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【書籍化決定】コミュ障高校生、ダンジョンに行く【本編完結済み】  作者: たろっぺ
最終章 コミュ障たち、現代ダンジョンに行く
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閑話 百鬼夜行の外側で

閑話 百鬼夜行の外側で




サイド なし



 東京都某所。人里離れたその場所に、何台ものトラックが入っていく。


 自衛隊員達が敬礼し、立ち入り禁止の看板やバーをどかして道を空けた。今にも崩れそうな空の下、未完成のストアの前へと車両が次々と停車する。


 大型トラックの後部が開かれ、そこから次々と鋼の戦士達が降りて行った。


 自衛隊と『錬金同好会』、そして『ウォーカーズ』と『インビジブルニンジャーズ』が協力して作り上げたダンジョン専用戦闘装備、『金剛』。


 扉も碌に設置されていない、ほとんどただの『箱』でしかないストアの正面に。彼らが整列した。


 その数、およそ100体。それぞれが重機関銃やグレネードランチャー、ロケットランチャー等を装備しており、中には迫撃砲を改造し手持ち武器にした機体もいる。


 まさに人型の装甲車。そんなSFに出てきそうな存在を駆るのは、鍛え上げられた心身以外はごく普通の人間達であった。


 特殊な力も、希少な血筋でもない。ただ努力してきただけの人達。諦めなかった人達。


 彼らは今、異能飛び交う異界へと踏み入れる権利を得た。


 そんな者達と並ぶ、異能者達。


 自衛隊を抜け、外国や民間に行けば左団扇で暮らせたというのに、それでも日の丸を背負い続けた変わり者。護国の為に戦い続けた、覚醒者部隊であった。


 その先頭に立つのは、日本、否。世界最強の4人。



 ぼさぼさの髪に無精髭。くすんだ藍色の着物と黒い袴姿で、草履どころか足袋すらない裸足の男。


 浮浪者に見紛う装いの、しかし腰に差した刀だけは何よりも美しい。


斬り合い以外の全てが二の次三の次。まるで、この人物の生き方を示す様な姿であった。


───剣聖にして剣鬼。『宮本織部』


 その隣には、自衛隊とは違う近代の戦闘服を身に纏った少女と見紛う女性が立っている。


 おかっぱにパッツン前髪と、古風なヘアスタイル。それも相まって、着物を纏えばこけし人形に似ていると思う者もいるかもしれない。


 されど、その瞳は深い理性の光が宿っている。何千通りの死に方と、何万回の死亡を経てなお彼女の自我は一切崩れていない証拠であった。


───迷宮の案内人。『不死川宮子』


 そのまた隣には、黒髪ばかりの自衛隊員の中でひときわ目立つ金髪碧眼の青年。


 ふわりと柔らかそうな髪に垂れ目もあいまって、優しさが滲み出ている顔立ちをしていた。およそ、戦士とは思えぬ容姿。


 だが、身に纏う漆黒の無骨な鎧が不思議とよく似合う男でもあった。脇に抱えた兜も含めて凄まじい重量である事が、彼の足元を見ればわかる。


───不壊の人間要塞。『田辺ラインハルト』


 そして左端にて悠然と立つ優男。長めの前髪の下で、整った顔に不敵な笑みを浮かべている。


 手足が長く、顔立ちも相まってモデルの様な出で立ちをしていた。上下共に黒い衣服に、金色の装飾がされたマント。


 手には大きなひし形の宝石がついた錫杖を持つ、異様な雰囲気を放つ人物。


───神代の鉄槌。『西園寺康弘』



 彼ら4名こそ、日本の破滅を日々覆してきた英雄達。もしも神話の時代に生まれていたとしても、間違いなくその名を残していた猛者達。


