三つ【こんなに着飾るのはいつぶりでしょう】
その日はいつもと少しだけ違う日でした。
その日もいつものように本を読んでいました。
その日の本は新作でいつもより少し小難しい本。わたくしは社交界には詳しくはなくて知らないけれど、有名な婦人のエッセイだという。
日々の愚痴から社交界の噂、そして夫との“夜の営み”についても、、、
まぁ王宮のすみで皇女の世話ばかりしていれば出会いの機会も少ないのだから
側仕えの者たちがこれに興味を持つのも仕方がないと言えましょう。
本に夢中で気づかなかったが側仕えが一人
わたくしの横で声を荒げていた。
「クリスティーナ第四皇女殿下!!!!!」
ビクッ
「えっ、はい」
「皇帝陛下がお呼びです」
「お父様が?なぜ?」
「知りませんよそんなこと。私はただの側仕えですよ?」
「8の時に来るようにとのことですのでとりあえず早々に準備を始めますよ」
「は、はい」
それからわたくしはわたくしに使えている側仕えの全員にあったのではと思うほど次から次へとたらい回しにされた
湯浴みでは足先から髪の毛の先まで隅々洗われ
その後の髪を乾かすときはどこから出したのか髪につけるオイルだとか肌質をよくする樹液だとかを塗りたくった。
夜通しの読書のせいで荒れた肌を隠すためになれないメイクをした
普段からあまり食べないせいでコルセットはあまりきつくなかった
─────・・・─────
「さぁできましたよ」
姿鏡に映るのは普段とは違い、美しくも威厳ある第四皇女だった
(こんなに着飾るのはいつぶりでしょう)
ドレスもタンスの奥から引っ張り出したにしてはシワがなく側仕えたちの仕事ぶりがうかがえる
いつもはあんな本ばかり読んでいるが
やはり腐っても王宮務めということだ。
「そろそろご移動願います」
「わかりました」
第四皇女の住む宮の前にはすでに本宮からの馬車が止まっていた。




