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第四話 初恋の皇太子様


 それから一か月後、マリーは宮殿の大広間の前にいた。

 今日は皇室のパーティということで招かれていたのだ。

 隣には男性の盛装をしたエマが彼女をエスコートしている。

 いつまでも病気療養という名目で邸に閉じこもっていたら怪しまれてしまう──ということで、カルロ皇子との初めての顔あわせの場として参加することになったのだ。


「……私、ちゃんとできるでしょうか?」


 マリーは落ち着きなくドレスをあちこち触りながら言う。

 この一か月もの間、マリアがどういう人間か勉強し、彼女のふるまいを練習してきたが、やはり不安だった。


「……大丈夫だ、マリア。きみなら、できるさ。異性は私がガードするから安心して」


 エマの力強い声に、マリーは表情を緩ませる。


「ありがとうございます……お姉様」


 男性不振をこじらせすぎていて異性と話すのも怖いマリーには、エマの心遣いが非常にありがたかった。

 エマの差し伸べた手を取り、マリーは大広間への扉をくぐった。

 シャンデリアの灯りが全身を照らした。贅を凝らした調度品の数々に目を奪われる。集った人々の衣装も華やかだ。


(わぁ……)


 まだパーティが開始前ということで、集まった人々はほとんどが談笑している。


「あら、ご覧になって。シュトレイン伯爵家のご令嬢だわ」


 そう小さく声が聞こえてきて、マリーは身を固くした。


「エマ様~! こんにちは、お会いしたかったです。ぜひ、今日こそは私とダンスを踊ってくださいませ!」


 そう近づいてきた令嬢達にエマは朗らかな笑みを向ける。


「やあ、こんにちは。すまないが、今日は妹のエスコートをしているんだ。あまり構ってやれないかもしれないが勘弁してくれ」


 そうウィンクするエマに、集まったご令嬢達が黄色い悲鳴をあげた。「キャア」とか「素敵……」と漏れ聞こえてきて、マリーは驚いてしまう。


(お姉様のファンって多いのね……!)


 マリーも皇太子の婚約者ということで目立っていたが、エマは会場で唯一の男装の麗人だからか、一番人目を引いている。慣習を気にしないエマの堂々とした態度に、ご令嬢達からは熱のこもった視線が向けられており、男性陣は苦々しげな眼差しを浮かべている。どの視線にも、エマが意に介した様子はない。


「こんにちは、マリア・シュトレイン伯爵令嬢」


 そう挨拶してマリーの手を取ろうとした男性がいたが、手が触れる前にエマに遮られる。


「すまないが、妹はまだ体調が万全ではないのだ。代わりに私が挨拶を受け取ろう」


「おお、それはそれは……体調を崩されているという噂は本当だったのですね。マリア様は皇太子妃となられる身なのですから、大事になされねば」


 男性はニタニタと嫌な笑いを浮かべて、マリーに言う。


「さぞ、カルロ殿下はご心配なされたでしょう? お見舞いの花束や贈り物もいただいたのではありませんか? 社交シーズンだというのに婚約者がお顔を見せていないのですからね」


「それは……」


 エマは顔をしかめている。

 マリーは当惑した。この一か月、邸に滞在していたがマリア宛のお見舞いのプレゼントなんてなかったからだ。


(カルロ様はお忙しくてご存じないのかもしれないし……)


 そう一瞬考えたが……もしカルロがマリアの噂を知っていてわざとお見舞いしなかったのなら、予想以上に二人の仲は冷え切っているのだろう。そして男性はそのことを分かっていて言っているに違いない。マリーはひそかに唇を噛む。


「あら、マリア様ではなくて?」


 そう突然会話に割り込んできたのは、気の強そうな顔立ちの黄色いドレスをまとった少女だった。

 後ろで結んだ焦げ茶色の髪が大きく外向きにカールしているせいか、リスのような印象を受ける。


「エセル・グッドフェロー子爵令嬢だ」


 そうエマがこっそりと耳打ちして教えてくれた。


(あらかじめ教えてもらった交友関係のリストの中では、エセルさんとは犬猿の仲と書かれていたはず……)


