14 転生者_前
ワクテカ
帰宅する。
友人には申し訳ないが、お願いを持ち帰って貰った。
『お小遣い』を多めに出したので、まあ何とかなるだろう。
>なるのか?
>成らせるの
>…この決闘を止めなかった俺っちも悪いけど お嬢理解してるの?ヤバいってこと?
>何をよ?
【記憶】が呆れたらしい。
>侯爵家に喧嘩売ってるんだぜ? なし崩しとは言えさあ…あ、公爵家もか
>ムカついたから仕方ないの
>Oh…俺、お嬢とやっぱ感覚違うって確信したわ 男前過ぎる
>…喧嘩売ってる?
>誉めてんだ 呆れてるけど
私はムッとした。
>何、じゃあ放置しておけって言うの?
>俺ちゃんありきで考えてたなら、そう言う
【記憶】に指摘される。
そこで私は彼がいない自分を想像する。
>……お嬢?
>それでも、やってたと思う
【記憶】は黙る。
>やっぱ お嬢はスゲえ。馬鹿だと思うが俺には出来ん
>貶してんの?
私が言うと、彼は答えた。
>違うよ。俺はお嬢に出会えて良かったと思う
寄り道したつもりがないのだが、何処かで時間を食っていたようだ。
何か用事があるらしい。ダットが家に来ていた。
が、見るも無残な状況である。
「うわ…」
ダットの上半身は、ほぼ裸。いたるところに擦り傷がある。
おまけに鼻血を出して失神していた。
イケメンより襤褸切れや浮浪者の死体そっくりだ。
「お父さんがやったのよ…」
マリアが治癒魔法をかけつつ、じろりと工房を見る。
あ、理解。
どうやらマリアは死体おっかけてきたようだ
ちなみに加害者である、お父さんは既に家に引っ込んでいた。
「俺はマリアの騎士だ!モニカに会いたい!って玄関で言うから」
>ギャグだな
>同感…
モニカの手当てが終わったらしい。
ガバリとダットは起きる。
「……ふぁっ?!…筋肉が、筋肉達磨が!!」
「お父さん…どんだけトラウマ与えてるのよ」
呆れるマリアの横で、ダットは気まずそうに言った。
「…あの…モニカさん……お話が」
「いいよ。でも、家はやめよう」
そのまま、町はずれへと歩いていく。
貧民街へと続く道だ。
おのずと人も少なくなる。
日は傾いていた。
「で、何?」
ダットは、何処か緊張した様子だ。
「Excuse me. Can you tell me what time it is?」
そう、彼は言った。
「今何時って?時計持ってないからはっきり言えないけど16時じゃない?」
私が言うと、ダットは思いつめた表情をする。
「…キミも…その転生か?」
「?」
私が疑問に思うと、【記憶】が言った。
>お嬢
>何? 今何時って聞いただけじゃ…
>悪い!
その瞬間 バチンと私の感覚が消えた。
おや…?ダットのようすが…?
短くてすみません。ストック切れです。