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第三章 エピローグ 下

※今作では主人公が対人戦をする機会はほとんどありませんし、直接政治のやり取りに関わる事もたぶんないです。




第三章 エピローグ 下




サイド なし



 東京都、中央合同庁舎。


 そのとあるフロアに入っている、ダンジョン庁。


 今日も今日とて大忙しの彼らだが、今回は少しだけ状況が異なる。


『空き家等対策特別措置法』──そこに、ダンジョン庁と国土交通省共同で幾つかの文が加えられた。


 その内容を大雑把に言ってしまえば、『1カ月以上所有者が特定されない。または所有者がそれだけの期間家屋内を確認していない場合、各自治体の判断で警察と共に内部を調査できる』というもの。


 また、『出張や入院などで家を空ける場合、自治体に予めその事を報告し信用できる人間へ家屋の管理を委託した旨を記した書類を提出するか、その自治体に管理を一時的に任せなければならない』。


 色々と、無茶な内容である。当然の様に国内外から批判は来ているが、問題はそれだけではない。



 単純に、役所の仕事が増える。人も金も増えていないのに。



 各地からダンジョン庁や国土交通省に、『こういう場合はどうすればいい』等の問い合わせが来ている。


 無論、ある程度のマニュアルは作成し配布済みだ。しかし想定外が起きるのは世の常。ダンジョン庁と国土交通省では、そういった問い合わせへの対応と次へ繋げる為の記録がなされている。


 通常業務と並行して。


 時々異臭騒ぎが出るダンジョン庁だが、最近は国土交通省の一部の部署でも同様の騒ぎが起きているらしい。


 もっとも、最近はどこの省庁も似た様な状況になっていた。これまで起きた『氾濫』で住居を失った者への保証。一部道路が使えなくなった事に関する対応。その他、やらねばならない業務は山とある。


 他の部署からの救援もなく、ブラック企業も少し引く様なあり様で官僚達は動き回っていた。やってられるかと辞表を出す者も、過労で倒れる者も出てきている。


 その忙しいタイミングで、またも『ダンジョンの氾濫』が起きた。


 悪い事は重なるもので、『一部の自衛隊員が暴走し上の許可が下りる前に出撃。モンスターと交戦し死亡』という、『事件』まで起きている。


 その対応を協議する為、赤坂部長は新宿区の防衛省まで足を運ぶ事になった。


「……では。こういった形でマスコミやご遺族には対応するという事で」


「ええ。わかりました」


 数人の官僚と、幹部自衛官も交えての会議。それが終わり、僅かにだが弛緩した空気が流れる。


 しかし、誰も彼もが忙しい現状。彼らはすぐにそれぞれの仕事に戻っていった。


 赤坂部長も合同庁舎に戻ろうとしたのだが、それを丸井陸将に呼び止められる。


「赤坂君。すまないが、今少しいいかね」


「丸井陸将。ええ、勿論です」


 彼が頷くと、陸将と部長は先ほどまで使っていた椅子に座り直す。


 広い会議室に残った2人の男。大きな机越しに向かい合って、揃って大きなため息を吐きだした。


 どちらも、見てわかるほどに疲れが顔に浮かんでいる。


「すまないね。苦労をかける」


「いいえ。仕事ですから」


「そう……これは仕事だ」


 丸井陸将が、眼鏡をはずし己の眉間を揉みほぐす。


()()は……仕事に対する責任以上のものを抱いてしまった。『自衛隊の幹部』としては、許せない事だよ」


 そう言う彼の声音は、淡々としていて感情の読み取れないものだった。


 逆に、それが答えだろうと赤坂部長も無言で頷く。


「独断専行した彼らは、正義感が強すぎたのですね」


「ああ。『出動が1秒遅れれば1人死に、10秒遅れたら20人死ぬ。許可など待っていられるか』……そう、彼らは無線で言ったらしい」


「……組織人としては、許容できない考えです」


「ああ。組織の者として、決して許される事ではないよ。彼らの行いは下手をすれば自衛隊という組織の存続に関わる蛮行だ。結果的に、指揮系統は混乱し救助へ向かうはずの部隊は出発が遅れた」