 エセルが扇を広げながら言う。


「マリア様、パーティはお久しぶりですね。お風邪を召されたと伺いましたが……もう、よろしいですの?」


「ええ。おかげさまで全快いたしましたわ。ご心配をおかけして、すみません」


 マリーは慌ててそう言った。

 エセルは意地悪そうに口の端を上げる。


「一か月も、どのパーティでもお姿をお見かけしなかったから、てっきり領地に戻られたのかと思いましたのよ。そちらの方が自然も豊かですし、体にも良さそうですわよねぇ。しばらくそちらで療養した方がよろしかったのではなくて?」


 言い方にチクチクと棘を感じた。これはつまり『田舎者は引っ込んでろ』と言いたいのだろう。

 マリーは背筋にヒヤリとしたものを感じた。隣にいるエマの目が怖くて見られない。おそらく相当怒っている。

 エマの変化に気付いていないのか、エセルの話はヒートアップしていく。


「こうしたパーティですのに、マリア様のエスコートは、またお姉様ですのね? 婚約者のカルロ殿下は一緒にいてくださらないのですね。まぁ、お忙しい方ですから仕方がないことですわ。お気を落とさないでくださいませ」


 マリーは、そこでピンときた。

 エセルがいちいち癇に障る言い方をしているのは、おそらく彼女がカルロ皇子に気があるからなのだろう。

 マリーは深呼吸してから、にっこりと笑みを深めた。


「気にしておりませんわ。ご心配いただき、ありがとうございます。私にはお姉様がいてくだされば充分です」


「あらぁ? そうかしら? 姉離れはすべきですわよ。いつまでも姉妹一緒にいられる訳ではありませんし、カルロ殿下もお気になされるかもしれません。これ以上、カルロ殿下に嫌われて、婚約が破談にされてしまっては困るでしょうに」


「……婚約を続けるか解消するかは、私の意志ではございませんわ。皇家の──カルロ様のお考えによるものです」


 言外にカルロ皇子が婚約破棄しないから、まだ婚約者なんです、と伝える。

 エセルは顔をカッと怒りで赤くして、「そうですか。それでは、私は失礼いたしますわ!」と、その場を去って行った。いつの間にか男性も姿を消している。

 マリーは深くため息を吐いて、肩の力を抜いた。隣にいたエマが「大丈夫か?」と気遣ってくる。


「……大丈夫です。これが貴族の社交界なんですね」


 まだパーティは始まったばかりだというのに、ものすごい疲労感だった。丁寧な言葉に毒をコーティングして、水面下での殴り合い。恐ろしい世界だ。


「……すまない。マリアは嫌われ者なんだ。皇太子をないがしろにしているからな」


 そう申し訳なさそうにエマに言われて、マリーは納得する。

 おそらく海賊王に嫁入りしたいというマリアの願望も、そのためにカルロ皇子に無礼な言動をしていることも、社交界に知れ渡っているのだろう。


(それなら、先ほどのご令嬢の態度も理解できるわ……)


 誰だって自国の皇子を尊重しない相手をよく思わないだろう。

 しかも、エセルがカルロ皇子に恋心を抱いているとしたら、なおさらだ。そんなマリアが皇子の婚約者だなんて許せないはず。

 マリーは先ほどまでエセルと男性に抱いていた怒りが、すっと波のように引いていくのを感じた。


「おそらく、カルロ皇子と一度はダンスを踊ることになるだろう。今日のところは婚約破棄のことは忘れてくれて良い。無理に殿下と会話はしなくて良いから、ダンスだけは我慢して踊ってくれ。もし体調が悪くなれば早めに帰ろう」


