第1章
試作で書いてみました。
少しずつマイペースに書いていこうと思います。
ある日の昼下がり、1人でファミレスに入ってコーヒーを飲んでいた。頼んだチョコレートパフェが中々来ないので、2杯3杯とコーヒーをおかわりしていた。
「大変お待たせいたしました!チョコレートパフェです!」小走りでバイトらしき店員がパフェを運んできた。
「すみません、お客様!遅くなりまして!」あまりにも申し訳なさそうな態度の店員に、こちらが申し訳なくなりながら、私はパフェを受け取った。
口の中に甘さをぶちまけ、コーヒーの苦味でそれを打ち消す。
それは私にとっては、仕事をする時の作業に過ぎなかった。
十四時を過ぎる頃、一人の女性がファミレスに入ってきた。歳は二十代後半で、小柄な可愛らし印象であった。
店内を見渡して、誰かを探しているようであった。
私は基本仕事をする時は名刺を用意する。相手と待ち合わせの時は、前もって机の上に出しておくようにしていた。そんか風に、いかにも誰かを待っている私に彼女は気付き、近寄ってきた。机の上の名刺を見て、
「あの…、十条さんですか?ご依頼させて頂いた、宮川です」と挨拶してきたので、
「はい、わたくし『夜探偵』の十条一です。よろしくお願い致します」と、私も返した。
宮川は私の正面に座り、少し落ち着かない様子であたりお見渡し、私と目があっては逸らした。
「今日はどう言ったご依頼で?是非まずはお話をお聞きしたい」
私が聞くと、彼女は次のように語った。
「私は都内でOLをしていて、一人暮らしをしています。エントランス付きのセキュリティーもしっかりしたアパートに住んでいるのですが、どうも隣の住人さんが変なんです。」
「隣の住人さんですか?どのように?」
「それが、夜中の11時くらいに壁をドンドン叩いて、怒鳴るのです。『うるさいぞ!何時だと思ってるんだ!』と。私は2ヶ月前にも同じようにお隣さんに注意された事がありました。その時は彼氏がいて、よく家に泊まりに来ていました。だから、話が盛り上がって笑ったりした時に声が響いてしまうことも多くて、注意されたことに関しても納得でした。それからは彼氏を家に呼ばないで、テレビの音とかも小さく設定して、生活音を出来る限り小さくしていました。そんな中で、最近また注意されるようになったので、私に心当たりが無いのです。私怖くて。」
「それは不思議ですね。お隣さんのお部屋はもう一つあなたの部屋以外に隣の部屋はありますか?」
「いえ、お隣さんの部屋は角部屋なので、私が唯一の隣人ですね。でも、本当に大人は気をつけてて…」
「なるほど…。それは不思議ですね。お隣さんには聞こえる何かの音、あなたは音を立てていない。お隣さんと話し合いはしないのですか?」
「いえ…それが、相手がブチギレてるうちは、鉢合わせるのも怖くて。最近は注意を受ける回数も増えてきていて、音に気を遣いなが、お隣さんに壁越しに怒られ、気が滅入ってしまいました。どうしたらいいでしょうか…」宮川は少し目を潤ませながら少しの間、私と目を合わせた。
「わかりました。宮川さん、あなたの生活を救うべく私が手助けさせて頂きましょう。」と、彼女にポケットティッシュを渡すと、冷めてしまったコーヒーを口に含んだ。
「と、ところで『夜探偵』ってなんなんですか?私切羽詰まってて、あまり考えないでご依頼してしまったのですが、もしかしてヤクザとかじゃ…ないですよね?」恐る恐る聞く宮川に、私は得意ではない笑みを無理やり作り言った。
「ヤクザなんてとんでもない。怪しい者じゃありませんよ。怪しい物を相手にする者です」
第1章読んで頂き、ありがとうございました。