勇者、魔王~永久に繰り返される悲劇~
「勇者だと?!」
私の前にいた神官の人が驚いたように言った。
15歳になり、神殿に行くと職業と言うものが神から与えられると言われている。
神が本当にいるかは分からないが。
そして私は今、職業を貰いに神殿に来ていた。
そして私の職業は勇者らしい。
私はただの村人で勇者についてあまり詳しくはないが、魔王と倒し世界を救うために旅をすると言うことだけは知っている。
「おい?!
勇者様が現れた!
王都に報告を?!」
神官の人が何やら言っている。
これは大変なことになるかもね。
私の心の中は、これからの不安と何か忘れているような感覚で支配されていた。
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あれから一週間。
どうやら私は王都に行かないといけないらしい。
迎えが来た。
どうやら、魔王を倒すための旅に行かなければならないが、戦闘の技術も持っていないものを行かせるのは危ないと言うことでまずは王都で訓練をするらしい。
私は、勇者になったせいか性格が少し変わったように思えた。
前なら、魔王倒しなど行く気など何があっても無かったし、特別な力があると言っても魔王を倒す勇気なんてなかっただろう。
しかし、今の私は人のためになることをしようと言う意志と勇気に溢れている。
だが、それでも何かを忘れているような感覚がある。
そうして私は、王都に向かった。
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王都に来て1年が経った。
私は剣の腕や魔法の腕を上げ、とうとう魔王討伐の旅に出ることになった。
その歳に、盾師と戦士と魔法使いと神官が仲間に加わった。
最初は、仲間とも少し険悪な雰囲気だったが時間が経つにつれ険悪な雰囲気がなくなり、皆が仲良くなっていった。
とても嬉しく思った。
それでも何かを忘れているような感覚が続いている。
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それから更に一年が経った。
今、私達は魔王の配下である四天王の一人に止めを刺そうとしていた。
これまで色々あった。
大変なことや辛いこともあった。
しかし、それでも嬉しいこともたくさんあった。
助けた子供に〝ありがとう〟と感謝されたときなどとても嬉しかった。
そんなこともあり、今では仲間との絆は家族のようになっていた。
「ふっ。
我を倒すか。
しかし、魔王様には勝てないだろう。
魔王様の幻術は最強だ。」
四天王が喋りだした。
私達は、四天王に止めを差した。
ようやく魔王討伐への第一歩を踏み出せたように感じた。
そして、何かを忘れているような感覚が大きくなっていた。
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あれから更に一年が経った。
私達は魔王四天王を全て倒した。
最初の四天王が言っていたが、魔王は幻術を使えるらしい。
四天王の次は魔王を倒す予定なので一年の間に幻術耐性と言うスキルを手にいれておいた。
これで魔王と戦う準備は出来た。
私達は魔王討伐のために魔王城に向かうことにした。
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「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
私達は魔王への止めの一撃を放った。
私達の圧勝だった。
魔王の攻撃を盾師と魔法使いで防ぎ、戦士と勇者である私で魔王を攻撃し、神官が私達を回復する。
魔王の得意の幻術も幻術耐性の前では効果をなさなかった。
私は、倒れている魔王に言った。
「魔王よ。
私達の勝利だ。」
「はっはっはっ。
確かに手も足も出なかったな。
何でだろうな。
分かるか?」
「それは、私達が強かっただけだ。」
「なら、質問を変えよう。
幻術が本当に効かないと思っているのか?」
私には、魔王が何を言っているのか理解が出来なかった。
また、魔王が負け惜しみを言っているのだろうと思った。
「実際に効かなかっただろう?」
「お前は何かを忘れているような感覚があるか?」
「・・・」
確かにそのような感覚を感じたことはあった。
それを今も感じている。
いや。
違うな。
今は何が間違っているような感覚を感じている。
そして、後悔をしている。
何にか分からないが。
「後ろを見てみろ。」
私は、後ろを見た。
其処には仲間がいる・・・はずだった。
だが、其処に有ったのはただの肉の塊だった。
私は、何も考えることが出来なかった。
そして、声が聞こえた。
これは、世界の声。
スキルを獲得した歳に聞こえるアナウンス。
《幻術耐性のスキルを手にいれました。》
私は、幻術耐性のスキルを持っていたはずだ。
何故、またこの声が聞こえるんだ。
そう思った次の瞬間。
とても大きな音がした。
私は、周りを見渡した。
すると、世界が崩壊していく音がした。
そして、私は現実へと戻っていく。
私は、全てを理解した。
そして、現実へと戻った私の前には魔王がいた。
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そう、幻術だったのだ。
忘れていたのだ。
確かに私は勇者に選ばれ、魔王と戦った。
だが、本当は魔王に負けたのだ。
魔王の圧勝だった。
目の前で大切な仲間を殺された。
そして、絶望していた私に魔王は幻術をかけた。
私が、勇者に選ばれた所からの体験を魔王は私にもう一度させた。
ただ、幻術で違ったのは幻術の世界で倒した四天王が最後に言った、「魔王様の幻術は最強だ。」と言う言葉が現実では無かったことと、魔王の力が幻術の方が弱かったと言うこと。
私は本当は。魔王が幻術を使うと言うことを知らずに戦い、幻術にかけられ倒されたのだ。
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魔王がニヤリと嗤い言った。
「楽しかった?」
私の心は、その言葉を聞いた瞬間崩れ落ちた。
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「あーあ。
壊れちゃった。
このオモチャは面白かったのにな。」
「んー。
記憶を封印して、魔に落とせばまだ使えるかな?」
魔王は、壊れた勇者の頭に手を置き魔法を発動して、記憶を封印した。
そして、さらに魔王は勇者に魔の力を流し込み、魔物にしようとした。
勇者の姿が、人から離れていった。
そして姿が完全に変わった時、そこには魔物がいた。
しかし、姿形は魔王と同じだった。
いや、姿形だけではなく、全てが同じだった。
そして、魔王が魔王を殺した。
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魔王は全てを思い出した。
私は、勇者だった。
しかし魔王に倒され、心が壊れて、記憶を封印され、魔物に落とされた。
そして、私は新たな魔王となった。
そして私は、魔王を倒した。
私は、何かの衝動にかられた。
ーーー行かないとーーーー。
そして、私は過去に戻った。
そして、私は勇者と戦った。
それは、私と私の戦いだった。
私が大切に思っていた仲間を私が殺した。
そして私は、新しい魔王に・・・私に殺された。
死の瞬間、私は思った。
ーーー行かないでーーーー。
新しい魔王は思った。
ーーー行かないとーーーー。
そして、新しい魔王は過去へと消えていった。
えーとね。
思い付いて数時間でぱっと書いたし、まだ小説書くの苦手だし、誤字も多いと思うので気になったら教えて下さい。
最近から短編とか書いて投稿し始めたけど・・・まだ下手だから・・・。