 エマに気遣うように言われて、マリーはうなずく。

 ダンスは前から言われていたことなので覚悟していた。さすがに、いくらマリーが男嫌いであっても婚約者のダンスの申し込みを拒否する訳にはいかない。

 不安感が押し寄せてきて、マリーは手を胸元に這わせた。大事にしている黄色のブローチに指が触れる。


(大丈夫よ。……見た目はそっくりなんだから、誰にも見破られるはずがないわ)


 集った人々がまとう衣装は美しかったが、この大広間もコルセットもマリーには息苦しい。早く帰りたくて仕方ない。けれどカルロ皇子に会わなければ、ここまで来た意味がないのだ。


(大丈夫、私ならできるわ……)


 そう自信が持てない時にいつもしていたみたいに言い聞かせながら、いつものように初恋の少年──カルロからプレゼントされたブローチに触れていると、気持ちが落ち着いてくるのを感じた。

 ふいに大広間に盛大なファンファーレが鳴り響く。壇上近くの扉から、華やかな音楽と共に皇帝夫妻、次いでカルロ皇子が入場した。

 マリーはカルロ皇子の姿を目にした途端、硬直してしまう。


(ど、どうして……? なぜ、彼がここにいるの……?)


 幼い頃に会ったきりだというのに、マリーには彼が誰なのか分かってしまった。それほど、記憶に深く刻みついていたのだ。

 カルロ・マクレーン・イルス・グラウローゲン。

 マリアの婚約者であるこの国の皇太子は、マリーの初恋の少年カルロと同一人物だったのだ。





「マリア!」


 隣で小さな声でエマに叱責され、マリーはびくりと身を揺らした。

 周囲の人々が深いお辞儀をしていることに気付き、慌ててそれに倣う。

 ドレスのスカートをつまみ上げて顔を伏せていると、カルロの顔を確認することができない。

 皇帝が「顔を上げてくれ」と一同に向かって言うと、ようやくその場にいた人々が一斉に元の態勢に戻る。

 

(もしかして、別人……? いえ、まさか……。彼を見間違えるはずがないわ)


 さらさらした金色の髪に通った鼻筋、優しげな風貌──完璧な造作。あの頃と変わらない神秘的な紫色の切れ長の瞳。薄い唇には感情の読めない柔らかな笑みを浮かべている。やはり何度見ても間違いない。カルロだ。

 マリーが血の気の失せた顔でブローチを押さえていると、エマが心配そうな表情で「大丈夫か?」と声をかけてきた。マリーは気丈に口元に笑みを浮かべると、そっとブローチを外してポケットにしまう。


(これを見られてしまったら、私がマリーだと知られてしまうかもしれない……)


 カルロはおぼえていないかもしれないが、このブローチはマリーが幼い頃に彼からプレゼントされたものだ。今はマリアの振りをしているのだからマリーだと知られてしまう訳にはいかない。伯爵家の人々の命がかかっているのだ。

 皇帝と皇后が来訪者に感謝の意を述べ、皇帝夫妻が大広間の中央に向かうと、楽団が華やかなダンス曲を奏で始める。

 それに合わせて、エマがマリーに向かって手を差し伸べてきた。


「私ではパートナーには不足かもしれないが」


 マリーは首を振って「喜んで」と微笑み、エマの手を取る。

 おかげで、何とか練習の時と同じように緊張せず踊ることができた。ファーストダンスが男性だったら、ガチガチに緊張してしまっていたに違いない。


(お姉様に気を遣わせてしまって申し訳ないわ……)


 マリーも昔みたいに男性への偏見をなくしたいと思っているが、どうすれば良いのか分からなかった。

 荒療治で男性と触れ合うことで慣れさせようとして、この一か月練習もしてみた。ロジャーや伯爵、使用人達にも協力してもらいダンスを行ってきたおかげで、それなりには踊れるようになったものの、やはり男性と接していると気が遠くなってしまうのは変わらない。