 赤坂部長と丸井陸将が、揃って亡くなった自衛隊員達の行動を否定する。


 しかし、個人としては──そうして駆けだす事が出来た自衛隊員達が、少しだけ。ほんの少しだけ、羨ましかった。


 あの戦いで亡くなった自衛隊員達の行いは、否定されて然るべきものである。


 故に、この場に残った男達は、無言にてその冥福を祈った。


「……本題に移ろう。2つ、君と話したい事がある」


「ええ。1つは、『あの学校を守った覚醒者』についてですね?」


「話が早くて助かるよ。生憎こちらにはその辺りを調べる『手』がなくってね。情報を貰いたい」


「彼らを保護したのは、自衛隊だと伺っていますが」


「腹の探り合いはやめてくれ。簡単な事情聴取をしたが、それ以上は聞く事もできなかったよ。相手は未成年で、氾濫があった直後だぞ」


「それもそうですね」


 学友たちが死ぬ中、命懸けで戦った少年少女に根掘り葉掘り話を聞くほど自衛隊も無慈悲ではない。


 そういうのを気にしない隊員もいるかもしれないが、事情聴取を短く済ませないといけない理由がもう1つあった。


 世間から自衛隊へのイメージである。


 直前に一部隊員の独断専行があったばかりだ。これ以上のマイナスな評判は、自衛隊の立場を取り返しのつかないものにしてしまう。


「彼らについて色々と聞かせてほしい。君に尋ねるのが一番早いからね」


「……矢川京太。林崎エリナ。毒島愛花。大山雫。それが、あの場にいた4名の覚醒者です。そして、矢川京太については前々から目撃情報があった『インビジブルニンジャーズ』の構成員と特徴が一致しています」


 ゆっくりと、しかしハッキリとした口調で赤坂はそう告げた。


 それは、『確信』を持った口調だった。


「『インビジブルニンジャーズ』……まったく、ふざけた名前もあったものだ」


「恐らく、何らかのカモフラージュかと。中学生が3秒で考えた様なネーミングです。それを高校生の彼が言えば、若気の至りと事情を知らない者からは本気にされない」


 もしもこの会話を聞けば、命名した張本人はショックを受けるだろう。そして、ゴリゴリに構成員扱いされている少年は『巻きこまないでください』と叫ぶに違いない。


「学生を作戦に使う事を前提とした名前か……本当の組織名が他にあるとしても、気分の良い話ではないな」


「ええ。しかしこの矢川京太ですが、もはや単なる構成員とは思えません。少し前の申告では『LV:21』……デーモンとの戦いで更なるレベルアップをしていると考えるのが妥当でしょう」


「レベル20以上……装甲車、下手をすると戦車に匹敵する戦力か」


 丸井陸将の眉間に刻まれた皺が、更に深くなる。


「確かに、ただの構成員ではないな。それもレベルだけではない。スキルや成長率も凄まじいと考えるべきだろう」


「はい。たしか、自衛隊の覚醒者部隊のレベルは……」


「現在ドラゴンのダンジョンに張り付いている数名が、『40』近い。しかし、それ以外は高くても『18』だ。1桁の者が大半を占めている」


「レベル上げは上手くいっていないのですね」


「時間がない。ダンジョンの間引きで精一杯だ。銃火器による『速度』に頼らなければ、とてもじゃないが処理が間に合わんよ」


「『魔法薬』系統の生産スキル持ちに作らせた、『対モンスター弾』は?」


『魔法薬』


 その名の通り、魔力を使い不思議な力を宿した薬。傷口にかけただけで火傷や切り傷を治す物もあれば、トリカブト以上の殺傷力を持つ毒もある。


 自衛隊では、それを弾丸に仕込んだ場合どうなるかが秘密裏に研究されていた。


 そう、『されていた』。


「残念だが、アレは凍結されたよ。議員の方々から、『イメージが悪すぎる』だの『対人戦に使われるかもしれない』と言われてね」


「そう、ですか……」


「彼らが危惧するのもわかる。だが、我々が集めたデータを丸ごと()()()()()()()のは予想外だったよ。その為に中止させたわけではないのだろうが、ついで扱いで引き抜かれたのは痛かった」