『ドラゴンキラー隊』。そんなシンプルな呼び名が、しかしこの作戦には相応しい。


 金剛隊、覚醒者隊、ドラゴンキラー隊。計124人。それが整列する前に、全体的に四角い男が立った。


 丸井陸将。名前に反し角刈りの頭に四角い眼鏡と顔立ち。ガッシリとした肩の彼は、普段の制服ではなく防弾チョッキ姿であった。


『諸君。これより、『ドライグ討伐作戦』が始まる。今更、君達の覚悟を問う事はしない。故に、私が言えるのは……命じられる事はこれだけだ』


 隊員達に見えぬ位置で、丸井陸将の手が硬く、握り拳を作った。爪が皮膚を破る程に、強く。硬く。


『君達の命を、この国にくれ。銃後に生きる人々の為に、怪物どもを殺しつくして来い!』


 敬礼をした彼に、隊員達が一斉に敬礼で返す。金剛隊も鋼の腕を使い、綺麗な敬礼をしてみせた。


 そして、戦士達は動き出す。


 4人1組の班をつくり、ゲートへと歩いていく背中を見送りながら、丸井陸将は指揮所へと向かった。


 外部と内部では通信が出来ない。こればっかりは、『錬金同好会』の技術でも不可能であった。それほどまでに、竜達の迷宮は魔境と化している。


 それゆえ、この指揮所はほとんど意味がない。それでも彼がここに留まったのには、理由があった。


『そちらも、出発しましたか。丸井陸将』


「……ああ」


 パソコンの画面には、赤坂部長と門倉海将の顔が映し出されている。


 テレビ電話で、3人の男達が揃いも揃って難しい表情をしているのが互いに丸わかりだ。


『お前ら、本当にそこで待つつもりか。そこは』


『ええ。彼らが失敗し、ドラゴンが出て来た場合……我々のいる場所に核ミサイルが降ってくる』


「もっとも、その前にブレスで焼き殺されるだろうがな」


 竜退治に向かった精鋭達は、同時に竜達の『餌』になるかもしれない。


 もしも全滅し竜達の糧となれば、ダンジョンの魔力濃度は限界を超えグイベル達はゲートの外へとやってくる事だろう。


 そうなれば、人類の叡智が刻むタイマーは即座に0となり発射される予定だ。


「我らが見送って、少しでも隊員達の士気が上げられるのなら僥倖。この際、帰ってきたらこんな作戦を考えた奴の顔を殴ってやると、モチベーションにしてくれても構わない」


『それは、どちらかというと私が思われていそうですね』


 赤坂部長が苦笑を浮かべるが、門倉海将は難しい顔のままだ。


『……そうかい。覚悟の上なら、もうこれ以上は何も言わねぇ。こっちもさっきミノタウロスのダンジョンへ部隊を送った所だ』


「ええ。そちらも、後は待つだけですか」


『応よ。いらねぇ横槍を警戒しながら、な』


 門倉海将が、不機嫌そうに鼻を鳴らす。


『英国の天秤が、こちらに傾いてくれたのは幸運でした。それがなければ、ほぼ間違いなく国籍不明の武装集団がそこに向かっていたでしょう』


『へっ。山下とかいう男、頼りねぇ子猫かと思ったらとんでもねぇ。幸運の招き猫様だったぜ』


「今の彼は、猫というよりかは虎か獅子の様な目をしていますがね。『ウォーカーズ』の尽力がなければ、金剛隊は完成しなかった」


 その山下は今、万が一の時に備え核攻撃の範囲やそれに近い住民の避難に協力していた。


 詳しい事情は民間に伝えられない為、不発弾等の適当な理由を説明してまわっている。『ウォーカーズ』の職員達も大半が知らない情報を胸に抱え、今にも吐きそうな顔で彼とその古い仲間達は市役所の職員や自衛隊員達と駆けずり回っていた。