 ふと、エマと踊っている最中に視線を感じてホールの中央の方を見る。

 そこには、先ほどマリーに突っかかってきたエセルが挑発的な眼差しをこちらへ向けてきていた。彼女はなんと、カルロとファーストダンスを踊っていたのだ。美男美女が華麗に舞う姿に目が釘付けになる。


(まるで、彼女の目が言っているみたいだわ……『あなたって、婚約者なのにカルロ皇子にファーストダンスにも誘われないのね』って……)


 舞踏会で最初に踊るダンスの相手は、身内かパートナーというのが暗黙の了解だ。だからエマがマリーと踊ったのは、おかしなことではない。性別はともかくとして。

 けれどカルロがまったく関係のない令嬢と踊ったことはマリーの胸をざわめかせるものだった。しかも二人は和やかに会話をして楽しんでいる。


(マリア様はそうとう嫌われているんだわ……)


 そう思い知った時──曲が終わりを迎えた。エマと対面でお辞儀をして、辺りを見回すとカルロがマリーに近付いてきていた。

 マリーは心臓が飛び出るのではないかと思うほど緊張した。再会するのは八年ぶりなのだ。


「……ダンスを」


 そっけなく、それだけ言われて、カルロが手を差し伸べてくる。

 先ほどエセルと友好的に踊っていた時とは別人のように、つまらなさそうな顔をしていた。

 マリーは内心おどおどしながらも、彼と指の先だけ重ねる。

 カルロは一瞬不快そうな表情をしたあと、マリーの手をぎゅっとつかんで引き寄せてきた。もう一方の手がマリーの腰に這わされる。


「……っ!」


 強引なやり方だ。しかもダンスだというのに、マリーの方をろくに見ていない。あまりにも冷たい対応に胸が痛くなってくる。


「マリア……ッ」


 エマが心配そうに手を伸ばそうとしてきたが、マリーは首を振った。何とか、ダンスをこなしてみせたくて、異性への恐怖心を必死に抑え込む。

 カルロ皇子の噂は聞いている。誰に対しても物腰が柔らかく紳士なのに、婚約者のマリアにだけは冷たい人なのだと。


(……でも、幼い頃の彼は優しかったのに、どうして……? そんなことをするような人には見えないのに。彼は変わってしまったの……?)


 あの頃のカルロは、誰に対しても分け隔てなく接する気さくな少年だったのに。

 マリーは困惑しながら、カルロを見つめる。

 その時、紫水晶の瞳と目があって、マリーはドキリとした。ついステップを間違えてしまい、右足から態勢が崩れそうになる。


(転ぶ……っ!?)


 思わず目を閉じた刹那──腰にまわったカルロの手に力が入った。ふわりとジャンプするように床に着地する。さりげなく助けてくれたのだ。


「あ……っ、ありが……」


(あ……マリア様は、カルロ様にお礼なんて言わないんだった……)


 教えられたことを思い出して、慌ててマリーは口をつぐむ。助けてもらったのに感謝の言葉も伝えられないことに、やきもきしてしまう。無礼な態度をした方が婚約破棄される可能性が高まるとしても、落ち着かない。


「きみらしくないですね。ダンスで転びそうになるなんて」


 カルロはそう感情のこもらない声で言った。

 血の気が引いていくのを感じる。恐怖心から口が動かなくなってしまう。


(怪しまれてしまったのかしら……?)


「……今日は、やけに静かなんですね。いつもそうであってくれたら良いんですけど」


 そう踊りながら、カルロが声をかけてくる。耳をくすぐる心地いい声音だ。


「い、いつもと同じですよ……?」


「そうですか? いつもならレンディス、レンディスと、やかましいくらいでしょう。……病み上がりで、体調がまだ万全ではないのですか?」


 淡々とした物言いに、マリーは心臓がつかまれたような恐怖をおぼえた。カルロの表情は怪訝そうだ。


(そうか……マリアの振りをするなら、海賊王の話をしつこくしなきゃいけなかったんだわ……!)


