叶夢学園 裏の事情
毎週土曜日に投稿できるようにしていきます。
大きな机に座っているのは…………
誰?
この学校のことはよく知らないけど、明らかに僕達と同い年くらい………もしくは中学生くらいにも見えるんですが………
「学園長! 今年の候補生をお連れいたしました。」
会長が報告してる。
学園長? この子が? 入学式で見た人とは別人なんですが………
とりあえず黙っとこう………
「お姉、……会長、流石に学園長を間違えるのはいくら天然でもダメだと思うよ。」
うんうん、僕達一同そんな感じ、流石にこの間違えはないと思う。
「ひかちゃん………そんな言い方は相手にとって、とっても失礼だよ。」
そうなんだろうけど……本物の学園長にも失礼だと思う。この場にはいないけど、
「私のことを天然と思ってたのはショックだよ。ぐすん。」
あっ、そっちのことですか、会長からしてみれば自分のことがショックだったのかもしれない、
つくづく会話が噛み合わない姉妹である。
会長が泣き出しちゃった。
「はっはっはっ!! 生徒会長は何も間違ってはないぞ!」
目の前の少年が笑い出した。
間違ってないと言われてもなぁ、僕達は全員が頭に?マークが浮かんでいることだろう。
先輩方は、
「今年はこのパターンか」
「学長もこういうのは好きだよね」
などと苦笑いしながら話している。
突然少年の姿が消えて入学式の時に見た学園長が現れた。
「えっ?」
僕は声をあげてしまった。人がいきなり消えるなんてあり得るのだろうか?
そして別の人が現れるとは、何かのマジックショーみたいだが…………
「驚いてるね新入生諸君、わしが学園長の夢原だ、名前ぐらいは知っておろう。
驚かせて悪かったのう。そうしないといけない理由もあったのでな。」
驚いたのは事実だがいきなり現れた方が疑問に残るどうやったのんだろう?
すると学園長のお腹あたりから急に他の顔が出てきた。
「やほー。新入生ちゃんたちこんちわー」
『………………』
僕達はさらにびっくり、いきなりお腹から女性が出てきたのだから。
「あっこれ映像だから、学園長は別のところにいるよ。あの人も忙しいからねぇー」
色々と理解が追いつかない、どういうこと?
「あっ、まふゆんおつかれー!」
会長は、普通に彼女に話しかけてる
誰か説明して下さい、この状況………
「会長、学園長、そろそろ説明しましょう? 新入生たちが困ってますよ。」
僕たちの後ろにいる先輩が話しかけてきた。
「そうだね、なら説明会、第二回戦始まりだね。」
会長は宣言した。
――――――――――――
ひとまず先輩方の名前と学年を教えられた
三年 生徒会長 白澤 つばめ
三年 副会長 黒羽 真冬
二年 役員 相田 真
二年 役員 利根川 郁人
このメンバーが裏生徒会らしい、
説明されたことによると、学校の生徒会では生徒会長以外は全員違うメンバーらしい。
この裏生徒会というのは陰から生徒を助ける組織らしく、助ける内容は、恋愛 学内トラブル 治安維持等が主な内容であり、一般生徒は全く知らないことだそうだ。この組織に僕達4人はスカウトされているということらしい。
断ることも可能らしいが、ここの記憶を消すと脅されてしまった。
科学の力ってすごいですね。そんなこともできるんだ。
でも何で僕達が選ばれたんだろうか?
「なぜ、私たちなのですか?」
もっともな意見、鳳城さんだ。
確かに何故だろうか?
「その疑問にはわしが答えよう。」
画面?から学園長が話し出した。
これリアルタイムの映像だったんだ。てっきり録画かと思った、今まで何も喋らなかったから、
学園長曰く、このメンバーは入試の時に選抜されたそうだ。入試の時に問題文をよく読んで解答できていたので合格になったとのこと。
どういうこと? テストなんだからよく読むのは当たり前だ、
「問題をよく読むのは当たり前だと思うのですが?」
村沢君がその通りですよ。
普通はそうすると思うのですが、
生徒会長が一枚の紙を取り出した。これは入試問題だ。
「論より証拠です。誰でもいいのでこのテストに触って見て下さい」
よく意味がわからないが触ってみようか、
あの時のテスト用紙だね。間違いなく、僕が触ると、あ!