『……『ウォーカーズ』に力を持たせすぎるのは良くないと思っていたのですが、もはやそんな事を考えてはいられませんね』


『応よ。これだけ働いてもらって、ビビッて報いねぇのは漢じゃねぇぜ。赤坂よぉ』


「未来の話は、後にしましょう。それより赤坂君。本当なのか、例の件は」


 丸井陸将が、眼鏡の奥で目を細める。


 それに、赤坂部長も頷いた。


『ええ。現在、娘の友人達が対応中です。状況が状況ですので、自衛隊や警察は動かせませんから』


『また、ガキに面倒事を押し付けなきゃならねぇのか……』


「……穏便に事が済むのを、祈っているよ」


『ええ』


 画面の向こうで、赤坂部長は目を伏せる。


 クリス元大使が、『かつての上司』から得た情報が確かなら……。



 穏便には、済まない。




*     *      *



「……良い街だったのだろうね、ここも」


 そこは、もはやゴーストタウンとしか呼べない場所だった。


 埼玉県某所。赤坂部長達がいる場所から、数キロほど離れた位置。


 田畑の方が家々よりも多い景色とは一転、コンクリートのジャングルとでも呼ぶべき街があった。


 そう、『あった』。


 ファフニールによる蹂躙と、近場に強力なダンジョンが出来た事。なにより竜の出現により、復興すら届いていない、人の消えてしまった街並み。


 そこに、新たな靴音が3つ、増えた。


「さあ。私は来た事ないですけど、たぶんそうだったと思いますよ?」


 廃墟の中に立つ大柄な人物の言葉に、少女が答える。


 長い黒髪をツーサイドアップにし、大剣を携えた彼女。その左右には、数メートル程距離をとってエルフ耳の神官風の少女と、灰色の髪をポニーテールにした大鎌を担いだ少女がいた。


 3人の少女に、男性が振り返る。


 短く切りそろえられた金髪に、海の様に青い碧眼。滑らかな白い肌に、彫りの深い顔立ち。


 口元の髭も整えられた、紳士然とした美丈夫だった。ワイシャツとスーツのズボン姿の彼は、高そうな革靴が汚れる事も厭わず雑草と泥にまみれた道路を歩く。


 少女達に、向かって。



「初めまして。私は『ファッジ・ヴァレンタイン』。知っているかもしれないが、アメリカ大統領をしている」



 己の胸に手を添え、紳士的な礼をするファッジ・ヴァレンタイン大統領。それに対し、少女もまた優雅な一礼を返した。


 両者の足が、再び動き出す。


「ええ、勿論。お会いできて光栄です大統領。後でサインとか貰えますか?」


「ああ。私のもので良ければ」


 ニッコリと満面の笑みを浮かべる少女に、大統領もまた柔らかく笑った。


 和やかな雰囲気に反し、両者の(けん)(けん)には距離に比例して力が込められていく。


「こちらも名乗り返すのが礼儀ですが、こんな所で自己紹介も味気ないじゃないですか。どうです?友達のお父さんが良いお店用意してくれたので、そこで改めてお話ししませんか?」


