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2 おかしな二人

金髪の男に拾われてしまってから、およそ二ヶ月ほど経過した。


孤児院の暮らしは前の世界よりも快適で、近所関係に困ることもなかった。

ただし、一つを除いて。


今、私の目の前には赤い瞳を持つ少女の顔がある。

朝目覚めて目を開けたら顔があったなんて、さすがに幽霊でも驚いてしまうでしょう。


「……顔が近いです、ライリー」


孤児院に来てから、しつこく私に話しかけてきたのがライリーという赤髪、赤眼を持つ少女だった。

私の名前と彼女の名前が似ているのは、あの金髪の男が勝手に付けたからです。


今の私の年齢は十歳で、ライリーとは二つ違うが、他の人からしたら双子だと間違えられてしまう。

いや、どう考えても髪の色が違うのだからそんなことはないだろうけど。


「ふふ、今日も可愛いね、ライラ」


そして、一番の問題は、ライリーがとてつもなく私を気に入っていること。

勇ましい性格であり、孤児院で喧嘩する少年たちを威圧だけで止めてしまうほどに恐ろしい少女だった。

そんな少女に気に入られるなんて、命がいくつあっても足りないくらいに逃げずらい。


さらに問題なのが、私はもう一人の人間に監視されていることだ。

まさに、私の部屋の外から顔だけを覗かせている桃色の髪と緑色の瞳を持った少年が犯人だ。


「隠れてないで出てきたらどうだ? ジュリアン」


見事、ライリーに気付かれてしまったジュリアンと呼ばれる少年は、慌てて扉を勢いよく開け、両手を腰に当てて声を上げた。


「は、はあ? 隠れてなんかないし! それに、ライラは早く起きてよね!」


どうしよう、可愛い。

鼻血が出そうです。


「本当は寝顔が見たかっただけだろう?」

「な、何言ってんのさ! この僕がライラの寝顔なんて……」


私の顔をそんなに見ないでほしい。

ジュリアンは、素直じゃないけれど、この孤児院では女の子たちの間で密かに人気がある少年です。


素直じゃないけれど面倒見が良く、しかも頭も良い。

それに、私と唯一同い年だから、おそらくそのせいで監視されている。


それに、あのライリーですら、人気者ではあるが頭の良さはそこそこなのだから、この二人はいろいろと恵まれている。


そう、彼らはそれでいい。

私は、それだと困る。

馬鹿であり続けて、養子として引き取られないように常に日頃から努力している。


だからこそ、彼らとは一緒にいたくはない。

おまけとして引き取られてしまうでしょう?


それだけはやめてください、神様。


すると、しばらく返事が返ってこないジュリアンにライリーは「どうした?」と問いかけると、現実に戻ったのか、お湯が沸騰したかのように顔が赤くなっていた。

彼はいつもこうです。

だから、気にしないことにしている。


「寝坊して、私の存在がいなかったことにしたかったのに、いつも邪魔しますね」


そう言って立ち上がると、二人は何も言わずに、寝癖だらけの私が部屋に出るのを見つめるだけだった。

そう、彼らは私が不機嫌になると、いきなり黙り込むのである。

だから、とりあえず彼らを無視して部屋から出ることにする。

不機嫌ですよアピールをしながら。

さてと、今日はどうやって逃げ出そ――


部屋から出て、階段を降りようとしたとき、両腕を何者かに掴まれた。

身動きが取れないので、顔だけを後ろに向けると、そこには微笑みながら私の腕を掴むライリーとジュリアンがいた。


何故、効いていない……?


「今回はその手は効かないぞ〜? ライラ〜?」

「まさか、そんな頭で行くつもりじゃないよね?」


これだから苦手なのだ、この二人は。

この孤児院というダンジョンの敵は、金髪の男とこの二人だけ。

あの三人を倒せば、私はこんな所からおさらばできると思っていたのに、どうやら神様は彼らの味方であった。


神様にまで裏切られたら、私はいつまで経ってもここから抜け出せない。

だったら死んだほうがマシだ。

というのを考えても、死んだところでまた生まれ変わって、どこかの家庭に生まれてしまうのだから、死ぬことはできない。


ということを考えていたら、いつの間にか部屋に引き戻され、ジュリアンには髪を整えられ、ライリーには私の似顔絵を勝手に描いていた。


「私のことなんて放っておいてくれればいいのに」

「そんなことをしたら、君は逃げるでしょ」

「そうだぞ? ライラ。いくらここが嫌いでも行くあてがなければ餓死して死んでしまうのだからな」


二人はそう言いながら、腕を動かし続ける。


餓死をするのは嫌だが、誰かに優しくされると勘違いしてしまう。

勘違いしてしまったら、その思いにつられて新たな感情が芽生えてしまうではないですか。

それだけは嫌。

捨てられて、一人になって、誰からにも気付かれずに生きることこそ、私の人生の楽しみであり、存在価値です。

だからこそ、この二人から逃げなければならない。


「意地でも逃げてやります……」

お読みいただきありがとうございます。

面白いと感じましたら、ブックマークなどよろしくお願いいたします。

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