「持って行かれた……?どこにですか」


「さてね。それ以上は私の立場ではわからん」


 眼鏡の奥で輝く、丸井陸将の瞳。


 己を射貫く様な視線に、部長は察した。彼は元『外務省』の役人。つまり、これは海の向こう側に関する話だと。


 そのうえ、陸将である彼が『己の立場で得られる情報ではない』とまで言ったのだ。相手は限られてくる。


「話を戻そうか。『インビジブルニンジャーズ』について、他にわかった事は?」


「はい。矢川京太、毒島愛花、大山雫に関しては、背後にこれといった組織は見えませんでした。経歴だけ見れば、いたって普通の学生です。しかし、林崎エリナだけは違いました」


「たしか、クオーターだと聞いたが……」


「はい。祖母がイギリス人です」


「イギリス……まさか……!?」



「ええ。彼女の祖母は今でこそ日本に帰化していますが……元は『公爵家』の人間です」



 公爵。それは、王家の次に権力を有する貴族の家。場合によっては、王位継承権すら有する事もある。


「……『MI6』との繋がりは?」


『MI6』──英国が誇る、対海外の秘密情報部。


「まだ不明です。現在は『有栖川』と名乗っている大学教授なのですが、結構な頻度で実家と手紙のやり取りをしていますね。また、英国の貴族や資産家相手に『ダンジョンの品』を売買している様です」


「内容は?」


「そこもまだ不明ですが……今後も、『裏側』まで調べるのは難しいでしょう」


「だろうな」


 丸井陸将が小さくため息をつく。


「『インビジブルニンジャーズ』。英国政府の息がかかっていると考えるのが妥当、か……」



 ──彼らは知らない。知る(よし)もない。



 有栖川教授が実家と手紙でやり取りしている内容は、大半が世間話である。


 金銭の取引があった『ダンジョンの品』も、『孫やその友人に少しでも稼がせてやろう』という善意から、昔付き合いのあったコレクターに研究価値の低い物を売って矢川達にその分のお金を渡しているだけだった。


 しかし、エリナ達の祖母が公爵家の出である事は紛れもない事実。政治的に様々な『配慮』がされた結果、赤坂達にこれらの事情を知る手段は現状ない。


 その結果。


「英国が関わるとなれば……」


「ええ。今このタイミングで下手な詮索をすれば、どの様な反撃がくるかわからない……!」


 なんか、とんでもない事になっていた。


 ちなみに。発端であるエリナが自分達の事をそれっぽく名乗ったのは、山下一行を助けた時と、ケンタウロスから避難中の一家を守った時のみである。後者に至っては、それっぽい事を言っただけで『組織』だの何だのすら言っていない。


