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第七章 設定 + おまけ

第七章 設定 + おまけ





●キャラクター



『矢川京太』

LV:65 種族:人間・覚醒者


筋力:116 (成長性:A)

耐久:116 (成長性:A)

敏捷:119 (成長性:A)

魔力:119 (成長性:A)


スキル

『精霊眼』

『魔力変換・風』

『概念干渉』


固有スキル

『賢者の心核』


備考

 今作の主人公。高校生にして『Bランク冒険者』タイトル通りのコミュ障ながら、身内だけの場ではわりと喋る。覚醒の影響で『量産型ラノベ主人公』っぽい顔になった。

 覚醒者としての能力は全体的に高く、その白兵戦能力はトップ5に入る。

 不本意ながら彼の所属パーティー、『インビジブルニンジャーズ』は日本有数の戦闘集団として国内に名を轟かせており、そのエースとして京太自身も有名になりつつあった。

 現在はその後ろ姿ばかりが世間に広まっており、顔と名前まで知っているのは地元民と一部の情報通のみ。

 彼を自分達の組織に取り込みたい者。固有スキルの特異性に気づいた者。そういった者達が出始めているが、本人の戦闘能力。及び有栖川教授の子飼いという事でアンタッチャブルな存在として見られている。最近は主に前者の比率が大きい。

 だが、知名度が上がるにつれ勧誘や誘拐の手は増えていく。今後もこの不可侵扱いが続くとは限らない。

 なお、メタ的な事を言うと京太が対人戦闘や政治闘争等に直接関わるのは、本編時空だとほとんどない。短いか、ギャグで流れる程度である。だってこれ、ダンジョンものなので。



『林崎エリナ』

LV:60 種族:人間・覚醒者


筋力:91  (成長性:C)

耐久:91  (成長性:C)

敏捷:112 (成長性:A)

魔力:101 (成長性:B)


スキル

『透明化』

『五感強化』

『空間魔法』


備考

 今作のメインヒロインらしき少女。金髪にエメラルド色の瞳をした美少女。自称忍者。英国人の血を引くクオーター。有栖川教授の孫であり、後述の有栖川アイラや三好ミーアの従妹。

 ほとんど常にハイテンション。覚醒するまで痛覚がなく、現在も痛みをオンオフできる影響か共感性にやや難あり。

 忍者を名乗る様になったのは、父親が彼女に『何が危険か、どういう事をしてはいけないか』を理屈で覚えさせる為に武道を習わせたかったので、その興味が引ければと忍者ものの漫画を読ませたのが原因。

 卓越した戦闘技術をもち、特に体術と投擲に関しては一流と言って良い。

 また、その気になれば育ち相応にお嬢様然とした振る舞いが出来るので、交渉事も年齢不相応にこなせる。

 今章では、自分の身を犠牲に京太を助けようとして怒られた。



『有栖川アイラ』

LV:24 種族:ハーフエルフ・覚醒者


筋力:37 (成長性:E)

耐久:35 (成長性:E)

敏捷:37 (成長性:E)

魔力:53 (成長性:B)


スキル

『念話』

『鑑定』


備考

 今作のヒロインらしき存在その2。銀髪ロングエルフ耳巨乳の美女。通称残念女子大生。

 有栖川教授の孫であり、彼女の研究室に籍を置く現役大学生。身内とマウントを取れる相手以外には、まともに喋る事が出来ないコミュ障。最近はほんの少しだけ改善した。

 覚醒者にあるまじき貧弱さだったが、パワーレベリングにより多少マシなステータスにはなってきた。それでも、レベルに比べて基礎値がかなり低い。

また、最近は家族に無理やりやらされた有酸素運動により『耐久』が微増。本人は筋肉痛で死にかけている。

 運動以外はやろうと思えば何でもできる多才さをもち、天才を自称するに値する人物。

 ただし本人の性格によりその才能が活かされるのはごく一部であり、普段は結構だらけている。

 最近、とある『保険』を準備中。



『三好ミーア』

LV:62 種族:エルフ・覚醒者


筋力:86  (成長性:D)