 しかし、マリーはレンディスのことをほとんど知らない。それに異性が苦手なのに、好きな振りをするのは心理的抵抗もあった。


(──大丈夫。今日はお姉様に会話しなくても良いって言われているもの。体調が悪いと思わせておけば良いんだわ)


「……そ、そうかもしれませんわね。きっと体調がまだ悪いんです」


 彼を騙している気まずさもあって、マリーはカルロから視線をそらしながら答えた。

 カルロは少しだけ不審そうに眉根をよせる。


「ふぅん。きみが静かだと気持ち悪いです。さっさと元気になってください」


 罵倒なのか気遣いなのか判断できないことをカルロが言った時に、ダンス曲が終わった。

 マリーはお辞儀をして、ようやく安堵の息を吐く。


(終わった……)


 壁際で見学していたエマの元へ足早に向かった。

 カルロが首を傾げながらマリーの背中を見つめていたことにも気付かずに。






 馬車の中は、まるで葬式のように重々しい空気に包まれていた。

 エマは難しい表情をして腕を組んでいるし、マリーは委縮して身を縮めていた。

 ただ一人ロジャーだけが、いつもと変わらない涼しげな顔をしている。彼は従者控え室で待機していたため、パーティがどんな様子だったのか知らないというのもあったが……。


「すっ、すみません。私、あまりうまくできなくて……」


 マリーが泣きたくなりつつ言うと、エマは首を振って笑みを浮かべた。


「いや、マリーは思っていた以上に、よくやってくれたよ。ダンスだって、ちゃんと踊れていた。特に問題はない」


「えっと……じゃあ、私、何か他に問題でも……?」


 エマは少し考えるようなそぶりをしていたものの、ゆったりと首を振る。


「いや、おそらく私の勘違いだろう。少しカルロ皇子の視線が気になったのだが……」


 マリーはしばらく押し黙っていたが、勇気を出して言ってみる。


「あの……無理にマリア様の振りをしなくても、ずっと病気で臥せっているということにはできないんですか? それなら、病弱なマリア様では皇太子と結婚できないとごねることもできるんじゃないかと思うのですが……」


 エマは困ったような笑みで首を振った。


「マリアは昔から剣を振り回して海賊の子供と駆け回るくらいの野生児だから、それは説得力がない。それにマリアはすでに一度、不治の病の振りをしてカルロ殿下に婚約破棄させようとしたことがあるんだ……すぐに嘘だと見破られてしまっていたがな……」


「……そうなんですか」


 それだと仮病も疑われるだけで終わりそうだ。


「それに、もうすぐ休暇も終わる。そうすれば、マリーも寄宿学校に通わなければならなくなるから、嫌でもカルロ皇子とは顔をあわせることになってしまうからな。このパーティは練習みたいなものだ」


「……そう、ですね」


 マリーはエマも学んでいる全寮制の王立学校に行くことになっている。そうなれば、もっとカルロと接する機会は増えるだろう。

 ポケットに入れたままにしているブローチをそっと握りしめ、不安な気持ちでカルロの姿を思い返す。

 大人になった彼は、とても格好良かった。

 マリアに対してだけ冷たくなっていたけれど、それでもまたカルロと学校で再会できることに抑えきれない喜びが湧き上がる。


(学校か……)


 幼い頃から目まぐるしく働き続けてきたマリーにとって、貴族の子供達が学ぶ寄宿学校にほのかな憧れがあった。

 しかも幼い頃から想いを寄せている相手と毎日会えるのだ。その日々を想像すると、いけないことだと知りつつ、どうしても気持ちが浮かれてしまう。


(私は『マリア様』になりきって、彼と婚約解消しなければいけないのに……)


 つい喜んでしまったことに罪悪感をおぼえながら、『マリア』の振りをしっかりしなければと気持ちを改めるのだった。



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2024年12月19日、書籍1巻が発売します! 是非読んでくださると嬉しいです!

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