 それ以外は、何故か状況証拠が積み重なってしまっただけなのである。これを悲劇と捉えるか、あるいは喜劇と捉えるか。


「……もう1つの話だ。こちらも、『海の向こう』が関わる事なんだがね」


「ええ。あの件ですね」


 一旦『インビジブルニンジャーズ』の事は後回しにし、陸将と部長は次の議題に移る。



「日米合同……実態は、米国主導の、『あの取り組み』についてだ」



 赤坂部長の眉間の皺が、数段深くなった。


 大国の思惑が、ゆっくりと忍び寄っている。



*     *     *



「……これ、やっぱり『インビジブルニンジャーズ』の彼だよな」


 ギルド、『ウォーカーズ』。


 神奈川県のとある貸しビルに入っている彼ら。一番奥にある『ギルドマスター室』に、山下兄妹とその幼馴染。そして妹の友人の計4人が集まっていた。


 机に置かれたタブレットを囲む彼ら。表示されているのは、『デーモンと戦った少女達』という見出しのブログ記事。


 人の口に戸は立てられぬもので、話題としてのインパクトが薄い扱いされているこの件でもSNSにアップした者はいた。


 画面にはメイド服で空を睨みつける人物と、『魔装』を纏い剣を抜く人物がいた。というかどっちも矢川京太である。


「でも、これあの時の男の子だよね?なんでメイド服?」


「体育祭だったらしいし、なんかそういう催しでもあったんじゃないか?やけにクオリティー高いけど」


 首を捻る山下明美と省吾。


「女装……そういうのも、あり」


 ボソリと呟く喜利子。


 そんな仲間達を横目に、山下博は冷や汗を掻く。


「……お前ら、気づかないのか?」


「え、何が?兄さんの頭に最近十円ハゲが出来ている事?」


「違う」


 妹に答えながら、そっと山下は己の頭を手で隠す。


「あまりにも、この件に関する投稿が少なすぎるんだよ……!」


「……確かに」


「単に『氾濫』関連の話題に世間が飽きただけじゃないか?」


「世間が飽きたのなら、『煙を作る』のがマスコミだろ。それなのに、あの高校の一件を扱うのは個人のサイトだけだ」


「……どこかから圧力がかかっている?」


「だろうな。やはり、危険な組織だよ。『インビジブルニンジャーズ』……!」


 山下は口元をもう片方の手で覆いながら、冷や汗を流した。


「今後も、彼らについてはあまり口外しない様にしよう。どんな報復がくるかわからない」


「だな……」


 4人で頷き合い、明美が自身の後頭部を掻く。


「しっかし。世の中物騒な話が尽きないわよねー。こっちでも、色々とあったし」


「だな……」


 実はほんの少し前まで、彼らも別方向の修羅場を経験していた。



『非覚醒者による、覚醒者への虐め問題』



 社会現象になりかけているそれが、『ウォーカーズ』に所属している冒険者にも降りかかったのである。


 被害を受けたのは、まだ高校2年生の少年。彼はクラスメイト達から金銭の搾取や、金属バットなどで暴行を受けていた。反撃すれば家族を襲うという、脅迫つきで。


 サンドバッグ兼財布扱いされていた彼が、暴発するのも当たり前の事である。


 危うく殺人犯になりかけた彼をどうにか計画段階で説得。そして、事態の解決に4人は動いていたのである。


 なお、解決方法は最終手段として。



『やあ。君達も岩盤にラリアットでクレーターを作れる嫁がほしくないかい?』


『この本を読んでくれ。私が書いた物だ。ケモ複乳こそこの世全てのエロだよ』



『錬金同好会』の会長と副会長に連絡した。


 事が事なので手段を選んでいる余裕もなく、警察の偉い人と裁判所の人に相談したのである。


 結果、虐めをしていた学生達は法的に制裁を受けた。……会長副会長コンビと密室で会話した結果メンタルブレイクしていた気がするが、それは置いておく。


 しかし、問題はこの後だった。


「まさか、『覚醒者に非ずんば人間に非ず』なんて言う馬鹿が出るとはねー」


「うちのギルドでも、賛同しちまう奴が出てくるしな」


 辟易とした顔でため息を吐く、山下兄妹。


 そう。『覚醒者の為の人権団体』を名乗るNPO団体がどこから嗅ぎつけたのか、件の少年と山下達に接触してきたのだ。


 かなり過激な発言をする組織で、構成員の大半が覚醒者。非覚醒者を徹底的に見下しており、覚醒者だけの国を作るなんて事まで言っている集団である。


