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異世界『アンチ』チート  作者: hkn
第1章 弱くてニューゲーム
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プロローグ

諸君らは生き物の魂というものを信じるだろうか。


魂といえばなんとなく、人魂とかそういうのを想像して「空中で燃えている謎のソレ」が思い浮かんでくる。

きっと炎の形をしているのは栄枯盛衰的なものを表現してて、勢いよく燃えていてもいつかは燃え尽きて消えるという運命的な消失を遂げるあたりがいかにも人間の一生のようでそれらしいと思わされてしまうのは、人間が遥か遥か昔の時代から生活のすぐそばにあった炎というものが、スピリチュアルな部分で訴えかけてくるからなのかもしれない、と、ぼんやり考えた事があった。


別に魂が火の玉の形をしているかとか、そういうのは非常にどうでもよく、俺の話したかった本題にはまったくもって関係がないことなのだ、本題に入る前のちょっとした世間話のようなもので、これから話すことがどちらかというと大切なのだ。


そう、俺の問いは「生き物の魂というものを信じるだろうか」だ。


結論から言うと、俺は魂だの輪廻転生だの前世来世だのというものを全くと言って信じていなかった、これは口に出すところを選ばなければ、たとえば敬虔なキリスト教やらヒンドゥー教やら仏教やらの信者たちの前で拡声器を持って盛大なる声で「私は魂だの輪廻転生だの前世来世だのというものを全く信じてません」と響かせれば、帰ってくるのはタイムラグの後に同じ音がやってくるやまびこでも熱狂したフロアでテンションが上がった客の黄色い絶叫でもなくて、間違いなく非難の声だろう、なんて罰当たりなやつだと指をさされることだろう、時代が違ければ俺は殺されてるかもしれない。

だが俺が生きていたのは宗教感の薄い日本であり、元号は令和に代わったばかりの時分であるからして、たとえ口を滑らせても「ふーん」ぐらいの感想しか返ってこない環境なので問題はなかった。


そもそも科学の発展した現代においてむしろ魂だの神だのを本気で信じている人のほうが珍しく、そして俺に至ってはドが付くほどの理屈主義だったために、魂だの輪廻転生だの前世来世だのというものを信じる根拠が存在しないので、もっと生物学的な「脳波」や「電気信号」こそが真実で魂やらなんやらというものは論外中の論外であった。


つまり端的に言うと、俺は魂というものを信じていなかった( ・・・・・・・・)のである。


過去形だ。


俺はそんな非科学的なものを信じていなかったのに、いまはそうではないということだ。

なぜ「いまはそうではない」のか、それはつまり、いまは信じているからだ、正しくは信じざるを得なくなったためである。


話は少し変わってしまうのだが、俺は小説や本やゲームやというサブカルチャーが好きだった、深い理由はなかったのだが、好きなものは好きなのだからしょうがない。

俺は非科学的なものは信じていなかったが、ゲームの中で出てくる魔法やら生物やらに目くじらを立てて「こんなのありえない」と否定するようなヤバい奴ではなかった、むしろ想像がふくらんで面白いと感じていた。

だからいろんな小説を読んだし、手広くゲームを遊んだし、暇な時間には漫画やアニメを見て過ごした。

友人たちとゲームをするのも好きだったし、バイトの暇な時間を無駄使いしないようにスマホで小説を読んだりしたし、新刊の発売日の次の日に集まってアニメや漫画の話をするのはとても楽しい時間だった。


そんな日常を過ごしていたある日の事だった、俺は休日に家でゲームに入り浸っていたのだが、昼頃に腹が減って仕方がなくなったのだ、何でもいいからメシを……と思ったのだが、冷蔵庫は薄い財布の中身を表すかのようにすっからかんで冷たい空気だけがあふれてきた。

腹が減ってはなんにもならんということで、近所のコンビニで適当な弁当でも買って食うべしと部屋着のズボンだけ着替え、だらしないパーカーを隠すために上だけジャージを着て外に出た、15時ごろには友人とゲーム内で待ち合わせの予定があったので、待たせてはならぬとやや駆け足ぎみでサンダルを鳴らしていた。


ここで悲劇は起きた、俺はスマホの電子マネー決済を利用するのだが、とにかくレジで待つのがキライだったので店に入る前にはスマホを開いて電子マネーのアプリを付けて入店するのがいつもの流れだったのだ。

コンビニの前の交差点は赤で、俺はスマホの画面を見ながらだったが信号機が見えていたので止まるつもりだった、のだが……。


俺はサンダルの先端を地面につっかえさせてしまい、そのまま前に転倒した。

ヤベッ……と頭の中でつぶやいたときに、愚かなことだがスマホが割れるのは勘弁だと思ってしまったのだ、転びながら受け身も取らずにスマホをあわあわとお手玉しているうちに車道に胴体着地し、俺は見事に車に撥ねられた。


激痛の前に衝撃があった、信じられないほど大きな ドン! という衝撃が全身に一瞬で響き渡り、世界がスローモーションになったかと思うような感覚の後に「あ、これは死んだな」という確信の思考だけが脳内を埋め尽くし、すべてが真っ暗になった、そのまま世界が終わったのだ。


おお、なんということだ、俺はカスだった。


歩きスマホをして転倒し、スマホをなぜか優先して撥ねられて死んだのだ、擁護のしようがない、人間の一生とはこんなにもあっさりとバカバカしく終わるものなのかと過去一で驚愕した。

運転手には申し訳ない事をしてしまったとか、友人を待たせたままだなとか、バイトのシフトがとか、順々に思考が巡っていった。

死んでしまったので肉体はないが、心で俺はため息をついた。


と、ふとその時気づいたのだ、なぜ俺は今考えることが出来ているのかと思った。


もしかして死んでないのか?気絶か?いや、あれだけの衝撃だぞ、下手をすると一生寝たきりの……。


と思考を巡らせていると、さっきまでの暗闇が急に変化した。

暗闇には変わりないのだが、まるで、そう、電源のついてないモニターの黒と電源のついているモニターの黒の違いのように、おなじ暗闇なのだが違いが生まれたのだ。

暗闇なのに何かがあるように感じた、俺は死んでいないのかもしれないと思った。


おお!俺は事故にあって気絶なりをしてしまったが、目覚めることができたのか!


喜びの感情を感じつつも情けない自分を周囲にどう謝罪すればいいか考えながら、その暗闇が瞼の裏側だということに気づいて目を開いた――。


はじめまして、hknです。

中学生のころ書いてた携帯小説ぶりに物を書こうと思い立ちました。


アニメや漫画やゲームが好きな、非科学的なものを信じない主人公くんが「ファンタジー」の非化学モリモリ世界にぶち込まるストーリーです。


みなさんに楽しんでもらえるものが書けるようにがんばります、どうか応援よろしくお願いします。


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