第6話 先達の召喚者
右手を高々と上げ、「こう?いや、こう?」等とぶつぶつ言いながらお尻をフリフリ。くねくね?なんにせよあまり見たいものではないのだが・・・まぁ、その道のマニアの方(ケツフェチ?)がいらっしゃったらきっと垂涎の的なのだろう。むこうを向いて何度も何度もフリフリしてるそれを眺めながら
「ねぇ、バド。」
「なーにー?」
「あんな風にお尻をフリフリしなきゃ魔法って使えないの?私多分あんなのだったら使えないよ?」
「ぷぷっ、まーっさかーぁー。お尻フリフリはおいらの癖かな。だから別にフリフリする必要はないと思うよ。ちゃんとした呪文?さえ出来てればね」
「やっぱ呪文とかっているんだね?」
「呪文っていうか、正確にいうと【イメージ】を作るってことかな」
なるほど。イメージをしてズドーンだな。出来るかな?んま、練習しないとだな。にしても、フリフリしないで済んで助かったよ。美優は勘違いしてるみたいだけど、、、面白いからあれはあのままで放っておこう。いつまでも【ぷりぷり体操】をやっておればいい。
「それと~・・・」
「ん?」
バドが右の人差し指と左の人差し指をつんつん、もじもじさせて申し訳なさそうに俯いてボソッと呟く。
「さっきおいらがやったのは魔法じゃないんだ~」
「えっ?でもなんかキラキラしてたよ?」
「うん、それはね、、、」
と、背中の透明で綺麗な羽根をパタパタさせる。するとさっきも見ていたキラキラしたものがまた舞い上がっていた。
「これは人間たちの間では【妖精の粉】って呼んでるんだけど、これを使うと多少の傷なら治せるんだ~」
おー、ファンタジーきたよー!
「で、この妖精の粉欲しさに悪い人達がおいら達を捕まえたり。おいらみたいな可愛い子は鳥籠のなかに入れられたりしちゃうんだ。だからおいら達は人の前には姿を見せないようにしてるんだ~」
なるほどなぁ~。ありがちなパターンだな。
「だから、おいらの事はあまり人には話さないで欲しいんだ~」
「わかったよ。誰にも言わないようにするよ」
「ありがと~」
「それと、、、そういやぁさっき【侍】とか【武士】とかって単語が出てきたけど、バド?なんで侍とかって知ってるの?もしかしてこの世界にも侍とかって居たりするの?それともここは侍の世界なの?」
「昔ね、侍だって人と忍だって人がやっぱりお姉ちゃんたちみたく召喚されてきたことがあるんだ~。その人も黒い髪だったよ~」
「黒髪の召喚者?その人も全属性魔法を使えたの?」
「多分使えたとは思うんだけど【龍さん】は使ってなかったよ~」
「リョウさん?」
「そ。龍さん。龍さんはね「わしはこの土佐を抜け出し、江戸へ刀の修行に行く途中じゃき、そんな訳のわからんもんは使わんちや」って言って、いっつも刀をブンブン振り回してたよ~」
な?なんなんだこのはなしは??江戸へ?剣術修行に?そして、、、龍さん!?それってもしかして、、、
「「「「坂本龍馬~!?!?」」」」
びっくりした。いつの間にか3人がこっちに表れていた。(1人は自主トレちゅう。)←無駄になるやつ。
「まっ、まっ、まっ、まっさかぁ~。そんな事あるわけないじゃん!」
「ホントだよ~龍さんって言ってたモン。いっつも「げにまっことたまげたぜよ~」っていっつもバタバタしてたもん」
プーっと頬っぺたを膨らしてムキになっている。
「仮に坂本龍馬だったにせよなんにせよ、私達の世界からこの世界に来た人がいるって事だよね。ならなんとか生きて生けるんじゃない?」
「生きてるだけじゃ駄目なんだよ!元の世界に帰らなきゃなんだよっ!」
そう。私達はこんな理不尽な事でこんなふうになってしまって、はい、そうですか。で流す訳にはいかない。少なくとも美月を元の世界に帰さなければ、、、アヤカさんに会わす顔がない!
