Mr.oの物語
このお話は原発のことが書かれています。
ここに書かれている団体名、物の名前などはすべてフィクションです、ご了承ください。
参照
・ドイツのパン【http://www.rheinbruecke.de/thema11.htm】
・原子力について「ニコニコ大百科」
【http://dic.nicovideo.jp/a/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B】
〈2040年〉
人類が、原子力が暴走すると知り、原発が世界的に廃止になって30年。
原発の最適な処理法が見当たらずに、すべての原発は建てられたまま、起動させずに管理されていた。
「僕は、ドイツへの留学を希望します」
今では、唯一の原子力を稼働させている国、ドイツ。
僕が、そこに留学する目的はただ一つ。
子供のころに抱いた夢をかなえるためだ。
「だが、しかし……」
目の前にいる教師は、渋っている。
当たり前だ、原発というのは現代社会において畏怖の存在、行ったら最後もう戻ってくることはないだろう。
だけど、僕は行きたい、いや行かなくちゃならない。
なぜなら、そのために僕は今日まで生きてきたんだから。
「話すことは以上です」
僕は、がたっと、席を外し、静止を求める先生を振り切るように家に帰った。
〈2045年〉
「やっと着いたか」
僕はドイツについていた。
五年前に、留学しようと思い、すぐに行動を始めたのだが、いかんせんなかなか手続きが手間取るようだったのでついでだからとドイツ語の勉強を始めたはいが、なかなか、手続きの話が来ないので、ずっと準備をしてたらいつの間にか5年もの歳月を使ってしまっていた。
まぁ、そのおかげで助かったところもあるのだが……。
「さてと、ひとまずは、下宿先でも探しますかな……」
生きること、生活習慣を固めること、これは、物事を正しく正確に考えるためには、必要不可欠なことである。
さっそく、彼は、ここに来るまでの猶予期間に購入した新しい携帯電話を操作し、まずはその腹ごしらえをするべく、歩き出した。
「ふぅ、ひと段落ついたな」
男は、ひとまず、下宿先とバイト先を決めた、これで当分は大丈夫だろう。
額から流れる汗をぬぐってあたりを見渡すと、いつの間にか暗くなっていた。
腕に付けた時計を見るといつの間にか、8時を超えていた。
「夕飯にするか」
そうつぶやくと、彼は、近くの食事処に入るのであった。
そして、そのあと、宿に戻り早々に眠る支度をした。
いつもより早い就寝の予定は、時差ボケと明日見学するための体力を回復するためだ。
(原発の唯一である原発状況を知ることは、今後の情報としてまずはすべて記録しなければ……)そう考えて彼は、まぶたを閉じた。
――――――次の日――――――
まぶしい朝日で目が覚めた僕は、空腹を満たすために朝の街に繰り出した。
時刻は、6時というのに街にはいたるところに人がいた。
ドイツ人は職人肌が多いということは事前調べで知っていたが、どうやら朝が早い人も多いらしい。
彼は、ひとまず、目に止まった近くのパン屋さんに入った。
「これと、これと、コーヒーを頼む」
「はい、わかりました」
注文すると、ウェイトレスは、お辞儀をして行ってしまった。
注文したものが来るまで暇なので、せっかくカウンターに座ったことなので原発について隣の人に聞いてみることにした。
……右の人。
「ん?あぁ、原発の事かい? そーだな、俺はあんまりきにしてないかな。生まれも育ちもここだからな。ところで、見かけない顔つきだけどお兄さんはどこから来たんだい?」
「日本です」
「ほー兄さんはヤーパン(ドイツ語で日本の事)から来たのか、どんなところなんだ?ヤーパンて?」
「どんなところといわれてもですね……(以下略)」
どうやら、右の人は、あんまり考えていなくて、気にしていないというタイプか……。
次は、左の人に聞いてみるか。
……左の人。
「はい、原発の事ですか?私は、少し反対ですかね」
「それはどうして?」
「あまりよくは知らないんですけど、あまりからだによくないんでしょう?」
「正確には、原発から出ている放射線ですが……」