耐久:86  (成長性:D)

敏捷:112 (成長性:A) 

魔力:115 (成長性:A)


スキル

『土木魔法』

『水氷魔法』

『魔力節制』


備考

 今作のヒロインらしき存在その3。金髪ボブカットエルフ爆乳美女。登場時は影のあるクールビューティーだったが、今や1匹の変態。

 姉であるアイラに劣情を抱く事はあるが、同性愛者というわけではない。別段女性が好きなわけではなく、普段の愛読書はNLなものが多い。アイラとエリナが例外というだけ。

 京太とエリナはミーアが姉一筋だと思っているが、この2人も守備範囲どころかほぼ同列で狙われている。

 色々と暴走しているが、中途半端に理性が残っているので土壇場でヘタレる。現在の『変な人だなぁ』と笑って済ませられる関係に甘えている筆頭は、恐らくこの人。

 だが、ブレーキが壊れているくせにハンドル捌きで衝突事故を回避し続けた結果、どんどん性癖が解放されていっている。

 衝突まで加速がつくほど、事が起こった時どうなるかわからない。



『大山雫&毒島愛花』



※特に戦闘描写もなかったので、ステータス・スキルは割愛。レベルはゆっくりとだが上がっている。



備考

 もはやセット扱いが普通になっている、ヒロインらしき者その4とその5な凸凹コンビ。

 普段は普通に友人として京太と接するが、2人とも方向性は違うが彼のファンガールと化している節がある。

 雫は京太の素材としての適性の高さと、自分の装備を限界以上に使い、その上で信頼を寄せてくれている事にテンションがおかしくなってきた。

 愛花は文化祭の一件以来、ようやく家族とまた会話できる様に。ただし、まだかなりぎこちない。恐らく、毒島家が今後も『仲良し家族』と世間一般で称される事はないだろう。

 だが、『普通の家族仲』ぐらいには、数年もしたらなれるかもしれない。

 いつものメンバーで、この2人だけが『白い竜の強襲』を知らされていない。だが、『白蓮』を探索中に失った事は聞いているので、とんでもない事が起きたのだと察している。

 なお、バロメッツとマンドレイクの試食会については、愛花は『多忙な毒島家が久々に家族全員で食事に行ける日が、急に決まった』という理由で欠席。『覚醒の日』より更に前から数えて、およそ3年ぶりの一家揃っての外食となった。

 雫は『安全なのはわかるが、ゲテモノ食いはワンクッション置きたい』という理由で逃げた。

 後日、2人ともエリナから『あーん』されたのは言うまでもない。



『ジョージ』

LV:52 種族:人間・覚醒者


筋力:89  (成長性:B)

耐久:87  (成長性:B)

敏捷:100 (成長性:A)

魔力:82  (成長性:C)