「とりま、さっきも言ってた通りここにいても仕方ないんで、人の住む街まで行ってみよう」
「そだね。それとまたさっきみたく魔物が出てきて戦闘みたくなって、バタバタしちゃうのも辛いし、、、まずリーダーを決めて戦い方とかも色々考えていこうよ」
「んじゃー、リーダーわ~??」
「「「「ミサトさん!あなしゃーっす!」」」」
「なんでやねん!!」
ってまたこの展開かよ、毎度毎度・・・
「もういいからー、このお約束ネタわ!」
いつの間にかシレっと自主トレを切り上げて美優も戻ってきてるし。
「はいはい。そうね。んじゃー、リーダーはミヅキでね。」
「りよ~!」
そう言いながら、だぶだぶに濡れているミヅキが右手を上げた。あっ、バドが気を効かせて「ふーふー」って頬っぺたを膨らして風を送って乾かしてあげてる。熱々のラーメンでも食べるのか?てな具合に。
「それと、私はあまり戦闘に向かないタイプみたいだから、後ろで【司令塔】のような立ち位置でみんなをサポートするわ」
「・・・・・・・・・」
なんかズルい気もするが、必要な事でもあるし、美優の言い分も合ってるとも思えるので渋々了承する。ま、もし怪我をしたらパシッと治して貰えばいいって事だしね。頑張ってケツ振り乱しておくれ。。。って、あれ?
「バド、さっきバドのキラキラは魔法じゃないって言ってたけど、じゃあミュウのやった【キラキラぶっしゃ~】は何だったの?魔法?」
「うんあれは【水属性の魔法】だね。たまたまイメージできて【癒しの水】が発動したんじゃないかな?」
ほうほう。癒しの水。ポーションみたいなものかな?偶然にせよ、まぐれにせよ、何にせよなんか凄いよね、美優は。悔しいからやっぱりお尻の件は黙っておこう。
「そうか。んじゃー、ミュウがバンバン治してくれる訳だし、これから多少の怪我は気にせずガンガン行こう!」
「あんな~、軽~く流されてるんやけど、びちょびちょになんのも結構なダメージなんやよ?主に精神的に」
バドの懸命な【ふーふー】のおかげで半渇きまで回復した美月が肩を落とす。
「だよね。んじゃ、極力怪我はせず張り切っていこー」
「私がきっちりガード出来てればこんなにわちゃわちゃする事はなかったんだよ。。。」
転がっていた大盾を拾いながら美香がぶつぶつ言っている。盾を真上に振り上げて【ドスン】と地面に突き立てながら
「この盾がきちんとこう【スパイク】出来て・・・」
と言った瞬間、大盾の下部から前面に2本、裏面に3本の杭のようなモノが【ズシャーン】と地面に突き刺さった。
「あっ、スパイク出来てる・・・」
「スパイクって言葉を使った時に今の現象を具現化出来たんだねぇ~」
正座をしてお湯呑みでお茶を飲んでる(フリをしてる。)バドが言った。何故正座を?そして何故湯呑み茶碗を持っている。右手を横、左手は底を持ち綺麗な姿勢だ。ところでそれ。どこから持ってきたっ!?
どうやらこの大盾は【土魔法】と相性抜群らしく、魔法併用で強固な盾として使用するらしい。うん。ガードさえ出来ればなんとか乗り切れる!はずよ。きっと。
それに、もし先達の召喚者が坂本龍馬だったのならば、私達は無事に元の世界へ帰れる方法が必ずあるはずだ。何故なら彼は【この異世界】を抜け出し、江戸へ剣術修行に行ったのだから。その後、幕末の風雲児になって偉人と呼ばれるようになったなんてバドは知らないんだろうな。
一抹の不安も無いなんて事はないけども、希望の光は僅かながら見えた。前向いて!私達らしく。。。
「みんな~!」
(パンパン!)
美里が両頬を叩き気合いを入れる。
「私達は~~~っ!」
「「「「「ロックだぜっ!!」」」」」
5人は人差し指を立て、天高くに突き刺した。
JKバンドが異世界転移 (完)
「って」
「「「「勝手に終わらせんじゃねぇよ!」」」」
へへっ、てへぺろ~~~!
美里「調子にノリ過ぎました。ホントすいませんですm(。≧Д≦。)m」
美月「反省しなさい」
まだまだ続きますので懲りずに読んでやってください(汗)