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間章《きっかけ》

間章  《きっかけ》



「もしもし、どうだ?」

『生まれた村までの足取りは掴めましたが、何も収穫はありません』

「そうか………」

『それにしても、実際に聞いたら気持ちのいい話では有りませんね』

「たしかにな、その辺り(・・)の農村は、一人っ子政策の影響で、長男以外は家畜のような扱いを受けるから、人身売買も横行している。売られた後は、年齢は関係なく奴隷のような労働に、女なら娼婦のような扱いだ。聞いていて気分の良いものでは無い」

『いえ、確かにそれもありますが、私が言ってるのは、彼女が引き取られたり、売れたりされた先の話です』

「………それは、本人ではなく、相手と言う事か?」

『えぇ。私は、彼女があそこに来るまでを、逆に辿(たど)っています。叔父と取引した人身売買組織から、マフィアや個人で引き取った人物まで。しかし、彼女を引き取った主な人物たちとは誰一人として出会えていません』

「誰一人って、まさか――――全て死んでいたのか?」

『はい。それも、殺されたり殺しあったりして。まるで横浜のあの(・・)場所のように』

「………以前から、同じことをしていた?」

『多分、何度も試していたのでしょう』

「なるほどな。相手がいくら悪人だからと言っても、あれを経験したお前には聞くだけでも辛いか」

『関係のない周りの者も多く巻き込まれていて、想像以上でしたからね。本当に生まれ故郷までたどり着けたのが奇跡です』

「それでどうする? もう少しそこを探るのか?」

『いえ、ここにはもう、彼女を知っている者が少ないですから、アメリカに飛びます』

「アメリカ?」

『娼婦宿で彼女を頻繁に買って居た、アメリカの大学教授がいるらしいです。かなり彼女を気に入っていて、食事に連れて行ったり、何日も一緒にいたりと、親しげなようでしたので探し出してみます』

「そうか」

『そこにヒントが有ればいいんですけど』

「もう、あまり時間はないぞ」

『解っています。とにかく最後まで足掻(あが)いてみます』

「解った。何か必要なものがあれば連絡をしろ、すぐに送る」

『ありがとうございます』

「それと、たまにはあいつに声を聴かせてやれよ、光」

 相手の微かなほほえみの声を聴きながら、ベネディクトは受話器を置くと、エアコンを止めて窓を開け、事務所の中に風を入れた。

「ここまで来ても手掛かりなし、っか」

 たとえ、それが熱風であったとしても、とにかくこの重い空気を外に出したかった。



 入り組んだ町の中にある、砂町文化センターの前の公園のベンチに腰かけて、蒼がどこかに電話をしている。

 近くの砂町銀座で買い物をしてきたのか、そこ横には中身がいっぱいの買い物袋が二つ置いてあった。

 彼は会話を終えると、少し悩んだ様子でスマートホンを眺めていたが、そのままそれをポケットにしまう。

 そこにちょうど声が掛かった。

「君が未国 蒼(みくに そう)君かな?」

 声をかけて来たのは黒いスーツ姿の若い男性で、蒼より五つほど年齢が上な感じの男だった。

 蒼は頷いてから、彼のさらに後ろにいる男性に目を向ける。そこにはその男と同じく、黒いスーツ姿をした四十代半ば男が立っていた。

 彼は顔を横に向け、よく見慣れた(・・・・)その釣り目を蒼と合わせない。

「………」

「私達は、総本山の魔法取締局まほうとりしまりきょくの人間だ。こんな形で悪いが、未国 蒼君、キミを迎えに来た」

 蒼はベンチから立ち上がり、買い物袋はそのままに、彼の方に歩いて行った。



 瀬戸 洋介(せと ようすけ)が今回祓った悪霊について依頼人と話している。砂那は少し離れた場所でそれが終えるのを待っていた。

 瀬戸は今まで組まされた他の囲い師たちとは違い、仕事が丁寧だし、自分にも重要な仕事を回してくれる、仕事がやりやすい人物だった。口うるさいところが玉に(きず)だが、それも自分を思ってくれての事なので、彼女に不満は無かった。

 そこにロングコートのポケットから、砂那のスマートフォンが電子的な音を立てる。

 砂那は取り出し画面を確認すると、珍しくベネディクトからだった。

 後で掛け直しても良いのだが、この場所なら依頼人には見えないと思い、後ろを向き電話に出る。

「もしもし、折坂です。どうしました?」

『砂那、良いか、落ち着いて聞けよ』

 電話越しのベネディクトはそう忠告してから、次の台詞を言った。

『蒼が総本山の魔法取締局(マトリ)に捕まった』

次回は、砂那がぶち切れます。

その前に、少しだけ蒼が出てきます。

主人公なのにね。あまり彼は活躍しないね。

まー、これからこれから。

では、次の後書きで。

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