スキル

『怪力』

 瞬間的に膂力を引き上げる。代わりに、相応に体力を消耗する。


『五感強化』

 エリナと同じ能力。


『魔法耐性』

 外側からの魔力的なアプローチに対する強力な耐性。呪いにより内側から破壊するという魔法に対しても有効。ただし、『口腔から摂取した場合は別』。



備考

 元グリーンベレーにして、米国が雇った覚醒者。数年前に不名誉除隊で軍から離れている。

 彼は父親の米軍兵士が、ハワイへ旅行中の日本人の女性警官を強姦した結果産まれた。

 母親とその家族がこの事を公にしたくないと、示談の結果ジョージは父方の祖父母の元で育てられる事に。

 しかし、その祖父母の元で虐待を受ける。彼は10歳の頃養護施設に預けられた。

 元々粗暴な性格だったが正義感が強く、いわゆる『良くも悪くもガキ大将』な少年だったと、当時の彼を知る者は語る。

 彼は生活の糧を得る為に米軍に入隊。厳しい訓練の中才能を開花させ、グリーンベレーにまで選ばれた。

 そして、アフガニスタンへ向かう部隊に、彼も選ばれたのである。

 死ぬかもしれないという思いから、自分の両親について全力で調べた。遺言を渡すなら、たとえ2人が死んでいたとしても墓前に言葉を届けたいと。

 結果、己の産まれについて知ってしまう事になる。

 精神的に不安定な状態となったが、彼は取り繕うのが上手かった。半ば自暴自棄となりながら、アフガニスタンにいる部隊と合流。

 その後、特殊部隊で様々な作戦に従事する。主に斥候と対ゲリラ部隊として働く中、彼はたくさんの『自分』と戦った。

 それがきっかけとなり、気づけば敵方の少年兵とかつての自分を重ねてしまい、爆弾を持って突撃してくる少年兵を撃とうとした味方に、彼は『誤射』をしてしまった。

 完全に壊れてしまったジョージは、裁判の後不名誉除隊される。米国へ帰る気にもなれず、それから暫く日本の反社の下で過ごしていたが、『覚醒の日』に覚醒。

 経歴が経歴なので冒険者としては昇格できず燻っていたが、CIAが彼に勧誘をした。

 最初彼は勧誘を断ったものの、ファッジ・ヴァレンタイン大統領とテレビ電話した途端意見を翻し、大統領に忠誠を誓った。

 彼は後天的に壊れた存在である。世界に対し、なんの期待もしていない。それでも、『自分』だけは愛する事ができた。

『自分』として認識できる部下達からは慕われていたが、部下達は全員が捕縛。あるいは消されている。

 自分がダンジョン庁部長、赤坂雄介の暗殺に動いている間に、部下がクリス元大使を襲撃。ドクターの研究データを破壊する事が目的だった。

 しかしクリス元大使は『ウォーカーズ』の中でも精鋭と呼べる者達に守られており、任務は失敗。ジョージも同好会と山下らの横槍により、作戦は失敗に終わった。



『会長達のやらかしゴーレム』


備考

 正式名称はなし。完全に偶然の産物として作られたので、具体的な製造過程は不明。使用された素材の希少性故、再現は非常に難しい。

 その性能は単純な身体能力だけなら『Bランクモンスター』に匹敵。ただしスキルの類はなく、知能もダチョウなみ。

 本来ならジョージに一蹴される程度の能力だが、山下らの牽制もあって結果的に彼と相打ちという形になった。

 見た目のイメージは『バイオブ■リーと傘印のリッ〇ーと狼』を足してサイズを2~3メートルぐらいにした様な感じ。



●登場モンスター



※『Dランク』


『ホブゴブリン』

 赤黒い体毛に覆われた、熊の様な巨体のモンスター。顔と掌辺りだけ体毛が薄い。

 顔はゴブリンそっくりであり、道具を使うほどの知能はない。だが、その鋭い爪と牙は鉄板すら貫通する。拳銃弾ではまともにダメージすら与えられない。


※『Cランク』


『ケンタウロス』

 第二章でも登場した為割愛。


『ペルーダ』

 蛇の頭と尻尾。獅子の毛皮に覆われた亀の甲羅と、鱗に覆われた亀の足。胴体からはハリネズミの様に長く鋭い棘が生えている。

 サイやカバに匹敵する巨体であり、胴体の針を時速300キロで飛ばす事ができるなど、街中に出たら大惨事間違いなしのモンスター。口からは鉄すら溶かす炎と、強力な酸性の毒ガスを吐く。

 また、頭や心臓を破壊しても活動可能。魔力の起点であり制御を行っている尻尾を壊すまで、倒れる事はない。

 しかし、その強さとは裏腹に作中では白蓮に蹂躙される事になった。伝説でも『大洪水』を箱舟に乗らず生き抜く怪物だったのに、恋人の為に戦う青年により弱点の尻尾を切られて死んでいる。強いのに強さが分かりづらい怪物。