「まぁ、そうだったの!?初めて知ったわ~」
「それは光栄ですよ」
「でもその放射線ってものはどのくらい危険なんですか?」
「放射線ですか、被害はさまざまですが、あまりにたくさん浴びると、下手すると死んでしまいますね」
「まぁ!!なんて危険なの!?」
「まぁ、その致死量に達するには個人差がありますがとても多く浴びないとならないですけどね」
「どのくらい?」
「普通に過ごしていたら決して達することのない量ですよ」
「そうなの?」
「まぁ、あくまで予想を抜けないんですが……」
「どういうこと?」
「まだデータが足りなくて……」
「そうなの、あぁ、息子が心配になってきたわ。 ところでこの写真見てくれる? これが私の息子なの……(以下略)」
どうやら左の人は、良く知らないけどきけんなことを知っていて反対しているけど、そこまで否定的になっていない人だった。
なんか、日本のニュースキャスターみたいな状態だった。
情報は知っているが、本当の現実は知らない。ってところが。
でも否定なのは変わりない。
「さてと、次はだれに尋ねようか……」
「お待たせいたしました、お客様。バーライナ(Berliner)とウェイゼンボート(WeizenBrot)それとコーヒーになります」
「ありがとう」
ウェイトレスが来たことに反応したのか、おなかがぎゅるるるるとなっていた、さて朝食にしようか。
「ふむふむなるほど」
僕は、朝食を終え、見学の時間までの余裕に街をぶらつきさっきの質問を通り過ぎた人に投げかけた、するとさすがドイツ言わざるべきなのか。賛成8反対7保留6という結果が出ていた。
おそらくだが、母国の日本で聞いた場合は賛成1反対20保留5というダントツに反対という状態が出来上がっていただろう。
なんたって原子力の恐ろしさをおそらく世界で一番といってもいいほど解っているだろうし45年前に原発全面廃止を始めた最初の国だったことだしこのようになってしまっていただろう。
いつの間にか、湯気が出ていた、コーヒーは冷めていた。
彼は、見学の細かい支度をするためにいったん宿に戻るのだった。
―――――原子力研究所見学後――――――
「ふむ、やはりな」
彼は、見学から帰って学んだ原子力発電についての問題点を考えていた。
(やはり、一番の問題は、廃棄物の処理方法で、ほかには、破壊されたときに世界に及ぼす影響力か。)
「一体どうすればいいのか……」
そんなことを考えながら彼は今日を締めくくった。
――――――それから2週間後――――――
「さてさて、生活も安定してきたし、そろそろ本格的に設計でも始めますかね」
彼は、この二週間の間に仕事の割にはていがいいバイトを探してはじめ、住居を決定し長期滞在用のビザを取った。
ちなみにこれは3年で切れるものである。
「時間は限られているからな、早々に取り組まないと……」
本当は、研究所なんかを借りて制作をしたほうがいいのだが、いかんせん資金が圧倒的に足りないので仕方なく原子力発電所に近いこの場所を我が家とした。
やはり原子力発電所に近いという条件のためか相場の30%ほどの値段で、借りることができた。しかもラッキーなことに大型トラックが2台ほど入る大きさのガレージ付だ。
「まぁ、車運転できないんだけどね……」
なんてつぶやきながらも彼はくるくると鉛筆を回し思うがままに図面に走らせた。
原子力の最大の短所である発電時に出てしまう廃棄物を極限に少なくするために今までより発電時に必要となるウランなどのエネルギーを効率よく取り出す装置を製作する。
つまりは、少ないものから大きいエネルギーを出すようにする装置を製作するということである。
ひとまず現時点の発電率30%という状態を改善するために日夜図面に考えをめぐらせていくことが彼の当面の生き方になっていくだろう。
「よし、ひとまずは……」
彼は、その場で大きく伸びをした。
背中から、ボキボキと小粋な音が鳴った。
「あぁ~疲れた。 今何時よ?」
彼は、今の時刻を見るべく時計を眺めた。
「……!?」
もう一度見てみる。
「………!?」
三度目の正直ということでもう一度見てみる。
「……………!? いやおかしいでしょ!!」
(この疲労感でたった5時間?だと!?)
