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私が死ぬとき

作者: 桜江 李彩子

◤◢◤◢注意◤◢◤◢


これは、一人の人のお話です。

 嘘か誠か定かではないが、生き物はある程度自分の死期がわかるらしい。

 そして、それは、私にも適応しているようだ。


 私は“生き物”ではない。

 それなのに死期がわかるというのは、なんとも不思議なことだ。

 と生き物なら思うだろう。


 生き物の死と私の死は指す意味が異なる。


 私はかつて一人の“人”としてこの世で生きた。

 この世に存在した。

 約二千年もの間。





 元々、私はどの世界にも存在しないモノでどの世界にも存在するモノ。

 概念────そういった方が分かりやすいのかな。

 その概念を擬人化したものが私。

 君たちの身近な言葉で表すと神様。


 神様といってもそんなたいそうなものじゃない。

 私はとても身近なものでとてもとても身近なものすぎていつの間にか皆、皆、私を忘れてしまった。


 遠い昔、私は他の神様と同じように祀られて崇められていた。

 私たちは誰かに存在を認められることでその世界に干渉することが出来る。

 誰かと触れ合うことが出来る。


 ずっと孤独だった私にとってそれはとてもとても幸せなことでした。


 でも、いつの間にか信仰心は廃れ祀られていた立派な建物も見るも無残な姿へと変わっていきました。

 それに比例して私はだんだん皆に忘れられ“透明”になっていきました。


 とても寂しかった。

 孤独には慣れているはずだった。

 一人には慣れているはずだった。

 透明には慣れているはずだった。


 なのに


 一度知ってしまったその温かさに触れたくて私は転生しました。


 神としてではなく人として存在を認めて欲しかった。


 概念としてではなく個人として存在を認めて欲しかった。


 “人”として“生きた”のは、三年間。

 楽しかった。楽しすぎました。

 だから、私は願ってしまった。

 まだ“この世(ここ)”に居たいと。


 その願いは一つの魂を犠牲にして叶えられたのでした。

 私は愛しい妹の魂を私自身の(なか)に封じ込めることによってその願いを実現させました。


 先程いったように私が世界に干渉できる条件に誰かに存在を認められることというのがあります。

 妹の魂は、私とほぼ同化したことにより私の中で生き続けることになりました。

 そのおかげで私はここにとどまることが可能になったという訳です。


 我ながら外道なやり方だと思います。無意識に願って起こってしまったこととはいえ私は叱るべき償いをしなくてはならないでしょう。それが“人”として当然のことですから。


 まず、私は妹を私の中からだすために(からだ)を作りました。

 これは、協力があったおかげですぐ出来ました。

 一番手っ取り早くて好ましい方法だったのですごく助かりました。


 次に、妹の安全・安心・幸せを守ること。

 いつも妹が笑っていられるように私は努力しました。

 周りからは、過保護すぎる、シスコンだなんて言われたけど一生の大半を笑って過ごすためにはあれぐらい必要だったと私は今でも思ってます。


 私たちは、普通に暮らしていました。それが、あの子にとっての幸せに一生を終えれる方法だったのに。

 ところが、運命とは残酷なもので妹と私は、離れて暮らすことになってしまいました。

 突然現れたヤツらに「救世主だ!」「聖女様だ!」といわれてあれやこれやしているうちに妹は正式な姫様となってしまいました。


 姫になることは、あの子が生まれる前から決まっていたことでした。

 あの子には、人を導く才能が生まれる前から与えられていていつか、人々の頂点に立つことが約束されていました。

 腐っても神ですよ。


 それぐらいのことはわかっていたさ。

 されどもそれは、危ない綱渡り。天秤の傾きしだいであの子は破滅へと落とされる。


 私の予想は、見事に的中した。

 唐突に現れた小娘が気に食わないというありふれた理由であることないことでっち上げクーデターを起こした者がいました。


 事前に小さな芽は取っていたが、裏で糸を引くやつに一本取られ最悪な事態にらなろうとした。


 悪い噂は、その世界中をかけめぐりありとあらゆる場所で妹が“悪”と呼ばれた。


 身を粉にして世界に尽くしてきた妹がどうして悪と呼ばれなくてはいけないのか。

 私は納得がいかなかった。

 これでは、妹が今までしてきたことが無駄になってしまう。


 苦難の末、私は黒幕の計画を逆手にとり妹が再び聖女として崇められるようにする方法を実行した。


 その結果がこれだ。


 せめてもと思い妹が住む世界に造った別荘で絶賛ご隠居生活中。

 妹が生きているうちは私もこの世界で個人として“生きること”ができて、みんなと触れ合うことができる。


 けど、あいにく私は公にら死んだことなっているからうかつに外を出歩けない。

 …………本当は、真犯人も捕まってちゃんちゃんなんだけど、妹をかばって災害級の攻撃をくらったせいで外に行けないんだけどね。

 私の計画だと、私が妹の代わりに悪になって文字道理真実を墓場まで持ってくつもりだったんだけど妹の周りの人が優秀で真犯人を捕まえた。

 が、ヤツが腹いせに妹に放った攻撃をまともにくらったせいで周りからは完全に死んだことにされている。(実際は不老不死ためダメージは皆無)


 すぐに誤解を解けばよかったのだが、周りは完全に死んだことにされるし、公には英雄の死と書かれた記事が出回るし…………。


 いや、たしかに、生まれて三年後に死んだからもはや(からだ)というものが存在しなく魂と(からだ)のハイブリットみたいな状態だっから…………魂=(からだ)の状態だったから体が光となって一旦消えちゃったけど…………私、まだいるぞ。

 私の人として生きた三年間を覚えている人がいる限り私はここにいれるんだが。

 …………気を抜くと半透明&通り抜けるけど。波長の合う人にしか見えなくなったけど。


 と四の五のして言い出さず今のご隠居生活に至る。

 この世界にもあった私を祀るところも廃れてもう誰も来ないし、元々私が転生したあっちにもそんな場所はない。

 他のところにももう私の存在を証明するものは無い。


 妹が私の元へ旅立つときそれは、私が本来の姿に戻るとき。

 私の(人としての)存在が消滅するときだ。


 その瞬間、私が生きた証が世界から消える。


 それは、とっても寂しいことだけど転生前と違ってともに永久のときを過ごす家族ができた。

 これ以上、幸せなことはない。








 なのに


 どうして私の目から涙があふれるんだ?


 やっぱり、あなたを連れて行けないのが寂しいからなのか?


 強引に連れていくことも考えたました。そうすれば、輪廻転生から外れてずっとずっと一緒に居られるんだからさ。


 ごめんなさい。ああ、どうしてこんなにも強欲になってしまったのか?




 ねえ、もう、私の声が聴こえないかもしれないけど、死んだら忘れちゃうかもしれないけど最期にこれだけは言わして。


 私を一人の(あね)として生きさせてくれてありがとう。

分からないことがあれば、どうぞ聴いてください。




元ネタは、連載する予定のものです。

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