※『Bランク』


『デーモン』

 ほぼ第三章のボスモンスターと同じな為割愛。ただし、得物が『三つ又の槍』になっていたり、戦闘AIが低下していたりと量産型感が強い。


『スパルトイ』

 竜人めいた姿の骨兵士。金色の兜が特徴。

 魔法などの特殊な攻撃手段は持たないが、代わりに基礎能力が高い。連携能力もあり、純粋な『兵士』として非常に強力である。

 このスパルトイ達のダンジョンは1本道で、壁や天井から酸性の液体が滲み出ている。


『ホロファグス』

 身長6メートルほどの邪竜。普通に首から伸びる本体の頭とは別に、胸元から6本の首が生えている。

 それぞれの口から非常に高温の炎を吐き出し、魔力の影響かその攻撃は光線と評するに値する。

 総合的な頑強さはファフニールと比べて圧倒的に劣るが、魔力に関係ない純粋なタフさは『Bランク』でも上位。



※『ボスモンスター』


『レフコース』

 第二章でも登場した為割愛。


『ダンタリオン』


筋力:40

耐久:40

敏捷:40

魔力:100


スキル

『念話・読心』

 赤坂勇音と同じスキル。ダンタリオンの場合、半径100メートルの人間の心が読める。

『念話・誘導』

 赤坂勇音と同じスキル。ダンタリオンの場合、視界内にいる50メートル以内の人間の心を誘導する事ができる。


『特殊転移・悪魔』

 配下の悪魔を使い潰す事で、その場に転移する能力。消費する魔力を生贄の悪魔に支払わせる為、ダンタリオンに消耗はない。

 距離による制約がなく、もしもダンタリオン配下の悪魔が地上へ出れば例え地球の反対側でも悪魔がいるのなら転移できる。


備考

 ソロモン72柱にも語られる大悪魔と似た姿をしたモンスター。

 白い壁襟のついた黒いローブを身に着け手には革張りの黒い本を持っている。

 頭部に皮膚はなく、筋繊維が剥き出し。目玉もなく、ぽっかりと空いた眼窩から赤い光だけが覗く。

 頭上では天使の輪の様に幾つもの仮面が浮かんでおり、その1つ1つが実際に人の顔を引っぺがした様なリアルさを持っていた。

 京太とは相性が悪すぎた為瞬殺された。その上ドロップ品が換金不可能かつ持ち出し厳禁であった為、ストアにて破壊。処分される事が決められている。

 不遇ボスモンスター筆頭。



『スモク・ヴァヴェルスキ』


※具体的な戦闘シーンがないので、ステータス・スキルは不明。『Bランクボスモンスター』に相応しい性能はある。


備考

 見た目はホロファグスと変わらないが、とにかくでかい。20メートル近くの位置に頭があり、打たれ強さと破壊の範囲は『Bランクボスモンスター』でも上位に入る。本来ならレイドボスになれるスペック。

 基本的にダンジョンの奥にある丘の洞窟から動かないが、偶にダンジョン内の川沿いに移動し、侵入者へその絶大な火力を撃つ……はず。

 突然現れた『白い竜』により食い殺された。不遇ボスモンスター次席。



※『ランク不明』


『白い竜とワイバーン』


 ワイバーンは頭から尻尾まで6~7メートルほどの飛竜。前足が翼と一体化している。口から強力な火球を放ち、3体以上で編隊を組み行動する。


 白い竜はダンジョンの外壁を撃ち抜くほどのブレスを放ち、鱗から『Bランク冒険者』と互角の身体能力をもつ白い兵隊を生み出す事ができる。

 その強さは圧倒的であり、ダンジョン庁が公開する『Aランクモンスター』のステータスを遥かに上回る。

 ホロファグスのダンジョンを侵略し、自分達のダンジョンにした。



●Q&A



Q.白い竜が食べている間に、スモクは塩になったんじゃないの?