そう、時計は作業を始めたたった5時間後を指していた。
(五時間でこの量のものを書いたのか僕は………)
彼があたりを見渡すと、あたりには、自分の字で殴り書きされた図面や、それをもとに書いた本書きのものなど大小美汚さまざまな紙片が散乱していた。
―――ググググゥゥぐぐぅ~―――――
どうやらおなかは、五時間たち空腹になってしまったようだ。
「ちょうどいい、休憩を兼ねて、飯でも食いに行くか……」
(確か、今日はマスターが、久しぶりにいい酒が入るって言ってたな。それを少しもらってパンにモッツァレラチーズでもはさんでその中にソーセージでもはさむとするかな。
「マスター、今日はいい酒が入ったって聞いてるんだけど余ってる?」
彼がマスターと慕っている、近くのバーの唯一の心を許せるおっさんにそう話しかけた。
「おおぉ、やっと来たか。お前さんのために残しておいたんだがもう少しで飲んでしまうところだったぞ。一体どうしたんだ?」
「ん?何にもなってないけど?」
「いやいや、お前さんのそのなりは何かあった感じがするぞ、鏡でも見てきたらどうだ?」
「ん?そう? じゃぁお言葉に甘えて」
(もしかして、さっきから来ているとてつもない虚脱感の原因がわかるかおしれないな)
そんな風に軽く考え鏡を見た。
「ん!?」
そこには、とてつもなく顔色が悪くなっている自分のが写っていた。
髪がぼさぼさになり、ひげはだらしなく伸び、終いには目はどこを見ているかのようになっている、(いわゆる忌んだ魚の目という奴だ)状態だ、マスターがかなり心配をしていた理由がよくわかる、おそらく目が悪くなったお年寄りが見ても一瞬で気にするだろうというレベルだった。
「一体この状況は、どういうことだ?」
そういえば自分の発する言葉にも覇気がいつもより無いような感じがする。
どこかでこの状況を見たような気がするんだが、いつの事か思い出せない。
「ひとまず顔を洗ってマスターのとこに行って酒でも飲むか」
彼は、水を手ですくって顔に染み渡らせるように渡らせた。
「よう、お帰り」
「あぁ、ただいま」
いつものようにマスターに声をかけたがやはりというかどうも声が死んでいるような気がしてならない。
「これが、例の酒だ。 もしかしたら懐かしいものかもしれないぞ」
「懐かしい?なんで?」
いいから飲んでみろと言わんばかりにマスターはグラスに透明な液体を注ぎ込んだ、白ワインの類なのか?そう思い僕は口に運んだ瞬間なんだか懐かしいにおいとのどを焼き尽くしそうな感覚に勢いよく噴出した。
「………これは」
どう考えても、焼酎だった、英語で言っても(shochu)決して原液のまま飲むものではない。
「どうした、ボーイいきなり噴出してそんなに懐かしかったのかい?」
「ごほっっ、そんなんじゃない……ごほっ」
「そうなのか? まぁいいこいつはボーイの思っている通りchochuというもんだ確か日本語で焼酎っていうんだっけ? あんまり読み仮名に変わりないんだな」
「俺の知っている焼酎は、なんも構えていない人に原液で飲ませるものじゃない」
当たり前に考えてそうだろう、いくら酒豪でも目隠しした状態で原液の焼酎を飲まされたとしちゃぁこんな風に吹きだすことは必須である。
「おれは、平気だったんだがな」
「まじかよ……」
ガハハと大きく笑っているマスターが人間ではないのかと思ってきた。
ついでに、パンと、モッツアレラチーズ、それとソーセージを頼んだ。
「はい、毎度。 ところでほんとお前さんはどうしたんだ?」
「ん?どうしたとは?」
僕は、マスターが出してきたものを組み立てて食糧を手にした。
「いや、何にもないんならいいが、お前さんこのまえまで、毎日ここにきてたのにこの2日間の間休んだだろ?どうしたのかって思ってな」
「2日間?何の冗談だよそれ、俺はつい五時間前にきてなかったか?」
「それは、二日前の今言ったら通じるんだがな」
「なん、だと!?」
マスターはうそをつくことがない、それは疲れるのがとてつもなくいやだからだ。
だから僕はうそをつかないし、マスターもうそをつくことはない。
僕は、いやな予感がして、携帯を開いた。
そこには大量の通知があった、ほとんどがスパムまがいの迷惑メールだったのだが。日付がおかしい。すべて三日と四日になっている、今日は二日のはずなのに、だ。
そして、今日の日にちを見てみると五日になっていた。
と、言う事はだ、マスターの話が本当で携帯の事も本当で俺の事も本当の事だとすると……もしかして、俺は時をかけたのか!?
