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第3話 ドラゴンから渡された物と髪色の謎



「装備をつけたらみんな冒険者みたいになっちゃったね。さっきまでの服もなんか変わってて可愛かったのに~」


両手を頭の後ろにくみ、お尻をフリフリ振りながらバドが言った。


「えーっと、バドミール君?ちゃん?だっけ。この世界にも冒険者っているの?」


少しだけ、ほんの少しだけ元のやる気に戻りつつある美香が森の妖精に話しかけた。


「バドって呼んでよ~。そだよー。この世界の人間達は冒険者って人が結構いるよー。魔物を狩って生活する人だよー」


「結構って事は、、、魔物も?」


「うん。結構いるよー。ほらっ、あそこにも~」


と5人の背後を指差しながらニコニコしている。なんで魔物がいるってのにこの妖精()は冷静なんだ?


背中に幾筋もの冷や汗を感じながら【ぎぎぎぎっ】っとゆっくり後ろを振り返る5人。すると、遠く300メートル程離れたところに2匹のウサギのような生き物が昼寝をしていた。番いなのかぴったりとくっついているそれに【チッ】と舌打ちをし


「兎の分際でリア充か、爆ぜろっ」


ピンクおチビがぼそり呟いている。


(いやいや、ウサギさんだって恋する事もあるやん。何故こんなに異性関係に対してシビアなんやろ?)


と、いつも思うのだが口には出来ない美月。言おうものならどれ程の攻撃を喰らうかわかったもんじゃない。経験則上この手の話はスルーする事が大切だと遠い目をして時間が経つのを待つ。


「そ、そんな事より魔物が居るような所でゆっくりしてるのもヤバくない?これからどうしたらいいのか考えなくちゃ」


美里がサクっと話題をかえリア充ウサギから少し離れて一同の装備を確認してみた。


美月はツーハンデッドソードというピンクおチビの身長よりも長い両刃剣と、鋼の胸あてを。


美魅はショーテルというハンガーのフックように半円近く曲がった長さ50cmくらいの曲刀を2本。それと美月と同じく鋼の胸あてを。


美香はこれまたピンクおチビよりも大きな大盾と、グリーブというすね当てみたいな防具を。


美優と私は魔術師のローブ(美優は白の。私は黒の)を装備している。私は冒険者のナイフっていう長さ20cmもある包丁のようなナイフ。美優はマジカルステッキという何だか幼稚園児が泣いて欲しがるような素敵な杖を持っていた。


「装備に関しては必要最低限なものしかないんじゃないかな?美香なんて普通の服のように見えるし」


確かに美魅の言う通り各個人を見ているとなにか足りないような気もする。


「それ以外に何か貰ってる物ってないの?うちはほらっ」


って言いながら美月は左手を前に突きだした。そこに六角形の透明な宝石のような物が突然表れ掌に握られた。


「これは【勇者の輝き】って書いてあったけど、何なんかは解らへんけどな」


「へー。私はこれ」


と言いながら美里は右手で美月と同じような動作をとり、掌に500円玉を2回り程の大きさのコインを出した。


「これは【黒龍の金貨】何だって」


親指でピーンと弾き、くるくると真上に上がったコインをまた弾いた右手で同じようにパシュっと掴んだ。


「へー。んじゃあみんな持ち物が違うのかな?」


とあとの3人はそれぞれの持ち物を出した。

美香は【黄龍のコイン】

美魅は【赤龍のコイン】

美優は【青龍のコイン】だった。


「じゃあ、このままこの魔物が居るような森に居てるのもなんやから、人の住む所まで行ってみんなの装備を充実させるとこから始める?その金貨やらを売ったら()()()かになるやろからそれで装備を整えたらええんちゃう?」


「またミヅキは【なんぼ】って言ってるわ。大阪の商人だわ」


「そんなん、みんな()()()()やん」


「みんな()()()ませぇ~ん。って、また大阪弁が伝染した(うつった)じゃん!」


またまた本線から外れてギャーギャー騒ぐJK (もうすぐ終了)


(あーっ、もう卒業式も終わったって言うのにいつまで女子高生のノリで居てるのよ。ってか、いつまでここで騒いでるつもりなのかしら)


