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4−4 ゾンビマスターのゾンビたち〜マリー・オスカーは愛する主を守る〜




「マリー」

「ゔぁー」


 マリーは大切な主の言葉に応え……手に持った針をぺろりと舐めると、それらを前方へと投げつける。


 空を切り裂くように飛んだ針は、まるで操られたかのように彼女の目の前にいる男たちの身体に吸い込まれていく。


「うぎゃあっ!!!」

「ぐぉおっっ!!」

「いてええっっ!!」


 針は目の前にいる兵士姿の男たちの経穴を穿ち、男たちは全く身体を動かすことができなくなり、そのまま地面へと倒れ伏せる。


 そんな男たちにとどめを刺すこともなく、マリーとその主は街中を悠然と歩いていく。


「ありがとう、マリー。いつも助かってるよ」

「ゔぁーゔぁー」

「うん、マリーの相手ができるような兵士なんて、そうはいないよね」


 マリーと彼女が付き従う男が通り過ぎると、やがて倒れたままだった男たちが意志を失った瞳で立ち上がり、周囲の徘徊を始める。


 そんなゾンビたちは元同僚であった兵士たちに襲い掛かり、新たな腐族の仲間たちを増やしていくのだ。


 ほとんどのゾンビは大した力を持たないわけだが、それでも街の普通の住人たちよりはずっと強い。


 最初こそ戦える強いものたちもいたが、そんなものたちはルーナが最初に優先してゾンビにしてしまっている。


 このミーレルの街がゾンビで埋め尽くされるのは時間の問題でしかなかった。


「さて、ここだね……ここの主である貴族は、僕がやるよ」

「ゔぁー……」

「大丈夫だよ、マリー。僕は、もう迷わないって決めたからさ。そうだっ、ここを納める貴族が女だったらさ、せっかくだから僕が直接第1級接触をして優秀なゾンビにしてあげようかな。これまでのことを考えたら、それが一番優秀な腐族を産み出す方法のようだしね」

「ゔぁーっ!」

「うんうん、マリーとも、これが終わったらいっぱいしようね。だから、今は……この世界を、僕たちの、僕たち腐族だけの安全な世界に、しようね」

「ゔぁーゔぁー」


 暗く笑いながら領主の館の扉を押し開く男。


 その瞬間……扉の向こう側から鎧に身を包む兵士が飛び出してくる。


「しねえっ!!」

「ゔぁっ!」


 そんな飛び出してきた兵士たちをマリーは蹴り飛ばしていき、唾液を塗った手刀で兵士のうっすらと露出した皮膚を切り裂いていく。


 しばらくの戦闘を続けているうちに、兵士たちは一人、また一人とうめき声をあげるゾンビに変わっていく。


 全員の瞳から意思が失われた後で、マリーの主はマリーに微笑みかける。


「ありがとう、マリー……それじゃ、このまま、行こうか。少しゾンビを増やしておけば、お城の中もすぐにゾンビだらけになるでしょ」

「ゔぁー」


 そんな敬愛する主の言うことに、マリーはただ従うのみ。


 ただ愛する主の安全だけが脅かされることがないよう、マリーは周囲に万全の注意を払い続けていくのだった。




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