1.目覚めるとそこは異世界だった
目が覚めるとそこは異世界だった。
俺はある商人の長男として生まれた。
名前はシルド・ヴァン・コーディング。
コーディング商会というさほど大きくない商家だったが、父のアルトや母のセリカ、使用人たちや父の部下に優しくしてもらい特に不自由無く暮らしている。
生まれてから1年たった頃には言葉を理解して喋れていたし字も読めた。
我ながら怖い1歳児である。
普通気味悪がるものだが周りの大人(特に両親)は気にしていないどころか天才だと大喜びしていた。天才どころではないだろうと思うが。
あれこれ5年。
俺は周りの大人が割と普通に異常な俺を受け入れていたかようやく分かった。
生まれて初めて自分の姿を鏡で見た時は驚いた。
これはこっちの世界に生まれてきた時より驚いた。
こんなに親の顔が反映されない子供がいるのかと。
父も母も不細工ではなく逆に美人な方であったから、自分もそれなりであろうとは思っていたが。
こんなに人外並みだとは。
父はふわふわの金茶の髪に茶色い目で中性的な顔立ちでさぞモテるであろう。
母は流れるような黒髪に深緑の目の笑うとえくぼができる可愛らしい顔立ちだ。
俺は艶やかで真っ直ぐな青みがかった銀髪に、深い澄んだ青い瞳。整った一つ一つのパーツがこれでもないほど絶妙なバランスで、国宝級の神秘的な彫刻でも勝てないくらいの美貌である。
最初は異世界だからかと思ったら、使用人の子供たちはちゃんとしっかり親の色素や顔立ちが反映されていた。
何故金茶の髪と黒髪から銀髪が生まれる。
何故茶色い目と緑の目から青い目が生まれる。
もう意味わからなすぎて、乳母のカナンに聞いてみたらひい爺ちゃんと精霊が駆け落ちしてできた子が爺ちゃん、その子が父だそうだ。
そして俺は精霊の血が強く出たんだそう。俗にゆう先祖返り。
しかもその精霊はまだ生きているらしく、父と母も会ったことがあるらしい。
恐るべし精霊の寿命。
俺が6歳になる頃には、商会の仕事について行ったり家庭教師が付いた。
余談ではあるが、俺を誘拐しようとする奴があまりにもでるため家庭教師を雇うのを2ヶ月であきらめた。その間クビにされた家庭教師は20人にたっする。
シルドのひいお爺ちゃんはある貴族の三男坊で家族に反対されて、家を出ました。