A.食べ終わるまで塩になる事はありませんでした。これはスモクが頑丈だからではなく、白い竜が『核』へ干渉したからですね。詳しくは秘密です。


Q.ジョージの言っていた、ファッジ・ヴァレンタイン大統領の『取り繕う』ってどういう事?

A.ネタバレになるので、まだ秘密です。


Q.白い竜とドラゴンキラー隊。どっちが強い?

A.圧倒的に前者ですね。ドラゴンキラー隊が相手しているドラゴンとは、格が違います。


Q.京太の強さって今どんぐらい?

A.対モンスター戦に限れば、5本の指に入りますね。ドラゴンキラー隊に次ぐ実力者であり、民間では最強と言って良いでしょう。

 なお、対人戦だと今はトップ30にも入れないかも。


Q.最後、赤坂部長はどんな顔をしていたの?

A.

ツーサイドアップ少女

「凄い笑顔だったよ……うん。笑顔だった」

赤坂勇音

「私の殺意が引っ込む程度には笑顔でした。はい……も、漏らしてませんよ?」

山下さん

「直接見てはいないけど、色々察した」


Q.左腕千切れたり内臓潰れたり、よくショック死しなかったな赤坂さん。

A.彼が気合で耐えた……というのもありますが、それ以上に『普段から色んな薬を飲んでいて、神経が少し麻痺していた』というのが大きいですね。

 おかげで、山下さん一行の魔法薬による応急処置が間に合いました。


Q.竹内さんと佐藤さん?っていう赤坂さんの部下はどうなったの?

A.骨折や打ち身こそありますが、五体満足で無事です。車から出てこようとした所を、山下さんの幼馴染である省吾さんに蹴りで押し戻されたおかげですが、代わりに鼻の骨が2人とも折れました。


Q.会長と副会長反省してねぇ!?

A.一応反省はしていましたし、謝罪も賠償もする気ではありました。ただ、名前を知られたのでそれどころではないってなっただけで。

 あの2人、善性もありますがそれ以上に混沌側の人間ですから。だてに『錬金同好会』のワンツーやってません。


Q.白蓮って、バックアップある?

