65■ ヒロインがいないと残りの攻略対象ってギスギスだよね?
仕事で遅くなり申し訳ありません。
再開します。
殿下がハーレムパーティーの方向性を固めた頃。
残るクライストス、ミコラ、ヘリオスは必死に戦闘していた。
「ミコラのクソアホ!なんでスライム沼に魔法を突っ込んだ?!」
クライストスは防御魔法を展開しながら叫ぶ。
「水が飲みてえって、ヘリオスが言ったからだ!」
ミコラも負けじと大声を放ち、魔法を練る。
スライムに火は相性が悪すぎる。
雷を呼び出しながら、彼はヘリオスを呼んだ。
「ヘリオース!全力で逃げろ!」
ヘリオスは返事を返す余裕がなかった。
事実、ミコラの魔法がきっかけで飛び出してきたスライム。
それを受け持っているのはほぼ彼だった。
その格好が、スライムまみれ溶解液のせいでほぼ半裸でなければ勇ましいと言えただろう。
ヘリオスが返事を返さなかったが、大量の雷をミコラはスライムにぶち込む。
なんとか直前でスライムの触腕をぶった斬って脱出したヘリオスは息を切らせ咳き込んだ。
「…死ぬかと、思った」
ヘリオスのなんとも言えない姿に、ミコラとクライストスは微妙な気分になる。
ひとまず回復魔法をぶち当てたクライストスは、ミコラを見た。
「おい、主席。魔力は?」
「…半分切ったな。生臭ボウズ、お前は?」
「残りが6割」
回復したヘリオスが立ちあがる。
「裸族、お前は?」
ミコラがはっきり言うと、ヘリオスは眉間に青筋を浮かべたが、正直に答えた。
「殿下の梅雨払いしていたからな、4割だ」
嫌な空気が漂う。
「ちょっと詰みそうな気配がしてきたな」
クライストスが言うと、ヘリオスが言う。
「神に祈ったらどうだ、次期枢機卿」
「至高の方の元にてめえを今すぐ送ってやりたいが、今葬式やると俺らが困るんだ破廉恥」
奥歯が砕けるかもしれぬほど、ヘリオスは歯を噛みしめた。
しかし反論できないのも事実だ。
水の補給を提案したのは自分。
そしてこの困難から脱出するのに一人では荷が重すぎる。
せめてこの場にボイドがいたらと、ヘリオスは学園を去った自分の好敵手を思い出しつつ、言葉を絞り出した。
「分かった。後で覚えていろよ」
「ああ、俺も同感だ」
「俺も忘れて貰っちゃ困るぞ、生臭と半裸」
険悪な状況ながらも、協力せねばならない。
三人はそう確信した。
ふと、クライストスは珊瑚の事を思い出した。
「…なあ」
「なんだ?」
同じ魔法を主軸に闘うからか、険悪な状況下でもミコラが返事をする。
「珊瑚は何処だ?」
ヘリオスがそこで、口を挟んだ。
「豚と一緒だろうよ」
「…ありえるな」
ミコラは同意した。
「……まあいい、俺たちは進むだけだ」
そうミコラは締めた。
その後、巨大なGそっくりな魔物に遭遇し彼ら。
カッコよく〆たつもりのミコラは接近戦の下手から半裸に剥かれた。