「レディの誘いを断るのは心苦しいが、生憎多忙な身でね」


「ありゃ、残念」


 困った様に笑い、少女は小さく肩をすくめる。


「そんなに殺したいんですか?私達のこと」


 あっさりとした問いかけに、大統領の足が止まる。


「……ああ。私は私の罪に、向き合わねばならない」


「勝手ですねぇ。そもそも、今の世の中っておたくの実験のせいでしょ?」


「否定も弁解もしない。君達がそうなってしまったのは、私の、アメリカの罪だ」


 大統領の頬に、1筋の涙が流れる。


「私達が、君達を『悪魔』に変えてしまった。異世界の怪物に変わる病に、感染させてしまったのだ」


「うぅわ。今のセリフ、カメラの前で言ったら大炎上待ったなしですよ大統領」


「構わんよ。罪に向き合うと言っただろう。もしも生きてアメリカに帰る事が出来たのなら、全ての事情を公開するつもりだ」


 彼が、右の拳をその碧眼で見下ろした。


「目先の欲におぼれ、日本を怪物の温床にしてしまった。何より、世界を飲み込みかねない『悪』を、この世界と繋げてしまった」


「その問題、これから日本が解決するって言ったら、拳を下ろしてくれます?」


「君達の言う解決は、ただダンジョンの増加を止めるだけだろう?それとも、今後の間引きを安定して行うという事かな」


「勿論両方です。今後は、ダンジョンの氾濫が起きる可能性は限りなく低下しますよ。日本の、そして世界の明日はよりよい」


「それだけでは、ダメなのだ」


 ツーサイドアップの少女の言葉に被せる様に、大統領が言葉を荒げる。


「その様な対処療法では意味がない。モンスターが出てこない間も、覚醒者は増え続ける。人が人ではなくなっていくのだ……!」


「それ、私達は人間じゃないって言ってます?」


「そうだ」


 きっぱりと、彼は告げる。


「君達は、元人間の怪物だ。人ではない。人の姿を保ったまま、悪魔に堕ちた存在なのだ」


「……流石に、そこまで言われるとは思っていなかったなぁ」


 ショックを受けたというより、ただただ驚いたという様子で少女は頬を掻く。


「じゃあ、そんな私達に大統領は何をする気なんですかね。詳しくお聞きしても?」


「構わんよ。私がここに来たのは、非常にシンプルな理由だ」


 再び、大統領が歩き出す。


 ツーサイドアップの少女へと、真っ直ぐに。


「君達が今やっている作戦。それが成功した時には、出て来た悪魔共が弱っている内に殲滅する。失敗した時は、出て来た竜を核の投下まで釘付けにする。もう片方の場所には、いつでも在日米軍が迎える手はずだ」


「……国際問題って知ってます?」


「日本がこの有事に対応できるのなら、我々もここまでするつもりはなかったさ。だが、この国は悪魔の力に魅入られてしまった。……目を覚まさせる事が出来ない、我々の力不足を嘆くばかりだよ」


 少女に近づきながら、彼が先ほどまで見つめていた右の拳を掲げてみせた。


「これから、この拳で『君を殴る』。受け入れてくれ。苦しめたくはない」


「……一応聞きますが、和解の道は?」


「ない。悪魔との取引など、するものか」


「そうですか。じゃあ、しょうがないですね」


「ああ、これは仕方のない事なのだ。あの世で存分に、私達を恨んでくれ」


 ツーサイドアップの少女、そして左右の少女達がそれぞれ得物を構える。


 相対するのは大統領ただ1人。元警察の特殊部隊に所属していたとはいえ、非覚醒者。


 彼女らは、彼が覚醒している可能性。そして周囲に何かを潜ませている可能性を考慮し、一切の油断なく警戒していた。


 だが、その予想は両方とも外れている。



 瞬間、ツーサイドアップの少女が吹き飛ばされた。



 豪風が巻き起こり、小柄な体は数十メートル先まで射出される。その先にあった無人のビルに衝突し、爆音と共に瓦礫の中へと姿を消した。


 彼女が先ほどまでいた場所には、拳を振り抜いた姿勢の大統領が立っている。


 その光景に、2人は考えるより先に行動へ移していた。もはや手加減など考えず、全力で彼を制圧しようと動く。


「『影狼』!」


「天使様!」


 大統領から距離をとりながら、彼女らはそれぞれ鎌と錫杖を振るった。


 灰色髪の少女の足元。その影から、ずるりと巨大な怪物が姿を現す。


 大型トラックほどもある体躯に、それに見合った強靭な四肢。ずらりと並んだ黒い牙の奥には、何も見えない。影で構成された、尋常ならざる獣。


 エルフ耳の少女の頭上。そこに太陽が出現したかと思えば、強い光と共に羽が舞った。


 身長5メートルはあろう、巨人。その頭上には光輪が広がり、背には純白の4枚羽。誰もが思い浮かべる天使の姿をした存在は、無骨な剣と盾を構えている。


 左右からの、容赦ない挟撃。『Aランクボスモンスター』すら屠る攻撃は、



 ───ブォォン……!