「問題文の横に文字が浮かび上がってきた!」
確かにテストの時にこんな文章があったのを覚えてる。親切だなぁ。ぐらいにしか思わなかった
「この紙はね、ある特定の条件を満たすとこういう文字が浮かび上がるようになってるの、
その条件っていうのが…………なんて言えばいいのかな?魔法が使えるか否か?って言った方がいいかな?」
なんかファンタジーな答えが返ってきた。
あっ、鳳城さんとひかりさんが会長のことをジト目でで見てる。
村沢君なんかは
「おおー」
感動?してるし、僕はというと…………
何だろ、特に何も感じないや。
「正確には魔法じゃなくて、磁場の影響による人間の潜在能力ってやつじゃがな。」
学園長も話に入ってくる。
人間の潜在能力ですか………どっちかというと超能力みたいなものかな?
確かにTVなどで魔法使いと言われる人は出てきたことはない。少なくとも僕は見たことない、でも超能力というのは見たことある。
本物かどうかは知らないが、
「そして条件に合ったのが僕達だったってことですか?」
「うん、そうだよ。君たちにはぜひ裏生徒会に入って欲しい。」
入らないと言えば記憶を消されるわけだが、それはそれでやだな。入る分にはかまわなあのだが………
「いくつか質問があるのですがよろしいですか?」
鳳城さんだ。
何というかこの短いやり取りでよく質問できるな、中学時代は頭が良いって聞いてはいたけど、
「まず、1つ目は私達全員が能力?を使えるのですか?才能があるだけで使えないということも考えられますので。
2つ目は、能力が何故必要なのか?内容にもよりますが活動方針を聞く限り必要なさそうな感じがしました。
3つ目ですが、私達にメリットはあるのですか?
もし能力が使えることがメリットだとしたら私は参加したくありません」
3つもあるんだ…………
よく思いつくなぁ、僕は一つも思いつかなかったし、
流石に考えなさすぎたかなぁ。
「ふむ、いい質問じゃな、わしが答えよう。」
学園長が答えてくれるらしい。
「まず一つ目は、全員が使えるわけではない、ただし使える才能があるということじゃ。例えるなら免許証を持っていても車を持ってないということじゃな。
ただし高校生という時期が一番能力を開花させやすい時期というのがある。今まで裏生徒会に所属したものは遅くても二年生になるまでは開花しておったぞ。」
なるほど、使えるか使えないかはその人次第ということですね。裏を返せば所属しなければ能力は使えないということだろうか?
「2つ目は、活動内容には能力があるものないものがあり、能力が合わなかったり開花してなかったりすることもあるからな、それとどんな能力があるのかを把握したいということだ。記録にはないが、もし発火能力だとか、災害レベルの能力が開花する可能性もあるからの、今の所大規模な能力は確認されてないから監視の意味も込めて活動してもらってる。俗にいうモルモットというやつじゃな、」
モルモットって例えが悪すぎると思う、でも、
そんな能力があったら戦争など世界が変わりそうだね。ファンタジー路線は勘弁願いたい。そんなのは本の中で十分だ。
「3つ目は、アルバイト感覚で大丈夫じゃ、お給料も出るしな。経過観察も含めてあるから能力がなくても給金は出るぞ、それがメリットになるかの?