A.ないですね。『ホムンクルスもどき』に、というか『ホムンクルス』でも、そういうものを取る技術はありません。

 白蓮は、あのブレスに飲み込まれた機体のみです。




●おまけ

『もしも京太の友人達が、TSして戻ってきたら』

※TS注意。



「FOOOO!久々のゲーセンだぜぇ!」


「どんどんどん。ぱふーぱふー」


「あんま騒ぎ過ぎんなよ……」


「へーい」


「勿論です、旦那様」


 水を浮き輪の様に纏い、宙に浮く人魚。メイド服を着こなす、犬耳の美少女。


 両手に花と言える状態だが、2人とも元は男である。ニューハーフどうこうではなく、覚醒した結果種族に引っ張られた結果だ。


 マーメイドとなった真琴君と、キキーモラになった晴香君。2人が男だった頃。中学時代に、こうしてゲーセンへ遊びに来た事もあったっけ。


「しっかし、マジで久々だよな。こうして遊びに出かけるの」


「ここ最近は、『ゴーレムメイカー』の仕事で忙しかったですからね」


「ほんとそれな」


 仕事の事を思い出し、遠い目をする。


 やれ、赤坂さんから『新型のゴーレム作って』だの。丸井陸将から『安くて整備性の高い、性能が落ちない装備作って』だの。


 大山さんから『もっと素材寄こせ』だの。自称忍者から『一緒に忍者な忍者で忍者やろうぜ!』と謎の手紙がきたり。


 ……いや最後のはマジでおかしいな?主に相手の頭が。


 マジでもう、高校生が学業の傍らやる事か?という書類の山と作業量に、固有スキルの恩恵無しではぶっ倒れる思いだった。


「おいおい。なぁに黄昏てんだよ」


 突然、後頭部が幸せな感触に包まれる。


 ふよんふよんと柔らかく、どこまでも沈んでしまいそうな、しかし適度に押し返す感覚もある爆乳。


 それに後ろから頭を挟まれ、頭上から聞きなれた声がする。


「せっかく遊びに来たんだから、もっと笑えってぇの」


「お、おう」


 頬が熱くなり、同時ににやけてしまうのを自覚する。ナイスおっぱい。


「さ、行きましょう旦那様。最初は何で遊びますか?」


 そして、晴香君がその小さな手でこちらの手を握り、優しく引っ張ってくれた。やわっこい……。


「事務の人達が総出で、旦那様は働きすぎとどうにか休みを作ってくれたのです。楽しまなければ、不義理ですよ」


「そーそー。つうわけで早速バトルだおらぁ!」


「はいはい。わかったって」


 友人であり、今は、その……こ、恋人でもある2人からの言葉に、苦笑で答えた。


 傍から見たら、かなり歪で不道徳な関係。しかし、自分達にはこの距離感が心地よかった。


「さあ対戦じゃああ!かかってこいよ雑魚助ぇ!」


「は?雑魚じゃないが?ほえ面かかせてやるから覚悟しろよ」


「ふれーふれー。だーんーなーさーまー」


「オレはぁ!?」


 そうして、対戦ゲームで遊んでいたら乱入してきた対戦相手に『ゲーセンは遊びじゃねぇんだよ!』と怒られたり。


「うおおおおおお!曲がれぇえ!」


「うるせぇぞボケ。叫ぶ前にハンドル動かせや」


「隙ありです」


「な、なにぃ!?」


 レースゲームでひとしきり遊んだ後、そういや真琴君ペダル踏めねぇじゃんと連続最下位の理由に遅れて気づいて爆笑したり。


「おい見ろよ京太!あのフィギュアエロくね!?」


「たしかに……!でもあのキャラ、原作でバニーとか着てなくね?」


「そこを気にしてはいけません、旦那様。大切なのは、そう……叡智です」


「まさに、正論……!」


 UFOキャッチャーをやり過ぎて、気づいたら万札が2枚も消えていて愕然としたり。


「おい帰りにプラモ買ってこうぜプラモ!あそこに100分の1スケールのコーナーがある!」


「なんで100分の1だけのコーナーがゲーセンに……。あ、隣の玩具屋と合体してるのか」


「マジかよたまんねぇな!!」


「あ、晴香の雄の部分が戻ってきた」


 プラモコーナーではしゃぎまくった結果、『どのキャラが最強か』という不毛な争いに30分近く使ったり。


 そんな、バカみたいな時間を過ごして。


 気づいたら、普段刻んでいた眉間の皺は、随分と薄くなっていた。


「はー……疲れた」


「なんだよー。お前、肉体面は疲れ知らずだろー?」


「精神的にだよ、精神的に」


 ふよふよと浮きながら、真琴君が唇を尖らせる。


「じゃあつまんなかったのかー。オレらと遊ぶの」


「……別に、そうは言ってないし」


 何となく恥ずかしくなって視線を逸らせば、ニヤリと笑う晴香君と目が合った。


「なるほど。ツンデレ、ですね。旦那様」


「ツンデレじゃねぇ」