 どうやら、彼らは元々『錬金同好会』に……それと繫がりをもつ『ウォーカーズ』に興味を持っていた様で、これ幸いと友達面で握手を求めてきたのだ。


 これに関して『錬金同好会』は、


『私達は『ウォーカーズ』のズッ友だからぁ。まず彼らに話を通してほしいな♡』


 とコメント。つまり山下達に対応を丸投げした。その上で、


『わかっていますよねぇ、山下さぁん。わかってぇ、いますよねぇ……』


 と。副会長が山下兄の耳元でねっっ………とりと囁いたのだった。丸投げの上、上手い事追い返せとのオーダーである。


「うちにだって、非覚醒の事務員さんはいるってのに。……税金とか申請とか、あの人達なしでギルド回せる気しないぞ、俺」


「というかヤバいよあいつら。なんか覚醒者を貴族にして~とか中学生みたいな事言っていたし」


「……しかし、幹部の実力は本物だと思うぞ」


 省吾の言葉に、山下兄妹も押し黙る。


 覚醒者の業界は、非覚醒者のそれ以上に『才能の世界』だ。


 ステータスという数字で。そして、スキルという特別な力で。個々人の素質の差が大きく出てしまう。


 100人の戦士より、1人の英雄や怪物の方が強いのが覚醒者だ。


「それに、確かにあいつらの言う事は過激だが、ああいう意見をハッキリ言ってくれる団体も必要だぜ?でなきゃ、非覚醒者に『搾取』され過ぎちまう」


「でも、彼らの行動で覚醒者と非覚醒者の溝はまた深まるよ」


 面倒そうに言う省吾に、横から喜利子が呟く。


「喜利子ちゃん。先に言うが、俺だってあいつらは嫌いさ。だが、『代弁者』はいるべきなんだよ。じゃなきゃ、誰にも伝わらない。歪んだ偏見が、世間の常識にされちまう。『覚醒者は非覚醒者の為に戦って当たり前』ってな」


「それでも。私達覚醒者と非覚醒者は同じ人間。省吾さんの言う通り代弁者は必要かもしれないけど、彼らじゃない。覚醒者である事が、そして覚醒者としての強さがそのまま『価値』になる世の中になんてなってほしくない」


「待った。2人とも」


 嫌な空気になり始めた所で、山下兄が手を叩く。


「論点がお互いずれているぞ。あの団体が気に食わないのは一致しているんだ。そこは忘れないようにな」


「……おう」


「はい……」


 2人の様子に、山下は胃がキリキリと痛むのを感じた。


 こういった対立が、ギルド内でも起きている。


『ウォーカーズ』は、いつの間にか国内でも有数の『覚醒者組織』になっていた。それこそ、複数の『クラン』が彼らの傘下に入るほどに。


 もはや、『ギルド』という名乗りに疑問を抱く者はいないほどだ。


 あのNPO団体が『ウォーカーズ』に関わってきた一番の理由は、同好会への繫がりである。


 しかし、それを抜きにしても山下らに接触する理由があり過ぎた。



『ウォーカーズ』の傾く先次第で、日本の()()が変わる。



「どぉすっかなぁ……」


 ため息まじりに天井を見上げる山下兄。故に、気づかなかった。


 一瞬で互いに目配せして、左右から肩を掴んでくる仲間達に。


「俺にいい考えがある」


「同じく」


 息の合った様子でそんな事を言ってきた幼馴染と妹の友達に、山下兄の背を冷たい汗が伝う。


「お前が、いいや俺達が!」


「覚醒者と非覚醒者を繋ぐ懸け橋になるんだよ!……です」


「えっ」


「まあいきなりは無理だから、ゆっくり1歩ずつだがな」


「せめてこの辺の地域だけでも……私達の安全な生活の為に」


「……えっ」


 スペース猫ならぬ、スペース猫獣人。


 兄の姿を見て、明美はふとそう思った。






読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
正直自分がこの世界にいて覚醒してたらNPOほど過激でなくとも似た思想に傾倒してる自信はある。力ある奴らが粗雑に扱われすぎ。
さすがの英国さんも今回はとばっちりw 英国「何それ知らん…こわぁ…」
ルール無視の「英雄」を褒め続けた結果が今の米国の惨状でもあるわけで。難しいですよねえ。個人の正義とルールとの衝突は。 しかしまさかそんな理由でインビジブルニンジャ達の平穏が保たれていたとは!
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