命の危険などはないし、失敗して罰金などもないから安心じゃ。もっと言えば先輩達も失敗は何度もしてるしの、
全て質問には答えたと思うが…………これでよかったかの?」
鳳城さんに問いかけてると思うけど、なんせ映像だしね
「分かりました。それならお受けします。」
鳳城さんは了承していた。
アルバイト感覚なら僕もいいかな、お給料も出るし、
それに多分だけど僕はすでに能力が開花してるっぽいし
「僕も参加します。」
「2人が参加してくれるのはありがたいかな、2人とも能力が開花してるみたいだし。」
そうなんだ。
会長が言うには僕と鳳城さんは能力をすでに使っているとのこと、僕はわかるが鳳城さんもなんだ、鳳城さん自身は自覚がなさそうに自分の掌を見ていたけど、
後は…………
ひかりさんと村沢君がだが………
「お姉ちゃんも能力が使えるの?」
と、ひかりさんが尋ねる、もう会長と言い直さなくなっているけど…………
「うん、私も使えるよ。いずれわかると思うけど、ひかちゃんも参加してくれると嬉しいな。」
「わかった、私も参加する。」
ひかりさんの参加も決まった、残るは村沢君だが、
「命の危険はないって言ってましたけどほんとですか? 能力って聞いて漫画とかにあるバトルを想像してしまったのですが。」
確かに、能力と聞くとバトルなどそっちも想像してします。漫画やアニメも能力=戦闘が一般だと僕は思ってる。
その問いには副会長が答えてくれた
「その部分は心配しなくていいよ、敵対組織があるわけでもないし、みんなの知らないところで能力者バトルが勃発してることもないし、能力と言っても予知や周りの雰囲気を変えるなどと直接効果がないものが多いしね、手から雷や火が出るとかはないよ」
そんなのがあったら、マジでファンタジー路線だよね、
「わかりました、参加します。」
一年生は全員参加が決まった。
「ふぅー…………大混乱にならなくてよかったよ。去年はマコちゃんといっくんが厨二病をこじらせながら質問攻めだったもんね。」
と、会長がポロリとこぼしていた。
副会長も便乗して
「大変だったなぁ。『悪の組織はどこにあるんですか?』とか『敵の戦力はどれくらいですか?』とか言ってたもんね。」
先輩、利根川先輩と相田先輩は顔を赤くしながらそっぽを向いている。
うん厨二病を全開ですね。
「大体説明は終わったかの、わしは忙しいのでこれで失礼、後は任せるぞ、会長さん」
学園長との通信が終了した。
副会長が大きな机の下から映像機器?らしきものを取り出して片付けていた。あれがリアルな映像を出していたのかぁ、よく扱いきるよなぁ、副会長、
「さてと、じゃあ必要なことをしていこうか。今から私の言うことを実行していってね。まずは…………」
この後僕達がしたことは、カードキーをドリデバにセットすること。セットすることで特定の教室からこの部屋に来ることができる、
この部屋は会議室みたいなものらしく
裏生徒会役員がよく利用するとのこと、カードをセットした時点でドリデバの内部に校内の詳しい地図や隠し通路などが全て記載されていた。
この学校どうなってんの?
隠し通路多すぎてよくわかんないだけど。
そして裏生徒会役員の全員のアカウントを共有しコネクトというアプリで全員が会話できるようにした。そうしないと緊急な連絡ができないとのこと。
コネクト自体は一般生徒が使用してるので問題はないが誰かに内容を見られることもあるらしく裏生徒会の情報は家のブラックメールで確認して下さいとのこと。
ブラックメールは家にある大型の端末にパスワードを入力してくださいと表示されていたらしい。
確かに僕はそれを見た気がする。ちなみにパスワードはなく、その画面でドリデバ(カードキー挿入済み)をかざせば開くらしい。
最後に、
「ここにいる人達は明後日の実力テストを免除されます。その代わりここに集まりお仕事をしてもらいます」
とのこと、テストは出なくて大丈夫らしい、
やったね!
ただし周りには同じテストを受けていることにするみたいだ。
この学校では中間 期末 実力テストの時はクラスや席を入れ替えてするため何人か抜けてもバレないらしく、毎年の恒例行事だ、とのこと、ちなみに各教員も知っているらしく、知らないのは一般生徒のみらしい、稀に知っている生徒もいるらしいが協力者としてお仕事をする時もあるらしい。
ようやく説明が終わった、時刻を見ると20時をすぎていた。
「もうこんな時間、早く帰らないと夜ご飯に遅れる」
僕は寮の門限が迫っていることを思い出した。
急ぎ帰宅しようとすると呼び止められた。ひかりさんからだ。
「これからみんなで食事しない?というかお姉ちゃんからお金もらってみんなでご飯でも食べたら?って言いわれた。参加する?」
僕 鳳城さん 村沢君
「大丈夫だよ」
「いいよ」
僕と村沢君は即OK
鳳城さんは
「お断りします。」
拒否られた。
空気が凍った。
そう言えば中学時代の彼女には『氷の女王』って言うあだ名があったなぁ、
「そ、そうだよね、自分の用事もあるよね、じゃあまたね、鳳城さん」
ひかりさんはひきつった笑みで見送った。
このメンバーでうまくいくのだろうか?
3人になってしまったがとりあえずテキトーなファミレスに入ることにしたのだった。
そう言えば先輩達の服装について誰も突っ込まなかったけど。今度でいっか。
---海上都市叶夢の豆知識---
叶夢ではDream device(通称ドリデバ)がないと生活が不便になると言われている。そのため住民全員が携帯している、ただし叶夢以外だと使用できなくなるので叶夢を出る時は置いていったり返却したりするらしい。