 一瞬で、消し飛ばされた。


 強烈な風と土煙が渦巻く中、大統領が仁王立ちしている。


 左右斜め上に突き出されているのは、握り拳。彼は素手で、超常の存在を2体纏めて殴り飛ばしたのだ。


 衝撃で、大統領のシャツが破れさりその上半身があらわとなる。


 筋骨隆々とした、逆三角形の肉体。その皮膚は、灰色に染まっていた。


 人ならざる肌に変質した場所には、幾つもの魔道具が埋め込まれている。外科的手術で強引に融合され、更には魔術によって適合率を引き上げられていた。


「ダンジョンから回収された、『星』と名のつく51のアイテム。これを、私は天啓と見た。パンドラの箱に残された、最後の希望だと」


 それらは、モンスターのドロップ品ではない。『Aランクダンジョン』の奥深くにて保管されていた、帝国の至宝。


 1つ1つが絶大な力をもつ、戦術あるいは戦略兵器と目される魔道具。


「悪魔の技術を使おうと……私は、この命をもって世界を守り抜く」


 彼、ファッジ・ヴァレンタインこそ。魔道具と人間の完全融合に成功した唯一の人間。


 多くの屍が積み上げられた実験の果てに、死を覚悟した施術でもって彼はこの力を手に入れた。


 その力は、酒吞童子やケルベロスといった神代の怪物すら圧倒する。


「……出てきたまえ。終わりにしよう。全てを」


 先の攻防で、2人の少女は廃墟の中へとそれぞれ隠れていた。


 戦意を失ったわけではない。今も、大統領の隙を伺っている。


 だが……そんなものはない。


 彼は悠然とその場に立っているだけだというのに、まるで隙がなかった。


 ファッジ・ヴァレンタイン。警察の元特殊部隊に所属していた彼の、格闘戦における勝率は……100%。


 ガラリ、と。廃ビルから音がする。


 直後、爆発でも起きたかの様に瓦礫が吹き飛んだ。


「あー……」


 気だるげな声と共に、土煙からツーサイドアップの少女が出てくる。


 改造軍服に大剣という格好の彼女は、脱臼した左肩を自力で元の位置に戻し。両手で大剣をゆらりと構えた。


「ごめん、2人とも」


 その瞳に、狂気的なまでの輝きを浮かべ。



「援護、お願い。殺す気でいく」



 愛らしい顔に、人ならざる笑みを浮かべていた。


 常人が見れば心が壊れかねない狂笑に、しかし大統領は怯みすらしない。


 ただその碧眼に、哀れみを強める。


 この場に、まっとうな人間などいない。


「悪魔が本性を現したか……。すまない。一撃で、殺しきれなかった」


「いいですよぉ、大統領。楽しいから、良いんです。私の人生で、きっと一番楽しい時間になる。()()に良い思い出を、ありがとう」


 両者が、構えを取った。


「主よ、どうかこの哀れな魂に祝福を……」


「神様にも!感謝を!心からの感謝を!そして!」


「この悪魔になってしまった少女に、どうか救済を」


「この狂人同士の殺し合いを、どうかご照覧あれ!」


「この拳、この魂。そして人の執念でもって」


「この剣、この狂気!私の全てをもって!」


「地上に現れし悪魔どもを」


「我が生涯最期の敵を!」



「「殺します」」



 開幕のゴングは、あまりにもささやかで。


 直後に起きた衝突音が、飲み込んでしまった。


 怪物と人類の決戦の外にて。


 狂人同士の殺し合いが、始まった。







読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
神話には割といそう。 大洪水を起こした神様とか、バベルの塔を壊した神様とか。 人間目線じゃないよね。
狂人は確かに狂人の中の正義と倫理観で生きているのが自分にさえ植え付けたあたりから滲みでてますねぇ まぁどんなものだろうと迷惑というのには変わりありませんがw 3人蛮族やABランク候補見れば確かに悪魔…
うわー アイラさんが悪魔だって こっわ… 今のアイラさんならこの大統領の拳を全て受け切って地球の裏側まで吹き飛ばせそうよね
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