…………いやいやいやいや、そんなわけないだろう、そんな非科学的なことはありえない。
だとしたら………もしかして。
一つ、この状況と合致する状態が思いついた。
これならば、マスターの反応も僕の見た目がひどいのも納得がいく。
「つまりは三日、72時間不眠不休で図面を書き続けていたということか……」
僕は、答えにたどり着いた瞬間にすさまじい眠気に誘われた。
「大丈夫かボーイ。 体調が悪いんなら無理しなくていいからな」
「あ、はい心配かけました」
僕は、襲ってくる眠気を噛み殺しながら手にあるパンを噛み飲み込み水でのどを潤した、気づいてわかるのだが、すでに体力は、ピークに達していた。
「あの、マスター」
「ん?どうしたボーイ」
「すいませんが、今日のバイト休ませてくれませんか?」
「ふむ、その状態だしな、仕方ない体は大事だからな。これを持って行け」
「あ、ありがとうございます」
僕は、マスターがくれた栄養剤を受け取り家路に急いだ。
もちろん家に帰るな否や倒れ込むようにベットに行き弱くなった握力でビンの蓋をあけその液体を飲み込み意識を失った。
――――――二年と十週間後・2053年――――――
ドイツに来てからの3年間僕は23歳になり毎日を何とか生き残り少しずつ設計を進めていった。そしてそれも残り半分というところまであるのである。
と、そんなとき一通の見知らぬ手紙が届いたのである。
「ん~なになに。あて先は、日本政府原子力事務局…………!?」
日本政府原子力事務局、正式名称・日本政府生活支援課原子力発電所専用事務局。
つまるところの彼の所属している……というかしていたというべき組織の事である。
実際のとこ彼は、研究をするために政府の静止を振り切ってここドイツに来てたのである。
「な、何の用なんだろうか今更」
あける瞬間本当にあけるべきなのかと手を止めたがあけない理由は特にないので恐る恐るだが、封筒を開けた。
「……まじか」
封筒の中の手紙には、彼を事務局に再抜擢するということと今までの研究成果を発表しろということが書いてあった。
「どうするべきか……」
はっきり言って条件が良すぎる。
どう考えても、なんか裏があるとしか思えない。
などと、考えたが、ビザがもう少しで切れてしまいそうなのでどっちしても一回戻らければならない。
もともとそれを狙っていたのかもしれないが……。
しかもご丁寧に、帰るためのチケットを添付してあった。
なんでだろうと、思い今の日本の状況をインターネットを介し現状を調べてみると、日本におけるエネルギー問題がどうやら本格的にはっきり出てきているようだった。
どうやら、自然エネルギーが、近年の地球温暖化の影響で安定しなかった供給率がさらに安定しないことが分かったらしくそれをしった人たちがクーデターを起こし暴徒と化した彼らを止めるために安定した電力供給が必要なのであるそうだ。
それで、現状の温暖化状態を極力進めない方向でいい発電方法はないかと考えられた結果仕方ないが原子力発電に頼るしかないという考えに陥ったようだ。
そのため、原発を再建しようと考え今一番原発に近い人物として名前が挙げられたらしい。
なんたって、ただ一人ドイツに行って原発研究のために留学した人なんていまだかつていないからである。
「なんだ、この取ってつけたような理由は……。責任者になるのはいやだけど、研究費、生活費もろもろ支給ってのが大きいよな」
所詮、どんな人も人間である。
楽して生活できたらそれ以上の事はない。
「まぁ、いいか」
彼は、さっそく帰国する支度としてマスターに長い間帰れないかもしれないという旨を伝えてるために歩き始めた。
そして、マスターと、バーの常連たちによる【ボーイを送る会】という名のただのみ会場でみんなで騒ぎまくった。
――――――深夜―――――
「本当に行くのか?」
「はい、長い間お世話になりました。 マスターお元気で」
「そっちも元気でやれよ。 ここを第二の故郷っておもっていつでも来ていいからな」
僕とマスターは固く握手を交わし別れを告げた、また逢う日を願って。
Fin
―――――――――後日談―――――――――――――
彼は、日本に帰った後、日本政府原子力事務所の最高代表取締役員と任命され毎日毎日研究の日々を送りとうとう装置を完成させることに成功した。
そして、その装置をつけることにより向上した発電効率は80%を越して発生する排熱量が格段に減った。
そのことは原子力発電のセオリーを打ち砕いたのだ。
なぜならば、そのことにより冷却する必要がほとんど必要なくなった、これは従来の発電所が海辺に建てる原因であった問題が解決した。その上、装置の大きさを圧倒的に小さくすることができたそのために海辺だけでなく山間部に建てることも可能となった。
そして、これは思いもよらぬ副産物だったのだが、発電効率を上げることによりウランなどの核物質を完全反応させた。
このために、放射性廃棄物は99%減ることに成功した。
また発電時に出た、1%にあたる廃棄物も、昔発生した廃棄物と混合して再びエネルギーとして人工核鉱石として誕生して発電の材料にすることができた。
このことにより、エネルギー問題は完全に解決していったのである。
そして、これは語り継がれることになった。
Mr.oの物語と………。
End
先生がこれ見てコピペやんって言ってきたらどうしようか…(;´༎ຶД༎ຶ`)
まぁ
お楽しみいただけたら光栄です。
次は、D&Eを書こうかな~
ではまた~