美優は嘆息しながら


「ねえ、夫婦喧嘩はいいから早く行動しましょうよ」

と子供を諭すように二人に向かい合った。


「そ、そだねー。取り敢えず街?に行ってみるか・・・って誰がこんな嫁貰うか~っ!」


「そうやわっ!うちかてこんな嫁いらんわっ!!」


「はいはい。じゃ、二人とも素敵なお嫁さん探しましょうね~」


「「探すなら旦那だろっ!(やろっ!)」」


しょうもない突っ込みには抜群に息が合うふたりにみんなケタケタと笑い出す。




「あのさー。さっき【黒龍の金貨】を売ってとかって言ってたけど、それって売れないと思うよ~」


バドが可愛くお尻をフリフリしながらそう言った。


「えーっ!なんでぇー。この世界では金貨って価値がないの?」


「金貨は多分人間の世界で流通してるとおもうよ。だから、【黄龍】【赤龍】【青龍】のコインは売れると思うんだ。でも【黒龍の金貨】は売れないよ。それ、呪われたアイテムだからねー」


「「「「「の、呪われたアイテム~っ」」」」」


5人で顔を見合せた。


「そ。それ、持ってると魔物が寄って来ちゃうんだ~」


「そんなん困るやーん」


「でもね~、寄ってくる魔物って言っても自分のレベルに合わせた魔物しか寄って来ないんだ~。逆に言うと、自分のレベルに合わない強い魔物は寄って来ないんだよ~」


「おいおい、あのくそドラゴン!なんて言うものを渡してくれてるんだっ」


美里はムキ顔で空を見上げる。見上げても居ないんだけどね。


「じゃあ、私達の前に表れる魔物っていうのはみんなで頑張れば倒すことは出来るって事よね。じゃあ、問題ないんじゃないの」


「確かにそうやわ。みんな前向きに考えよ。人生ポジティブ!ポジティブやよ」


「またミヅキのポジティブ論が出た」


「そんな事よりお腹すいたよ~。だから観光前に【鰹のたたき】食べようって言ったのに~っ」


「朝からお刺身なんて食べられないよ!」


考えるとどんどんお腹が空いてくる気がするのでなるべく考えないようにしよう。


「じゃあバド。ここから一番近い人間の住む街まで案内してくれない?」


「おっけ~わかったよ~。んじゃあ、こっち~っ!」


 この森の木は、ぽつんと50メートル程の感覚で大きく、高く伸びているので道はなくても歩きやすかった。5人はバドを先頭にだらだらと付いて歩く。


(こんなに横に広がって固まって歩いてるなんて、危険意識がまったくないみたいだな)


透明の羽根をパタパタ。翔びながらバドはひきつった顔で前に進む。妖精の顔をひきつらせる事が出来る。なんという強者か。


「ところでバド。この世界に連れて来られるときに、髪の毛の色がどうとかで私達は選ばれたらしいんだけど、どういうことか分かる?」


美里はサイドテールにした黒髪をクルンクルンと指で絡ませながらバドに問いただした。


「髪色ってのはその人の【魔法属性】を示してるんだよ」


どうやら

赤いのは 【火属性】

青いのは 【水属性】

緑は   【風属性】

茶色いのは【土属性】

銀色は  【光属性】

金色は  【補助属性】

って事らしい。


「じゃあ、黒髪は何になるのかな?」


「黒い髪の人ってこの世界には多分居ないと思うんだよ。因みに大昔の言い伝えでは黒い髪の人は【全属性】使えたって話だよ~」


「だから私は火とか水とか色々と属性があるんだねー」


なんか儲かった気分で嬉しい美里は続いて聞いた。


「で私、この世界に来て瞳の色が金とか銀に変わっちゃってるらしいんたけど?どして?」


「潜在的に高い能力が有ったんじゃない?でも髪の毛の色って生まれた時に決まってるから変わらないんだ。もし、後天的の魔法属性がついたりすると身体の1部分が変色するんだよ~。あと、両親とかの隠れ遺伝ってのもあったりするし」


「うちの両親は二人とも黒髪なんだけどなぁ?」


「もしかしてあれじゃない?」


ピーンと来ちゃった。って感じで美優はこう続く


「ミサトって就職するからって黒髪戻ししたじゃない」


「あーっ。戻す前はアッシュシルバーだったよなー」


「ゴールドメッシュもしてたしね」


「いやー、あの頃は若かったんだわ。私も大人になったもんだねぇ~」


((((髪色だけで大人気分かっ))))

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