・興奮MAX、 「夜桜推し」確定の瞬間！！
:異世界へ没入、夜桜の動画に出会う
転移した？……いや、これは違う。
LIMの電源を入れた瞬間、意識が吸い込まれるように沈んでいく。
視界が暗転し、無音の世界へ――
次の瞬間、まるで目を覚ましたかのように、“樹介”が眼前に広がっていた。
世界樹の圧巻さと没入感
「……ありえない、なんだ、何なのだこれは？」
降り立った、ただ、それだけで既に混乱。
目の前に広がる光景が、あまりにも現実離れしていた。
視界の遥か先まで広がる 大地を覆い尽くすほどの根。都市すら飲み込むほどの巨大な網目が、地表を這うように広がっている。
そして――
天を裂く巨木？が、目の前にそびえ立っていた。
雲を突き抜け、その上には もうひとつの“空”があるかのような 鬱蒼たる枝葉。
その圧倒的なスケールに、思考が止まる。
首を仰け反らせても 先端が見えない。まるで 「世界そのもの」 がそこにあるようだった。
何もかもが、人間の尺度を超えている。だが、恐怖はなかった。むしろ―― 安心感。
「こんな場所にいられるなら……どれほど幸せなことか。」
胸の奥から込み上げる、“帰りたくない” という感情。ここは作られただけのゲーム？そんな訳がない！
断言できる。
この世界が”作られたゲーム”であるなら、地球での生活は、何なのだというのか？
「地球に戻る？ そんな馬鹿な」 と思えるほどの体全体で感じる自然、この樹介、世界樹の鼓動、没入感。
風が吹いた「心地良い」
ほんのわずかなそよ風なのに、それだけで 生命の鼓動を感じる。太陽の光が枝葉の間から降り注ぎ、まるで聖域のような神々しさを放っていた。
世界の脅威と防壁の堅牢さ。
周囲を見渡せば、都市を囲うように 幾重にも張り巡らされた防壁 が聳え立っていた。
分厚い...。
厚みは数十メートルを超え、鋼鉄と魔力が編み込まれた巨大な壁が、まるで”牙”のように立ち並ぶ。
なぜ？
「なぜ、ここまで？頑丈な壁が必要な理由は何だ……？」
その答えは、すぐに理解できた。
、理解させられた。
遠くの森を突き破るように、巨大な影が動いた。獣の咆哮が響き渡り、大地が震える。
―― ティラノサウルスほどの大きさの四足獣 が、樹介の森の奥から姿を現した。牙の間から滴る唾液が陽光を反射し、蹄が大地を踏み砕くたびに、周囲の木々が倒れる。
しかし、そこにいるのは”一体”ではなかった。
空には 翼を持つ巨大なマンモス の群れが飛び交い、川の奥では 30メートルを超える水棲獣 がゆっくりとその巨体を動かしている。
「ここは……人間が生きる世界なのか？」
理屈が追いつかない。この世界の生態系は、完全に地球の常識を超えていた。だからこそ、あの頑丈な防壁が “必要不可欠” なのだと、痛感した。
掲示板との邂逅 - そして、夜桜。
ふと、視界の端に 巨大な掲示板 が映った。
____________JUKAI8ch____________
【樹介掲示板8ch】
【速報】夜桜屋台の新メニュー、また炎上ｗｗｗ
【悲報】貴族レストラン、夜桜のせいで倒産ラッシュｗ
【夜桜経済圏】バズって世界変わった件________________________________
「……誰？」
クリックすると、1本の動画が目に入った。
再生を押した瞬間―― 衝撃が走る。
「こいつ……バケモンか？」
クリックすると、1本の動画が目に入った。
再生を押した瞬間―― 衝撃が走る。
っ！！！
画面には、荒野を全速力で駆け抜ける 黒髪の男。彼の背後を、 巨大なタランチュラ が猛追していた。
タランチュラと言っても、サイズが違う。
人間の家ほどの大きさで、脚一本一本が樹木のように太い。
タランチュラが動くたびに大地が揺れ、獲物を捕らえるための糸が、容赦なく放たれる。
だが、夜桜は止まらない、止まれない。
地面を蹴るたびに、重力を無視するように跳躍し、蜘蛛の糸を回避。信じられない速度で駆け抜け、視線の先には 巨大な岩壁。
「追い詰められた……！？」
龍崎が思った瞬間、夜桜は身体を僅かに捻り、岩壁の表面に足をかけた。
次の瞬間――
まるで忍者のように、垂直の壁を駆け上がり始めた。
「……は？」
龍崎の脳が、一瞬フリーズする。
タランチュラが後を追うが、重量のせいで登れない。桜はあっという間に岩壁の頂上に到達。
そこで 一瞬、静止した。そして――
岩壁の向こう側に隠されていた “大鍋” を、豪快に蹴り飛ばした。
熱々のスープが タランチュラの真上に落下。
蜘蛛の硬い外殻が、 一瞬で蒸気を上げるほどの高温。
夜桜は、ニヤリと笑い、こう言った。
「おい、グルメスパイダー。お前、茹でたら美味いのか？随分と、食べ出がありそうだな！ジュルルっ」
掲示板が、一瞬で騒然となる。
映像が流れる、カメラワークが神がかっている。編集が面白すぎる。何より、本人の動きがヤバすぎる！！！
「これだ……！」
心臓が跳ねる。求めていたものが、ここにあった。
「夜桜……お前は“本物”だ。私、龍崎凛火は──お前を、ずっと探していたッ！！」
恐竜が跋扈している防御壁の外、危険地帯で雄叫びが響いていた。
その後、声に反応した危険生物に追われたとか、追われなかったとか。
____________JUKAI8ch____________
果実爆映:果実ジューシーprime （樹介版YouTube）
夜桜の動画
・「屋台の新メニュー、貴族レストラン潰しに行きます」
・「食材争奪バトル！王都で狩猟戦争が勃発！！」
・「樹介の食文化を変えた男!!
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彼の屋台には異世界人の大行列。貴族達が彼、夜桜を “危険人物” とみなし、既に監視の目が付いていた。
「夜桜が動くと、世界が揺れる……。」
次回：第14話 後編 龍崎凛火「XLM全ツッパ、夜桜経済圏への投資」
✅ XLM全ツッパ決定 → 「夜桜こそ、樹介を変える男！」
✅ 掲示板8chで “夜桜推しスレ” 乱立！
✅ 夜桜経済圏の可能性に気づく！
