夏季蜂
取るに足り無い力の先に
大きな入道雲があるとして
小難しい顔をしながら
それに向かって
見窄らしい足で歩くなど
なんと
失礼なことであるだろうか
無知のソールを擦り減らし
裸足になれば
地べたの暑さも分かるだろう
細い希望は芯にはならぬ
折れては取り替える筆圧と
シャープペンが噛み合っていない
蚯蚓が踊り遊ぶ中で
雨が降るのであれば
白紙の外側へ
逃げ踊り死ぬのであろう
散りに散る
それは散らかると云う
綺麗なのは
地べたまでの空間を
舞っている時だけである
朝の吐き気を食いつぶし
暗示と経と念をブツブツ
合わせて飛んでブツブツぶつ切り
その横を通り抜け
むくり振り返っては
お化け屋敷から出たような
冷たさが背筋に流る
目を見てはいけない生物は
後天的であれば作り易い
銅像の方へ消え行く
それは
咽喉の奥深くに
黒い骨でも刺さっているのだ
そう思わねば
読めない文字がある
そう思わねば
理解できない心情がある
ペットボトルと会う機会が増え
肥り太った夏が来る気配
苦しいのは
暑いからだけでは無く
寒いからもあるのだから
夏風邪の虚しさが
気軽な擦り傷になる
身体の線と温度の線が
混じり合って裸となり
焼きとうもろこしの醤油と
焦げの匂いに
たこ焼きがついてくる
団扇か、扇子かで
悩むセンスの無さは
蚊の対策で取り返そうとするが
虫除けスプレーにも
アレルギーがあるのだと知る
打ち上げ花火の光と
パチパチする肌
静かに繋いだ手と
忙しい外側の手