「おいおい、男も女もツンデレは『ただし、美形に限る』だぜぇ京太ぁ!お前には無理だ!代われ!」


「上等だボケぇ!じゃあ見せてみろよ、お前のツンデレを!」


「ふん!アンタなんかの言葉で、どうして私が何かしなきゃいけないのよ!まあ……どーしてもって言うのなら、付き合ってあげてもいいわよ……?」


「ツンデレだぁ!?」


 豊かなお胸の下で腕を組み、テンプレなツンデレを披露する真琴君。


「つ、ツンデレじゃないわよ!私は別に、デレてなんかないんだからね!か、勘違いしないでよ!バカ!」


「テンプレ乙」


「なによ変態!オッパイマニア!どうて……いや童貞はオレらで捨ててたな」


「昨夜もお楽しみでしたね」


「外でそういう事言うのやめない……?」


 マジで恥ずかしいから。いたたまれないから。


 何となく周囲を見回して、特に自分達を見ている人がいない事に安堵する。


 これでも、『知る人ぞ知る』って立場になっているのだ。週刊誌とか、ごめんである。


「じゃ、そろそろ帰るかー。そんで早速プラモ組もうぜー」


「ええ。ですが食洗器を使うのだけは絶対に許しませんからね?」


「う、うっす」


「残当」


 眼を泳がせるマーメイドに笑い、帰路につこうとして。



『聞け、皇国の民たちよ!!』



 電気屋さんの店頭にあったテレビから、突然そんな声が聞こえて来た。


 疑問符を浮かべ、なんの映画だと視線を向ける。


「なんだこのハゲ」


「ハゲは関係ないだろ」


 そこには、豊かな髭とスキンヘッドが特徴的な男性が映っていた。なんとなく、旧ドイツ軍服っぽい服装をしている。


 隣には黒髪をオールバックにした、日米ハーフっぽい男性もいた。なんというか、獣の様な笑みを浮かべている。


『我々はネオ・シールズ。自衛隊とは袂を分かった、救国の勇士たちである』


「何言ってんだこのハゲ」


「だからハゲは関係ないだろ」


『この国は腐敗している。我々が血を流し、勝ち取った平和を!力を!蒙昧な政治家達が搾取している!皇国の民よ!諸君らも騙されているのだ!』


「やべぇ事言ってんな、このハゲ」


「だからハゲ言うのはやめろって」


『今こそ立ち上がれ!尊王攘夷の志を胸に!薄汚れたカスどもに天誅を下すのだ!』


「ドラマか映画かは知らないけど、よく放送できたな。このハゲ」


「マジでやめてやれよ。髪の事は」


 3人でぼんやりとテレビを眺めていると、スマホに着信があった。


「はい、もしもし?」


『矢川君!無事か!?』


「え、丸井陸将?」


 全体的に四角いが、喋ると丸いおじさんが、珍しく大声を出している。


 その事に一抹の不安を抱きながら、頷いた。


「え、ええ。突然どうしたんですか?」


『……テレビは、見ていないのか?』


「あー。今外でして。電気屋さんの前で、変なスキンヘッドの人が出る映画の宣伝を」


『事実だ』


「……は?」


 丸井陸将の言葉に、疑問符を浮かべる。


 じじつだ?……事実?は?


「え、あの」


『その放送はノンフィクション。……自衛隊から抜けた覚醒者達が、やらかした』


「 」


 呆然と、テレビの向こうで演説を続けるオッサンをみる。


 何やら、その隣にいるハーフっぽいオッサンは凄く良い笑顔を浮かべていた。


 ひくり、と。己の頬が引きつるのを自覚し。



「なにやってんだ、このハゲぇえええええええ!!」



 全力で、吠えた。





読んでいただきありがとうございます。

感想、評価、ブックマーク。励みになっております。どうか今後ともよろしくお願いいたします。


申し訳ございませんが、明日はリアルの都合により休ませていただきます。

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― 新着の感想 ―
おぉ アイラさんのステータスが表示されてる⁉︎ よかったねぇ クソ雑魚ナメクジを片足だけ抜け出れて… これを機にスパルタで下半身まで抜け出していこう
>京太が対人戦闘や政治闘争等に直接関わるのは、本編時空だとほとんどない 京ちゃん君が赤坂部長子飼いの蛮族4人娘にウホウホ(意味深)されるのは無いってことですね。 京ちゃん君には痛み以外でエリナさんへ…
おまけの世界線の京ちゃん君が大人になっていた❗ 本編の京ちゃん君は童のままなのにね、やっぱりあれかTSした友人じゃないと上手く出来ないのかな。 にゃ~ん♪  ∧∧ (・∀・) c( ∪∪ )
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